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鑑賞ログ「流浪の月」

@TOHOシネマズ上田

松坂桃李×広瀬すずのビジュアルを見て、鑑賞決定。良い感じのポスター×久々の李相日監督作品だったら観るべきだなということで鑑賞。

とある小さな町の公園で小学生の女の子・サラサ(白鳥玉季)が雨の中、姿を消した。この出来事が女児誘拐事件として世間を騒がせる。しばらくののち、一緒に過ごしていたフミ(松坂桃李)は誘拐犯として捕まってしまう。あの事件から15年後、大人になってファミレスで働くサラサ(広瀬すず)にはエリートの彼氏・リョウ(横浜流星)がいて、一見幸せな毎日を過ごしていた。しかし、誘拐犯であるはずのフミが同じ町に住んでいることに気づいた時から、サラサのフミへの執着が始まる。なぜ彼女はフミに執着するのか?というところを紐解いていくと、あの事件の真相はなんだったのかが見えてくるー。そして、再会によって二人の運命は再び動き出す…という話。

冒頭で広瀬すずと横浜流星のカップルが登場。恐ろしく顔面偏差値が高くないか、この二人?もし二人の子どもが生まれたら、「美しくて当然」という宿命を背負ってしまいそうで怖いなと思わず同情してしまう…。本編には全く関係ないけど。この二人の絡みシーンがなかなか生々しくてよい。広瀬すず、こういうことやるんだよなぁ。そういえば「怒り」も衝撃だった(こっちも李監督か)。そこに挑戦する姿勢が素晴らしいと思う。なかなか最近いない気がする。濡れ場をやっても、そこが宣伝のポイントにならないくらい骨太な作品だからOKなのかな。あと、横浜流星のすね毛の濃さにキュン。よい。ちょっとしたことかもしれないけれど、こういう部分が作品に生々しさを添えている気がするんだよなぁ(俳優のヒゲ脱毛にはNOと言いたい派)。エリートイケメンのリョウも一筋縄ではいかないキャラなんだが、そのバレ方もよかった。

物語の舞台が東京ではなく、地方都市というのも作品にリアリティを持たせていると思う。狭い社会の中で、SNSで追い詰められていく二人。

思い出シーンの音楽にはびっくりしたけれど、全体的には良い感じだった。閉じ込めておきたいと思ってもおかしくない美しさと、無邪気な子供らしさが共存している白鳥玉季の演技も作品をかなり支えていると思う。儚さと一緒にある美しさがやっぱりティーンエイジャーにはあるね。あと、三浦貴大演じるサラサが働くファミレスの店長の「批判の声じゃなくて味方の声を聞いてほしい(意訳)」というサラサへの言葉もよかったなぁ。スレた感じのシンママを演じる趣里も良かった。いるよ、こういう無責任な女!キィーーーー!!となる。
松坂桃李演じるフミのぬぼっとしている感じ、瞳の奥が暗い感じがいい。松坂桃李ってこのまま順調に役者をやっていったら作品の品質保証をしてくれる佐藤浩市みたいになりそうな気がするな。本編開始から1時間で多部美華子がフミの彼女として登場。こんな役どころで登場するんだと新鮮な感じ。

言ってしまえば、物語の展開自体はそこまで意外じゃないけれど、オーラスの部分の衝撃は強い。時制を行き来するテンポとか、過去への戻り方はよかった。フミもサラサも、自分の人間として根っこの部分の大切なところが満たされていない。リョウもそうなんだけど、彼はその発散が歪んだ形で出てるキャラクター。サラサにとってはフミは救世主であり贖罪の相手だけれど、フミにとってサラサは何だったのかを深く考えると複雑な気分になる。そっちも歪んでないか?だからってそもそもの事件のことが許されるのか?というところでちょっとモヤッとしちゃうけれど、作品としては好きな方かな。あとは上映時間2時間半をどう捉えるか…ちょっと長かったかなぁ。









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