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【短編集】コーヒーの香る街

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【月曜22時頃更新】「コーヒー」や「喫茶店」をテーマにした短編集です。1記事400文字以下の小説またはエッセイ。2〜3分で読めます☕️
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#コーヒー

短編小説『コーヒーの香る街』

この街の川沿いは、コーヒーが香る。 何十年も続いている老舗の喫茶店に、多くの人に名を知ら…

さより
2年前
18

短編エッセイ『美容室のコーヒー』

美容室で飲むコーヒーが好きだ。 美容室なら、髪を切ったり、シャンプーしたり、染めたりする…

さより
2年前
17

短編小説『フタをはめない人たち』

コーヒーが3割ぐらい落ちた。 しまった。歩くと、こんなに溢れるなんて。フタはプラスチック…

さより
2年前
5

短編小説『多忙な日だけのコーヒー』

「いらっしゃいませ。お名前を書いてお待ちください」 あーあ。ぜんぜん客減らねー。 「どれ…

さより
2年前
11

短編小説『3時限目後の角の机』

「もし面倒くさがり人間しかこの世にいなかったらさ、コーヒー飲んでないだろうね」 「なんで…

さより
2年前
9

短編小説『知らない喫茶店の看板』

その喫茶店の入り口には、看板がある。昨日は『今週も息抜きを忘れずに』、確か4月1日は『嘘は…

さより
2年前
8

短編小説『新しい生活』

パッキパキの制服、後ろに倒れそうな大きなランドセル、初々しい黒スーツ。ふわっと光を放ち、新しい生活が歩いている。 あっちの桜は満開、こっちの桜は散り始め、コンクリートにピンクの水溜まり。皆が避けていた水溜まりは、黄色のバッグをかけた園児がしゃがみ、ピンクの山へと変わった。 「パパ!見て!桜の山!」 女の子はスカートを地面につけ、父を叫ぶ。 「あー!ここちゃん、スカート!」 父もまた、叫ぶ。微笑ましい。 うっ、強い風。目に砂が入りそう。 「うわーん、山がぁなくなるー。

短編エッセイ『コーヒーと言葉たち』

3月末まで、長らく小説と向き合っていた。 あんなに深くのめり込んで小説を書いたなんて、し…

さより
2年前
16

短編小説『冬と春』

「この前はアイスコーヒー頼んだのに。またホットに逆戻りじゃん」 「いやいや。3月って毎年そ…

さより
2年前
13

短編小説『悪くない脇道』

「おおー、よう似おうとる」 「うんうん。似おうとる」 ここには、オジサンしかいない。ママ…

さより
2年前
8

短編小説『明るい穴』

「なんかさ、怖い。黒い飲み物」 モモは高校からの親友で、25歳の今もたまに変わったことを言…

さより
2年前
9

短編小説『雪見珈琲』

スマホでは2:21。しまった。ソファで寝落ち。 カーテンをしめようと窓に近寄ると、天気予報…

さより
2年前
7

短編小説『コーヒースタンド』

最寄り駅の西隣に、コーヒースタンドができた。椅子は3脚しかない。 「決まったら声かけてく…

さより
2年前
7

短編小説『チーズケーキがいい』

家から徒歩3分の小さな商店街に、ケーキ屋がある。徒歩圏内のケーキ屋はここだけ。チーズケーキがとても美味しくて、時々買いに行く。 濃いめのチーズで、硬め。太陽を切り取ったような、色とあたたかさ。味はしっかりと強いのに、儚い優しさもある。 このチーズケーキには、深煎りのコーヒーが合う。同じ商店街の喫茶店で買った、モカブレンド。チーズケーキと私のためにコーヒーを淹れる。白いマグカップにたっぷりとコーヒーを注ぐ。 白いマグカップなんて、私は絶対に買わない。コーヒーで茶色くなりそ