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短編小説『雪見珈琲』

スマホでは2:21。しまった。ソファで寝落ち。

カーテンをしめようと窓に近寄ると、天気予報にはなかったはずの雪が見える。1時間予報では、確か夜中はくもりだった。今年初めての雪だ。

ベランダに出よう。雪見酒ならぬ、雪見珈琲だ。私はお酒を飲めない。

電気ポットには、マグカップ1杯ぶんの水。インスタントコーヒーを瓶からマグカップへ。お湯を待つ間、コートを着る。寝起きのわりには頭が働く。



ほかほかのマグカップを手に、ベランダに出る。花びらのように雪が舞う。春はまだ遠いのに。

「こんばんは。雪、すごいっすね」

お。お隣さんも雪を楽しんでるのか。名前は遠に忘れ、すれ違いざまに挨拶する程度の大学生。

「こんばんは。雪、積もりそうですね」
「そっすよねえ。明日雪合戦かなあ」
「いいねえ、雪合戦」

しばらく、ただ雪を眺める。

お隣さんは何を考えているのだろう。私はアイスコーヒーになりそうなマグカップを、少し反省している。



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