思断力

いま、わたしに必要な力。


思いを断ち切ること。
今のわたしが、持たないとならないもの。

人として認めてもらう思い。
好きな人から女として認めてもらう思い。
好きな人と相思相愛になるという思い。
女としての悦びをねがう思い。

その全てを、断ち切り、棄てること。
それが、思断力。



ねがいを棄てて、非人間として余生を虚しく送ること。
それが、わたしに課せられた今後の人生なのだろう。

こんなに、生きることが虚しくなるとは思わなかった。
けれど、こうなってしまうのは、自業自得なのかもしれない。


母は、わたしにこう生きて欲しいと望んで旅立ったのだろうか。

そして、わたしに心の傷を付けた人は、わたしがこうして苦しむ姿を見て高笑いしているのだろうか。

傷付けた人は、わたしに
「楽させない」
と言い放ったのだから、高笑いしてるんだろうな。

わたしのことを知ろうともしなかった人には、わたし以上に葛藤して欲しい。
人を傷つけたことに対して、わたしの何倍も苦しめと思う。

その思いすら、断たないとならないのだろうか。



結局、弱者は常に加害者扱いになる。
それなら、どんな思いに対しても、思いを断つ力が必要になってくるのかもしれない。
そんなわたしが、非情な人間になる為に必要な力―――それが【思断力】。





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