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そんなことないよ

アルバイト先のとても綺麗な後輩の女の子が、「メイクをしないともう外に出られない」と言っていました。
私は、本気で、「そんなことない」と感じました。
本当に、そのままで、きれいな子だから。

それでも私は「そんなことないよ」という言葉が如何に心に届かない虚しい言葉であるかを体感として知っていて、とりあえず、「わかる、日焼け止めも何もしないで気軽に遊びに行っていたあの頃に戻りたいよね。」とだけ返しました。

そんなことないよ、ってつい言ってしまいがちなフレーズですよね。
しかも、言った本人は本気で思ってる場合が多い(気を遣っている場合もそれなりにあるかもしれませんが)と思います。
それでも、この言葉は、言った相手に「そんなことないわけない」と思わせてしまうだけのような気がします。
本人は本気でそう思っているのでしょうから、
「そんなわけない、わけ、ない」と。
そんなふうに思わせてしまうのは悲しいですから、
せめて、別の方向に思考を向かわせてみるのもいいかもしれません。よく考えたら、「そんな事ない」って、否定形ですからね。相手の言葉はできるだけ肯定したいものです。


「そんなことないよ」って言葉、
本当に不思議なくらい相手に届かないんですよね。
本当にそんなことなくても、もう何もわからなくなってしまっていて。

一度だけ、私も、普段相談している方に「私が居なくなってもすぐ忘れて日常が戻る」なんてボヤいた事がありました
「そんなわけないでしょう」
「忘れるわけないじゃないですか」
「本気でそう思っているんですか?」
私は何も答えられませんでした。下を向くだけでした。
理解したという意味ではわかってるんです、脳では、「そんなわけはない、忘れるなんてそんな。」と。
それでも、本気で、「そんなわけない、わけ、ない」なんて思ってしまったんです。

どうしてでしょう?
それはきっと、理解するのと気持ちとは別物だからでしょう。
心は脳で、脳は心でしょうか?
もしイコールなら、こんな風に矛盾した気持ちが生まれるはずがありません。
どうしても私は、脳=心という説には違和感を覚えてしまいます。
それなら心とは何なのだ、と問うてこられたら何も言えずに苦笑いするしか出来ませんが。
あえて言葉にするならば、「脳は物事を受け取り整理するシステム、心は脳で整理された情報を自分の人生と感情に組み込むシステム」といったところでしょうか。
その2つのシステムに矛盾が生まれた時、私たちは苦しむのでしょう。

せめて、「そんなことない」と思ったとしても別の方法でこの気持ちを伝えられたら良いのだけれど
難しいですね。

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