見出し画像

昔の思い出 冬の大三角

夜の寒い鎌倉を


コンビニに向かって歩く。




フッと上を見上げると、


目の前にはオリオン座。



そして、

オリオン座のすぐ横に

今回のお話の主役『冬の大三角』がみえる。




「懐かしい」と思わず小さく口にした。







あれはいつだったか。


確か小学校3〜4年生くらいだったか。



理科の授業の一コマから、

冬の大三角が実際にあるかを

確かめる宿題が出された。



確か4人の男友達と

近所の運動公園に行ったんだと思う。



今振り返っても、我ながら

男の子っていつになっても本当にバカで。


夕方くらいから集まって、


授業中に作った

透明なプラスチック板に

黒いマジックで書いた大三角なんか

公園の隅に置いたままにして。



そして、何が面白いのかもわからないくらい

笑い合いながら走り続けてた、疲れきるまで。





そんな男の子な時間は流れて、


だんだんと夕方から紺が声をかけてきて、

まただんだんと紺は黒に声をかけられていって。



気づけば星空が頭上に現れ始めた。




公園の遠くには

同じクラスの女子たちも集まっていて。


でも声はかけないし、かけられもしないし 笑



同じ公園に女子といるというだけで

胸はわさわさとしてるのに、気にならないふりして。



そんなことを4人ともこっそり感じたまま、

公園の隅に板をとりにいって。




板を片手に歩き始める4人。



言葉に出さずとも、

公園の真ん中でみようという

気持ちはおそらく一緒で。



それまでは顔を見上げないでおこう

という気持ちも一緒のまま、

真ん中まで歩いて行った。




真ん中まで来たところで、

4人ともおんなじ姿勢。

そしておんなじ斜め上の角度の首になった。





4人同時にだったと思う。



あぁ



とつぶやくように言った。





そのだけで僕ら4人は

全く同じ美しい漆黒の大三角を

みていることがわかって。



そしてしばらく何も言わず、

持っていた板も使わずに、同じ首でいた。



どれくらいみていたのだろうか。




そしてまた、

あのあと僕ら4人は何をしたんだろうか。



何かを喋った気もするし、

またバカな時間に戻った気もしないでもない。


女子に声をかけなかったのだけは確かだろう 笑


はっきり覚えていない。





でも確かにわかるのは、

今も変わらずあの大三角の瞬間と同じ


あぁ


と言い合えるその時だけを

ただただ生きがいにしているということ。




言葉という小さな概念を超えて、

お互いの身体から自然と生まれる『 あぁ 』という

でわかちあいたいと思っているということ。




うん。

ただみんなで『 あぁ 』と言いたいだけだってこと。







そんなことを思い出していたら

目の前にはコンビニの明るさがあった、

たった今。




【 お問い合わせについて 】

鎌倉や沖縄での個人セッション

『心身対話』をご希望の方は

公式LINEにご登録ください。

【LINEアカウント】
https://lin.ee/1yK1TPD

ありがとうございます。すべては慈しみと感動へ