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えん
2021年3月31日 23:20
君のいない世界例えば知らない花に名前をつける調べればわかるけどわたしがつけた名前で呼びたいそんな独占欲と執着心があればよかった君がいない部屋の隅で丸まって目を瞑る泣きたい気持ちのはずなのに穏やかでわたしは知らない花の名前を呼ぶ(20210201)惜別春になると色鮮やかな花々が生を主張し綺麗なアゲハ蝶が舞う雪は溶け風は優しく全てが息を吹き返したように活気
2021年2月1日 23:14
妖艶交わる記憶の片鱗で絡まる手白い肌細いうなじ言葉無くとも罠に落ちたまるで蜘蛛の巣の蝶逃れられない視線の先にはいつも後ろ姿の貴女残り香を纏う布(20210108)たまゆら綺麗ねってほめられる白い手から落ちた鮮やかだったはずの花(20210123)わたしへ強く生きていたい優しくありたいと星に願えなくてもわたしなら大丈夫冷え切った両手を
2020年12月31日 22:14
伝言言葉なく託す冬の日あたたかな木洩れ日優しい白ひとりになる孤独ではなく ただひとりになる (20201212)流れ星消えゆく星にどうして人は祈るのでしょうか希望を託すのでしょうか綺麗なものの影に汚れが鳴りを潜める隠れるようにうずくまる君の腹の中本音も弱音も怨みも嫉みも全て私のものだから寄り添いたいと思うのです全て君のものだからどうしたって愛
2020年12月1日 01:10
深海太陽も見えない海の底で夢をみた想像の虹の下で笑っている人魚の姿を何も響かない静かな海の底で声を聞いた子守歌のように心地よく誘惑する悪魔の囁きをここでしか生きられないと知っていたなら僕はずっとここにいた光を探しにいかないか?(20201101)明け方の夢どこかの静かな教会ヴェールに包まれたステンドグラス少女は祈り天使は微笑む少女の祖父は目を閉
2020年11月5日 03:34
しおり青春の一ページ並んだ机黒板の落書き運動場に響く声今でもよみがえるあの日返せなかった言葉に忘れ去られたしおり黄ばんだ紙の匂いこの本のタイトルは思い出せない(20201006)リモートの恋昔から思ってたこの電話の間に会いに行けるなってそれをしないのが大人それができないのが大人恋なんてどこでだってできるから寂しくないふりをして私達はひと
2020年10月4日 19:48
ひとりぼっちまるで永遠だ見開いた瞳の先に未来なんて描いてくれるな何者でもないきみとぼく唯一無二であるはずなのに忘れ去られる存在でしかないなんてまるで世界はお伽話みんな名前のない役を必死に演じているようで笑い合っても虚しいだけぼくは神様にはなれない(20200906)しずくすくっている言葉の片鱗を大切に大切に抱きしめて乾いた大地を濡らす雨拾いあげた石
2020年9月6日 11:05
花火はしゃぐ子ども冷えたスイカ線香の香り空を見上げる花火の音鎮魂の祈り少し寂しい蝉の声も止んだ(20200802)ひとり疎開した祖母の恐怖をわたしは知らない無口になった祖父の傷をわたしは知らないもう知ることができないそれでも祈る平和を知るものとして大地で育まれる草木が美しいと涙する人のとなりで(20200806)最後まで光求めるきみは
2020年8月3日 21:43
楽園への目印涙に溺れて痛みを抱えたまま愛と呼ばれるものを覚えて傷は癒えぬまま手を握り返す者の弱さを強さだと知る守るなんて欺瞞だこのぬくもりに守られているのだから指折り希望を数えて日が昇る光が連れてくるあの地平線の向こうが楽園への目印(20200704) 紫陽花とひまわりはらはらと舞った切り落とされた藤の花切り取ったように思い出す刈り取られたチ
2020年6月30日 23:35
優しさを盾にしたあなたの言葉は響かない(20200606)(写真詩)滲む空と海の境界線叫びたかった泣きたかった理性が笑えと言っていたスーツと革靴でこの場所に来たのが間違いだった僕の行く方向は空にも海にもない世界線踏みしめて進む (20200615)君の背に張り付く布と濡れた赤歪む記憶で誰の名を呼ぶ #桜桃忌 (20200623)紫陽花君と一緒
2020年6月1日 20:21
脱ぎ捨てたスニーカー慣れないヒールの靴は、初めて行く場所には妙に合っていて、私の心だけを置いていく。馴染まないスーツは、初めて会う人には妙に親しげに見せて、私の表情をも操りだす。今なら苦手なブラックコーヒーも飲めるかもしれない。でもいつまでも靴擦れは治らない。(20200501)君とダンスまるで全てを失った海底の豪華客船ダンスパーティーの途中で閉じ込められたメロウ奏で
2020年5月1日 04:20
恒常明るいものと聞いてはじめに頭に浮かんだのが太陽で次に思い浮かんだのがきみだったなぜだかわからないけどきみの笑った顔だったホメオスタシス僕の必要な構成要素きみの屈託のない笑顔が僕を生かしている(20200306)春の合図生まれる春の合図風の匂い鈍い光雪解待つ冷え切った世界の片隅で膨らむ蕾忘れないでくださいいずれ花開くことを誰のもとにも浄める水は流
2020年3月1日 21:17
1本の電話で駆けつける。消毒と独特の匂い。口が渇き何も話せない。震える手。落ちる涙。もう起き上がることはかなわない痩けた頬浮腫んだ足抜けた髪恐怖を受け入れて今を受け止めて微笑むそれはまるで忘れかけたドロップの味のようわたしは言ったまたいつかそれまでどうか幸せに。(20200201)甘いお菓子にもひとつまみの塩お母さんは言う甘くなるおまじない人
2020年2月7日 22:02
この時がいつか過去のものとなる光が射すことを祈って進むことしかできなかったかなしみも苦しみも消えることが許せないわけではないのに誰も気付かない涙が落ちる前見上げると雲間から虹わたしだけが今なおここにいる(200117)見慣れたはずの日常に異様に喉が渇く仕様で空っぽのグラスに注ぐ清涼飲料の青のラベル希望も絶望もない日々誰も傷付かないように何重ものフィ