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恐怖のテンカウントと卵かけごはん

後述するのは、現代なら虐待と言われてもおかしくない話です。
と言っても、今となっては笑い話でもあるし、結局、親には感謝しています。
これについての詳細は後ほど…。

さて、巷では『TKG』と言われる卵かけごはんですが、私の周りで急に話題に上ることが増えてきました。
もちろん私も卵かけごはんは大好きです。
ただ、大げさかもしれませんが、私にとって卵かけごはんは感謝の対象でもあります。


現在の我が家の卵かけごはん

サムネの写真がそうです。

次の手順でつくります。

①温かい雑穀米を茶碗に盛り、卵ポケットとなるくぼみをしゃもじで中央に形成する。

②生卵を卵ポケットに落とし、黄身を箸で割る。

③濃口醬油を割った黄身に少量注ぎ、卵とごはん全体を箸でよく混ぜる。

④日によって瓶詰のなめ茸、キムチ、納豆等を気分次第でトッピングする。

まあこれだけです。
風邪気味の時には刻んだネギをトッピングすることもあります。

恐怖のテンカウント

私の幼少期の記憶が鮮明にあるのは3歳の頃からです。
当時は父親、母親、私、弟の4人家族で暮らしていました。
母親はどこにでもいそうなタイプの人間ですが、父親はそうではありません。
「いつ何時なんどき敵襲てきしゅうがあるかわからん。
隙をつくるな!」
とのことで、無防備になりやすい食事は早く済ませることを良しとする人間でした。
時代錯誤というか、変人なのは間違いありません。

ところが当時の私は小食な上に食べるのがとても遅い子で、さらに私にとっては不都合なことに、弟の方が早くたくさん食べる子でした。

ある日の夕食、見かねた父親が突然こんなことを言い始めました。
「いつまでもとろとろ食いよったらつぁーらんど!」
(訳:いつまでものんびり食べていてはいけません)

それでも私としては頑張って早く食べているつもりでした。
怒られても怒られても早く食べることができず、見かねた父親はさらにこう続けます。

「口に食べ物を入れて10秒以内に飲み込め!
10、9、8、7、6、5…」

こうなると子供なりにプレッシャーも感じます。
結局カウントがゼロを迎えた瞬間、父親は私の頬をガシッと掴み、強制的に口を開けさせられ、食べ物が残っていたらビンタされるようになりました。

それ以来しばらく、食事の度に『恐怖のテンカウント』が続いたので、食事の時間が苦痛だったことは言うまでもありません。

救ってくれたのは卵かけごはんだった

私は米を咀嚼して飲み込む動作が苦手だったのかもしれません。
いつも通りのおかずとともに、ある晩、卵かけごはんが食卓に登場しました。
私の記憶にある初めての卵かけごはんです。
正直、美味しかったという記憶よりも、飲み込みやすかったという記憶が勝っています。
卵かけごはんの時は『恐怖のテンカウント』に間に合い、ビンタされません。
もしかしたらこれがきっかけで、食べ物を上手く飲み込めるようになったのかもしれないとさえ思っています。

あの時の卵かけごはん

私が小学5年生の頃、もはや食事のスピードはクラスメイトの中でもトップクラスの早さで、学校給食ではおかわりの常連でした。
夏休みのある日、父親が久しぶりに卵かけごはんを食べながら
「これを卵かけごはんに入れてみい。
抜群に美味いぞ。」
と、『いか塩辛』をすすめてきました。
当時の卵かけごはんを再現したものが↓です。

白米に生卵、さしみ醤油と『いか塩辛』。
これを全部混ぜるだけです。
見た目はともかく、意外と合うと思います。

父親を反面教師にする

毎晩、焼酎を飲んでいた父親は塩分が高いものを好んでいました。
『いか塩辛』もそうですが、焼酎のつまみに毎晩ポテトチップスを1袋~2袋完食していて、きっと血管も詰まっていたのでしょう。
ある朝、父親は職場で脳のどこかの血管が物理的に破裂(?)したか何かで倒れ、そのまま亡くなってしまいました。

あれから25年。
とうの昔に私もお酒を好んで飲むようになっているし、年齢はもうすぐ父親の享年と同じです。
食べるスピードが早くなったことについては、父親に感謝しています。
スピードをコントロールできるので、会食の相手を待たせることもありません。

そして幼少期とは違い、今の私は食事を楽しめるようになりました。
偶然にも、私の好きな食べ物や日常的に食べているものの多くが、偶然にも身体に良いとされるものです。
趣味で自転車に乗り、無理なく運動も楽しみながら、普段は健康的な食生活を送るようにしています。
たまには何も気にせず好きな物を好きなだけ食べたりもしますが、塩分の高いものを好んで食べません。

父親には今となっては感謝ですが、他にも虐待と言われてもおかしくないことをされてきました。
それはまた機会が会えれば書きます。
もうすぐ父親の誕生日。
私は父親の倍は長生きしてやろうと思っています。

そして読者の皆様には声を大にして申し上げましょう。

長生きしたいなら、塩分の過剰摂取はダメ!絶対!!

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