つれづれつづり/003

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  • つれづれつづり

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    それぞれ、おのおの、つれづれにつづります。

最近の記事

特別な夏

2020年8月初旬。 同棲している彼氏が新型コロナウイルスに感染した。 同棲しているゲイカップルが感染したという話は、母数が少ないので当然かもしれないけれど周りではあまり聞かず、同じような状況で暮らす誰かの参考になるかもしれないという思いと、コロナに対して改めて考えるちょっとした契機になればという思いから、書き残しておきます。 ◇ 最初は夏風邪のような微熱と咳だったのであまり心配はしていなかった。 ところが数日経っても37度前後の熱と咳が続いたので彼に近所の病院に行って

    • ゲイと老後

      つれづれつづり、第4回のテーマは「老後」となりました。 新型コロナウイルスが猛威を古い、世界が未曾有の危機に瀕しており暗いニュースばかりの中ですが、若干辛辣な内容になっておりますのでご了承ください。 今までの「恋愛観」「仕事」のテーマでも触れてきましたが、今の日本においては同性間の婚姻は認められておらず、出産もできないため、我々ゲイの老後は多くのストレート男性が歩む道とは大きく変わってくると考えています。 老後に危機感を持つ老後について語る前に、まずは人生観について考え

      • 光の方へ(ゲイと仕事 #3)

        「つれづれつづり第三回:仕事」の3話。 早いもので最終話です。 1話:就職活動〜新入社員時代(2004年前後) 2話:20代中盤〜後半(2005年〜2011年頃) 3話:30代〜現在(2011年〜現在 20代最後の歳で一念発起して初の転職。 しかも従業員数2000人以上の大企業から一転して、100人もいないくらいのベンチャー企業へ。 転職してすぐに、あまりのカルチャーギャップに良い意味で驚いた。 メールではなくチャットがメインでコミュニケーションがスムーズに進み、稟議や企

        • 壊れゆく心と体(ゲイと仕事 #2)

          「つれづれつづり第三回:仕事」の2話です。 1話:就職活動〜新入社員時代(2004年前後) 2話:20代中盤〜後半(2005年〜2011年頃) 3話:30代〜現在(2011年〜現在) 20代中盤〜後半(2005年〜2011年頃) 社会人生活は充実していたものの、ゲイとしては枯れていた20代前半。 社会人になってから3年も経つと、仕事の方もこなれてきて、時間的にも精神的にも余裕が出てきた。 そうなってくると、やはり出会いを探したくなるもの。 世間ではmixiからTwitt

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          上京(ゲイと仕事 #1)

          「つれづれつづり」第三回のテーマは「仕事」。 初回の「平成」や前回の「恋愛観」がテーマの際も少し触れた内容ではありますが、自分の中での仕事観への変化を、ざっくり以下の3回に分けて綴っていきたいと思います。 1話:就職活動〜新入社員時代(2004年前後) 2話:20代中盤〜後半(2005年〜2011年頃) 3話:30代〜現在(2011年〜現在) 就職活動〜新入社員時代(2004年前後)関西の地方大学に実家から通い、それなりに大学生活を楽しんでいた当時の自分。理系の学部だっ

          上京(ゲイと仕事 #1)

          ゲイの恋愛観 - その3

          つれづれつづり、テーマ「恋愛観」の第3回。早いもので最終回です。 改めて今回のテーマで書いてきた自分の文章を読み返すと、やけにロジカルで淡々とした印象を受けて自分でもびっくりしてしまいました。 他のみなさんはもっとドラマチックだし、「こんな内容で大丈夫だったのかな…?」と今更少し不安になってきたり。前回の「平成」がテーマの時は、もっと感傷的に書いていたので、余計にギャップが気になる。 まあでも今更方向性を変えても仕方がないので、「ゲイの恋愛観がノンケと異なる3つの理由」の最

          ゲイの恋愛観 - その3

          ゲイの恋愛観 - その2

          つれづれつづり、テーマ「恋愛観」の第2回目です。 「ゲイの恋愛観がノンケと異なる3つの理由」の2つ目について書きます。 1.日常生活における出会いが無い 2.結婚という公的・法的な結びつきが無い 3.子供を残せない 結婚という公的・法的な結びつきが無い 20代後半の頃、同期の結婚ラッシュで毎月のように結婚式に行っていた時期がありました。 僕は涙もろい方なので、いつも挙式で泣きそうになってしまいます。 披露宴で新婦が親に読み上げる感謝の手紙よりも、挙式の方が個人的には胸に刺

          ゲイの恋愛観 - その2

          ゲイの恋愛観 - その1

          つれづれつづり、第2回のテーマは「恋愛観」となりました。 恋愛経験の乏しい僕ですが、ゲイにおける恋愛観はノンケのそれとは異なる傾向があるように思うので、つれづれ綴ってみたいと思います。 もちろん恋愛観はセクシャリティ関係なく人それぞれなので、「こういうものだ」と決めつける訳ではなく、あくまで個人の感覚だという点はご了承ください。 前回の「平成」のテーマで半生を振り返ったので詳細はそちらをご覧いただきたいのですが、僕はノンケに初恋して大失恋し、ゲイの世界に上手く馴染めず友達や

          ゲイの恋愛観 - その1

          平成の終わり、令和のはじまり

          平成17年春、はじめてのひとり暮らし。はじめての東京。 会社の寮(とは言っても借り上げマンションなので、普通に一人一室のマンション)に入り、同じように地方から上京した同期たちと仲良く遊び、仕事の忙しさに揉まれ、恋愛やセクシャリティのことなんて忘れてしまうくらいの慌ただしい日々が始まった。 週末の度に、東京のいろんな街に出かけた。 渋谷のタワーレコード。新宿のアルタ前。下北沢のライブハウス。 ニュースでしか見たことがなかった光景の数々に、完全におのぼりさん状態で目が釘付けだ

          平成の終わり、令和のはじまり

          平成後期、Hello World

          平成後期と書きつつも、平成中期のいろんな出来事があったので、少し時計の針をゆっくりと進めます。 ◇ Kへの初恋が終わり、「いつかきっと女の子のことを好きになれるから」という言葉を自分自身でも少なからず信じていた僕は、「彼女ができたら、女の子を恋愛対象として見れるようになるのかもしれない」という漠然とした希望に引きずられ、彼女を作ろうと躍起になっていた。 同じ地元から同じ大学に進学したとある女の子と少しずつ距離を縮め、大学1年生の文化祭の後に「付き合ってほしい」と告白した

          平成後期、Hello World

          平成中期、初恋

          平成中期。 当時世を騒がせていた、ガングロギャルやテレクラなどとは無縁な片田舎で、僕は思春期を過ごした。 ヤンキーが窓ガラスを割って周るようなこともない、平和で穏やかな学校。そんな学校の中でも、徐々に「生き辛さ」を感じ始めるようになる多感な時期。 中学生の頃は同性に性的興奮することを何となく自覚していたのが、高校生にもなるとそれは性的志向だけではなく恋愛感情の対象も同じだということに気付いてくる。タイプの友人や先生を、性的な目で見てしまう。プールの着替えや銭湯で、男性の裸

          平成中期、初恋

          平成初期、性のめざめ

          小学生・中学生と思春期を過ごした平成初期。 シャイでおとなしく容姿も平凡で、同窓会に出ても「えっと…誰だったっけ?」と言われてしまうような、クラスに沢山いるモブキャラの一人だったであろう自分。 そんな自分でも、人とは違った悩みを持ち始めたのが、小学生・中学生の頃でした。 ◇ 小学校に入学して程なく、バブルが崩壊した。 もちろん当時子供だった自分にはそんなことはまったく理解できていなかったけれど、思い返してみるとこの頃を境に、家族を取り巻く環境が少しずつ変わっていった気が

          平成初期、性のめざめ

          平成元年

          平成元年。 当時、僕は5歳ということで、記憶はほとんどない。 うっすらと覚えているのは、昭和天皇の崩御によりテレビがすべての局で数日間特別番組に変わり、CMも自粛され、子供心にも「なにか尋常じゃない自体が起きている。」という雰囲気は感じ取ることができた。 今になって想像してみると、震災直後の自粛ムードの空気に近かったのかもしれない。 昭和が終わり、平成が始まる。 そんなことは当然、5歳の子供の生活には何の影響も無く、地方の平々凡々とした家庭で日常を過ごしていました。