つれづれつづり_恋愛観_2

ゲイの恋愛観 - その2

つれづれつづり、テーマ「恋愛観」の第2回目です。
「ゲイの恋愛観がノンケと異なる3つの理由」の2つ目について書きます。

1.日常生活における出会いが無い
2.結婚という公的・法的な結びつきが無い
3.子供を残せない

結婚という公的・法的な結びつきが無い

20代後半の頃、同期の結婚ラッシュで毎月のように結婚式に行っていた時期がありました。
僕は涙もろい方なので、いつも挙式で泣きそうになってしまいます。
披露宴で新婦が親に読み上げる感謝の手紙よりも、挙式の方が個人的には胸に刺さります。

チャペルの扉が開き、純白のウェディングドレスとヴェールに身を包み、一生で一番美しい姿であろう花嫁が、眩しい光と共に曝される。
ヴァージン・ロードを父親に手を引かれ歩き、新郎へと手を渡される。
神の名の下と家族や友人たちの前で永遠の愛と操を近い、結婚誓約書にサインをし、二人は晴れて家族となる。
その一連の厳かで神聖な式の美しさに、僕はいつも胸を打たれる。

キリスト教信者でもないし、家父長制の象徴のような古典的な式のあり方に疑問も無くはないけれど、それでも僕はこうやって「大切な家族や友人たちの前で、この人と一生を添い遂げると誓う」という行為は、とても意味のあることだと思う。
婚姻届を提出して法的に家族として結ばれるだけでなく、こうして公的に誓いを示すことはいわば「覚悟」の表明。もちろん結婚式を挙げた後に離婚する夫婦も少なくはないけれども、それでも挙式での誓いがくびきの様に作用して危機を乗り越えられた夫婦も多いんじゃないかと思う。
法的に結ばれることによる配偶者控除などの「利益の享受」と、公的に家族や友人たちの前で一生の関係を誓う「覚悟」。
逆にいざ別れたいとなった際の、法的な離婚の手間と、公的なばつの悪さ。
そういった作用が、良くも悪くも夫婦の繋がりを強固にしているように思う。

今の日本では、ご存知の通り同性での婚姻は法的に認められていません。
それ故、恋人ができたとしても、ノンケのように「結婚」という明確なゴールがありません。いわゆる「結婚を前提にしたお付き合い」というものが無く、結婚や出産の適齢期も関係ないので、結構な年齢になっても付き合って別れてを繰り返す人が多い。
特定のパートナーを作らず、自由気ままに生きる人たちもいる。あるいは長い付き合いのパートナーがいても、「体の浮気であればOK」という暗黙のルールが設けられているカップルも多いように感じる。
それらの善し悪しを語るつもりはありませんが、やはりノンケの夫婦に比べると「覚悟」が小さく、脆い関係になってしまっているように感じる。
「病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、
 この者を伴侶として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」

その問いに何の躊躇いも無く「はい」とお互いに答えられるゲイカップルは、どれくらいいるんだろうか。

もちろん一生を添い遂げる覚悟で恋人とパートナーシップを築く人たちもいますが、前述の通り法的にも公的にも結婚できないことから、その道のりは一般的な夫婦に比べて困難だと感じる。
何年・何十年付き合おうが、パートナーは「配偶者」ではなく「恋人」でしかない事実。その不安定さと心細さは、歳を重ねると共に様々な現実問題と共に深刻になって行く。
パートナーが事故に遭っても面会すらできない。
生命保険の受取手にもできない。
資産の相続もできない。
子供がいないので、老後や介護は老人ホームに頼るしかない。
法的に守られていない以上、自分たちで強い意志を持ってリスクに対処しながら二人の関係を保っていくしかない。
それは嵐の中で必死に船のロープに捕まっている光景に似ている。
ふっと心が折れた瞬間に、ロープを手放したくなることもあるかもしれない。

僕自身も一般的なノンケ夫婦のように、特定のパートナーと家族のような関係性を続けて行きたいと思うタイプだけれども、自分たちより上の世代でそういった関係を上手く続けられているようなロールモデルとなるゲイカップルは意外と少ない。
10年以上付き合っていても別れるというケースもあるし、やはり結婚や出産というライフイベントが無ければ、夫婦に相当する関係を維持するには、かなり強固な意志が必要になってくるように思う。

少しずつ同性愛に対する世間の理解も浸透し始め、中には同性での結婚式を受け容れてくれる結婚式場も出てきたし、実際に挙式を行ったゲイカップルの話も聞いたことがあります。
ただやはりそれだけではどうしようもなく、法的な婚姻が認められない以上、現実的な問題は解消されない。(実際、結婚式場で式を挙げたゲイカップルが、その後に別れたという話も聞きました)
同性愛者のみんながみんな同性婚を求めている訳ではないだろうけど、せめて選択肢として与えられるように、同性間でも平等に婚姻の権利が認められるようになってほしいと切に願います。

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