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ゲイと老後

つれづれつづり、第4回のテーマは「老後」となりました。

新型コロナウイルスが猛威を古い、世界が未曾有の危機に瀕しており暗いニュースばかりの中ですが、若干辛辣な内容になっておりますのでご了承ください。

今までの「恋愛観」「仕事」のテーマでも触れてきましたが、今の日本においては同性間の婚姻は認められておらず、出産もできないため、我々ゲイの老後は多くのストレート男性が歩む道とは大きく変わってくると考えています。

老後に危機感を持つ

老後について語る前に、まずは人生観について考える必要があります。
私の人生観に大きな影響を与えたのは、「LIFE SHIFT」というベストセラーにもなった本でした。

この本に書かれていることを要約すると以下の通り。
・長寿化、医療の進歩により平均寿命が100歳を超える時代になる
・貯蓄や年金だけでは老後の資金は不足する
・定年後も働き続けられる能力やキャリアが必要

特にパンチを受けたのが、「貧しい人たちは、不快で残酷で長い人生を強いられる」という言葉。
日本という恵まれた国に産まれ、周りと同じように教育を受けて学校を卒業し、就職して65歳まで働けば、余生は年金で悠々自適に暮らせる。両親を見ているとそんな風に思い込んでしまうかもしれないけれど、それは親世代が年金制度を最大限に享受できるからで、我々若い世代にはもはや幻想になった。
日本の年金制度が作られたのは1959年で、当時の男性の平均寿命は65歳。現在の日本の平均寿命は84歳。当時より20年近く伸び、さらに伸びると言われています。
そして超高齢化社会により年齢ピラミッドもいびつになり、受給額の低下、受給年齢の引き上げなど、年金制度自体がもはや破綻しつつある。
資産や貯金も無く、雀の涙のような年金や生活保障だけで、30年も生き続けられるだろうか。
最低限の水準の生活はできるかもしれないけれど、100年時代を見越して生きてきた周りの友達は、定年後も精力的に働いたり美味しいものを食べたり旅行にいったり、いつまでも活き活きとしている。
そんな様子をSNSで見て羨みながら惨めに生きていくのは、自分は絶対に嫌だ。

さらに追い打ちをかけるのが、介護や住居の問題。
われわれゲイは子供を作ることができないので、年老いても面倒を見てくれる子供や孫はいない。
パートナーがいる方はパートナーの介護を受けられるかもしれないけれど、パートナーも同様に年を取るし同じように健康を損ねる可能性もある。
そうなると老人ホームや介護施設に入居する必要があり、そのお金も自分が用意しなければいけない。
家やマンションを買っていなければ、賃貸に住み続けることも難しいかもしれない。いつ孤独死するかも分からず身寄りのない高齢者の一人暮らしに、喜んで部屋を貸してくれるオーナーがいるだろうか。

また、自分自身が家を持っておらずパートナーの家に住まわせてもらっていて、万一パートナーが亡くなった場合、その家に住み続けることはできるのでしょうか。
つい最近、40年以上同居して仕事も一緒にしていた同性パートナーが、火葬にも立ち会えず遺産の相続も「証拠が無い」からと認められなかったという、大変に痛ましい出来事がありました。
法的に保護されない、我々同性愛者の立場はあまりに弱い。


生き抜く力を身につける

ここまで述べてきたように、将来について何も考えずにぼんやりと生きていると、われわれゲイには辛い老後が待っていることは間違いないでしょう。
では今から老後に備えてできることは何なのか。
やはり厳しい老後を見据えて、若いうちから以下のような努力をしておくことが大切だと思います。
・会社に依存せず、市場価値を高め続ける
・定年後も働き続けられる能力・キャリア・人脈を築いておく
・住居や貯蓄などの資産を形成する
・同性間の婚姻が認められるような社会にする

繰り返しになりますが、
「日本は先進国で恵まれているので、漠然と生きていても将来は安心」
といった考えは幻想になりつつあります。
ゲイは子供がいない分、自由に使える時間やお金は家庭を持っている男性に比べて多いはずです。なのでそれらを無駄に浪費せず、自分への投資に使う意識が大切になってきます。

老後のことを考えると不安でどんよりとしてしまうかもしれませんが、いつまでも若々しく活き活きと魅力的な人間になれるように、若いうちから意識を持って生き抜く力を身に着けていきたいものです。

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