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唐戯曲を読む!へのいざない 求む、知的好奇心が旺盛な、演劇に携わる方々


「『読む』ことこそ、
すべてのアートのファンダメンタル(基礎)である。」
「主人公シュレの家へ、昔の戦友グレが訪ねてくる。
グレは生命保険の勧誘に来た。彼が書類を出して、
口で説明にかかろうとすると、シュレがそれを押しとどめる。
『僕は文字からの方が頭に入りやすいから』と」
(三一書房『現代日本戯曲大系 第二巻』p.465 
福田善之氏による解説ー木下順二『蛙昇天』について…)

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先の緊急事態宣言の発出を受け、公演の中止や日程の変更、対応の変更を迫られているすべての演劇関係者の方々の不安と心労を想像し、心よりお見舞い申し上げます。

20時以降の不要不急の外出自粛の要請を受け、影響を被った劇場、主催団体、関係スタッフ、俳優を含む全員がしかるべき補償を受けられるよう、一演劇関係者として強く望みます。

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昨年春の緊急事態宣言以降、他のあらゆる業種と同じようにコロナ禍の影響を大きく受けている舞台芸術業界です。

その負の側面を挙げだすとキリがなく辛くなるのでいけませんが、個人的に思いがけずよかったことがただ一つあるとすれば、それは自由な時間が増えたことです。

そしてその時間でたくさんの戯曲を読むことができたことです。

『現代日本戯曲大系』という、戦後の日本で書かれた戯曲を年代別に集めた戯曲集があるのですが、その8巻分、本数にして117本の戯曲、すなわち演劇の台本を読もうという読書会がありました。

奇しくも緊急事態宣言下の昨年5月、敬慕する先輩からたまたまお誘いを受け、「まあ、時間もあることだし…」と、ノコノコそれに参加して地獄を見たというのが「THE コロナ禍」2020年の、ひとつのいい思い出でした。

(時に)しんどくても、(しばしば)訳が分からなくても、戯曲をたくさん読むことで見えてくるものはたしかにあったのでした。

その読書会を主催されていたのが、演劇研究者で成蹊大学教授、昨年末に白水社から『三島の子どもたち』を上梓された日比野啓先生。

そして昨年、緊急事態宣言直後の東京で『野獣降臨』を緊急上演された、演出家でドナルカ・パッカーン主宰の川口典成さんのお二方でした。

他にも多くの演劇研究者、批評家、演出家や俳優といった実演家も交えながら、怒涛の勢いで8巻100本以上の戯曲を読み切った壮絶な読書会でした。

なにしろ日比野先生、川口さんをはじめとして、むちゃくちゃ聡明な演劇関係者の人たちが集まっていますから、ただ話を聴いていても得られる知識や視野のひろがりというのは、それはもうすごいのものです。

その読書会を通じて、ある俳優の方の発案からインスピレーションを受け、すこし趣向を変えて新たな読書会を企画してみよう。というのが、今回の「唐戯曲を読む!」という企画です。

【開催スケジュール】
2021年1月より2021年5月末まで
全7回
三週おき 日曜日 19時30分~21時30分
オンライン(ZOOM)にて実施します。

言うなれば理論と実践の両輪で、時に難解と評される唐十郎氏の戯曲を、もうすこし実際の身体に引き付けつつ声に出して読解してみよう、という読書会とワークショップのハイブリット企画といった感じでしょうか。

ナビゲーターとして日比野先生、川口氏の盤石の両布陣に加え、そこへなんとさらに、特別ゲストとして唐組でも長らく活躍された赤松由美さん(俳優)唐十郎氏の直系、劇団唐ゼミ☆代表の中野敦之さん異才の演出家、庭劇団ぺニノのタニノクロウさんをお迎えします。

控えめに言って、結構豪華ではありませんか……!

そしてそこへさらに、先の読書会へも参加された研究者、実演家の方々も奮って参加される予定です。

観客、実演家、批評家、ライター、劇場制作、プロデューサー、研究者、テクニカルスタッフ、学生の方など、演劇にかかわるありとあらゆる方にはもちろんのこと、まったく演劇を観たことがない方や、あるいは純粋に唐十郎戯曲のファンの方など、全方位におもしろくってためになることうけあいの豪華企画です。

決して怖いもよおしではありませんし、怖い方々ではありませんし、「読み合わせはちょっと…」という方に無理やり読ませたりもしませんし(ギャラリーでの参加も歓迎します)、どなた様もお気軽に、ポップにご参加いただければと思います。

価格設定も、通常回でしたら一回500円、特別ゲストの回でも一回1000円、お得な通し券(4000円)もご用意しています。

https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01jh7411cfmu5.html

ぜひ、お気軽にご参加いただければと思います。

ナビゲーターの日比野啓先生が「戦後日本演劇全体の見取り図を作成する」べく昨年末上梓された高著『三島の子どもたち』の中の言葉をもって、このお誘いの結びとしたいと思います。

「アングラ演劇が新劇を批判したのは、新劇(および、新劇が模範にした西欧の近代劇)の台詞の多くが、行動に繋がるものではなく認識に関わるものであるにもかかわらず、そのような認識を劇的行動として成立させるための台詞術を持たないからだった。『特権的肉体こそが、言葉を案内してゆかねばならない』と啖呵をきったときの唐十郎は、劇作家の言葉に対する俳優の身体の優位、というような粗雑なことを主張したわけではなく、アクションに直接導かれることのない、観念的な言葉の羅列を上演の場でどのように処理したらよいのか、という切実な実践上の問いを(自らに対しても含めて)投げかけていた。」
(日比野啓『三島の子どもたちー三島由紀夫の「革命」と日本の戦後演劇』p.222 白水社)

唐戯曲を読む!詳細
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01jh7411cfmu5.html

唐十郎戯曲を読む! (1)


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