求められるリーダーは構成員で決まる
チームの構成員によって全体のパフォーマンスが高くすることが出来るリーダー像が変わるという趣旨の論文をがあったのでメモ(1)。
読者の皆さんはリーダーというと,どういった人間像を思い浮かべるでしょうか。
2006年のリーダーの性格に関する,1500以上の企業の最高幹部クラスを対象に行った調査によれば(2),約65%が内向性がリーダーシップを取るうえでの障害になると回答しています。一方で内向性が外向性と比較してリーダーの素質として効果的であると回答したのは約6%でした。
別の研究では外向性は西洋文化圏においてカリスマ性や支配性などの側面においてリーダー像と一致していると述べられています(3)。
しかし一概に外向性が高い人物がリーダとしての素質を備えていると言えるのでしょうか。今回の論文はチームの構成員の積極性によって求められるリーダー像を変わることを教えてくれます。
2011年にペンシルベニア大学のアダム・グラントらがリーダーの性格とチームのパフォーマンスの関係について調べるために調査を行いました。
調査の対象になったのはピザ配達130店舗の従業員とマネージャーでした。
調査対象者には正確に関する質問紙に回答してもらい,2つの側面に関してのデータを得ました。その2つの側面というのは以下の通りでした。
・外向性
・内向性
そして,店の生産性については1週間の店の売り上げを参考にし,マネージャーと従業員の性格の組み合わせによってチームの生産性が変わるのかを調べました。
調査の結果,マネージャーの性格特性が外向的であった場合に,チームの構成員の積極性が低い時には生産性が上がるが,チームの構成員の積極性が高い時には生産性が下がりました。
一方で,マネージャーの性格特性が内向的であった場合に,チームの構成員の積極性が高い時には生産性が上がるが,チームの構成員の積極性が低い時には生産性が下がりました。
つまり,チームの構成員の積極性の違いによって全体のパフォーマンスが上がるリーダーの内向性・外向性が変わるということが分かりました。
これまでの研究では積極的な行動が高いチームのパフォーマンスにつながる証拠を多く提出してきました(4,5)。しかし今回の結果から考えるとチームの構成員の積極的な行動はリーダーの性格特性いかんで大きく左右されるといえるでしょう。
(1)Grant, A.M., Gino, F., & Hofmann, D. (2011). Reversing the Extraverted Leadership Advantage: The Role of Employee Proactivity. Academy of Management Journal, 54, 528-550.
(2)Jones, D. 2006. Not all successful CEOs are extroverts. USA Today, June. www.usatoday.com/money/companies/ management/2006–06-06-shy-ceo-usat_x.htm. Accessed November 9, 2008.
(3)Lord, R. G., De Vader, C. L., & Alliger, G. M. 1986. A meta-analysis of the relation between personality traits and leadership perceptions: An application of validity generalization procedures. Journal of Applied Psychology, 71: 402–410.
(4)Grant, A. M., & Ashford, S. J. 2008. The dynamics of proactivity at work. In A. P. Brief & B. M. Staw (Eds.), Research in organizational behavior, vol. 28: 3–34. Greenwich, CT: JAI Press.
(5)Griffin, M. A., Neal, A., & Parker, S. K. 2007. A new model of work role performance: Positive behavior in uncertain and interdependent contexts. Academy of Management Journal, 50: 327–347.
■THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す/アダム・グラント (著), 楠木 建 (監修, 翻訳)
■人を動かす/D・カーネギー (著), 山口 博 (翻訳)
■影響力の正体 説得のカラクリを心理学があばく/ロバート・B・チャルディーニ (著), 岩田 佳代子 (翻訳)
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