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美味しい記憶2.美味しい水

渇きがあるから水は美味しいのではないか。


2回目は、前回に引き続き登山中の話です。
前回(みかんのシロップ漬けnote)を呼んでない方は是非。



過酷な登山、その中で最も過酷だったのは水の補給所がひとつ無くなっていたこと。
水が足りないのは生命の危機だ。

もう暗いし、明日の朝に汲みに行こう。
そんな話をして、その日は眠りについた。

そして朝、水場のあるべき場所に行くと、そこには何も無かった。
登山道の水場は、川や湧き水などの天然物なので、自然に左右される。

ううむ、水が無いのはヤバい。
生きて山を降りれなくなっちまう。

次に近い水場、遠いな。。。
けど行くしか無いし。

と思い、歩いた。
朝から山道を何キロも歩いた。
寝たことで収まっていた身体の疲れや痛みがぶり返し、喉も渇く。
まだ??って何度も思ったところで、やっと水の音が。

喜んで早足になる。
一人がマムシを踏みそうになるが、間一髪でセーフ。
こんな所で噛まれたらどうしようも無い。


改めて、気を引き締めて、水を拝む。
なるたけ綺麗な所から、両手で水を掬い飲む。
キンキンに冷えた水が体中に染み渡る。

水源としても有名な丹沢。
名水の山だから美味いのは分かっている。

だけど、その川に着くまでの紆余曲折が更に美味しい味にしたのだろう。
特にあの一口目の美味しさはどんな飲み物にも勝るんじゃ無いかな。
空腹は最高の調味料何て言うけど、水を美味しくするには渇きや疲労が最適なのかも知れない。

水筒と、予備のボトルにたっぷり詰めて、山歩きに戻る。
けど、一度容器に入れると違う水になるのだろうか。
なんでだろうか味が違う。


今では、川の生水の危険性や、準備の大事さを分かっているので、そんな命がけで水を飲むことは無いのだけど
それでも時々あの味を思い出す。

美味しい水、また飲むことがあるのだろうか。

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