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小説

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こちら時空管理局。何らかの影響によりこのアカウント内に小説が発生してしまった。パルス誘導システムを使用して、マガジンに閉じ込めておいた。もし興味があったら見ておいてくれ。以上
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#SF

小説|ピンク・ポッド・ペアレント

小説|ピンク・ポッド・ペアレント

[オートログ 5532年15月4日 12:05 ククリリ ラボ棟第27号ラボ]

 ああ、やばい。やばいよな。絶対にやばいよな。確かここに置いたんだよ。置いた置いた。間違いなく置いた。それは覚えてる。確実に覚えてる。で、それを眺めてて……。さっき起きたら、無いんだよ。無いんだよここに。なんで? なんでだろ。テーブルの下には……無いんだよな。無いんだよ。さっき探したよここは。何回も探した。で、やっぱ

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小説|この世のありとあらゆる

小説|この世のありとあらゆる

生体認識完了。シリコン製アーム感度調節、調節完了。コード読み込み中。

私は今、白いベッドの上に裸で寝転んでいる。体中には電極がこれでもかと貼り付けられ、細かい一挙一動も全てコンピュータへと記録される。
今こうして考えていることも、おそらく記録されているだろう。
多少の恐怖心を感じる。まだ誰も受けたことのない試験なので、それは仕方のないことだ。

コード読み込み完了。試験開始まで五秒前。

なんの

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短編小説|のびのび

短編小説|のびのび

『───で、おやすみ。って言って、それで…』

 そこで音声はプツという音を立てて静かになった。

 耳を澄ますと「サー」というホワイトノイズが聞こえる。

 突然、ガチャリとラジカセが鳴ると、今度こそ本当に静かになった。

 二階の六畳間で、向かい合うように座っていた正志と茂道は、そのままラジカセをしばらく見つめていた。

「ほら、やっぱりこんなもんじゃないっすか」

 ふてくされたように茂道が

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