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安全と信頼の関係性

みなさんこんにちは、ヘルスケア&フィットネスのお仕事や学びをサポートしている工藤です。

本日は「安全と信頼」をテーマにした記事です。

ぱっと聞くと企業のスローガンにありそうなワードですが、本日は少し違った角度からの記事になります。

 

ここ最近、私は経営学の基となっている経済学・心理学・社会学の学びを続けていました。

企画やマーケティングなど、仕事の土台となる思考の軸を固め直したいと考えるようになったからです。

経済学・心理学・社会学はいずれも「人間とは何か」を突きつめる学問です。

上記3領域の中で、私にとって最も馴染みがなかったのは「社会学」でした。

「人間は社会的な生き物である」とはよく耳にしますが、社会学は独学も含めて全体像がよくつかめていませんでした。

経営学の中では、「組織・マネジメント」についての領域が社会学のバックボーンが強く反映されている領域だと考えられます。

小規模な組織でも、2人以上の人間が存在していれば、そこには社会的な関係が生まれるからです。

そして、そこには自然と信頼関係が生まれます。

その「信頼」にスポットを当てた本がこちらです。

信頼の構造 こころと社会の進化ゲーム(山岸俊夫、東京大学出版会)

私が本書を知ったきかっけは、早稲田大学ビジネススクール教授・入山章栄氏の著作「世界標準の経営理論」でした。

以前こちらの記事でも取り上げたことがあります。

「信頼の構造」の著者である山岸俊男氏は、世界的に高名な社会心理学者です。

入山氏は人のつながりに関心を持つ人たちに対して、「信頼の構造」をはじめとした山岸俊男氏の一連の著作を推奨しています。

また、「経営理論を深く知るために重要なことは、経営学書やビジネス書を読むことではない」と入山氏は述べています。

この考えは私の現在の学びに影響を与える言葉となりました。

しかし思考の原著とも呼べる書籍を実践に活かすことは、非常に難解な選択でもあると感じています。

 

「信頼の構造」に話を戻します。

私が本書で最も興味深いと感じたことは、下記の6項目です。

①信頼が必要とされるのは、社会的不確実性が大きな状態である
②安定した関係の中では、そもそも相手が信頼できるかどうか心配する必要がない
③コミットメントした関係は機会損失を生み出す
④安定した関係にとどまらない方が、チャンスを得られる機会が大きい
⑤一般的に信頼感の低い人は、特定の人とコミットメントを形成しようとする
⑥社会的不確実性が大きい時は、人を信頼する人の方が有利

詳細説明は割愛しますが、上記を端的にお伝えすると、

・信頼は自然に生まれるものではない
・安全な環境では信頼は生まれにくい(例:現在の日本)
・不安定な環境では信頼は生まれやすい

…というものです。

これは納得のいくものでした。

治安が良くて平和な環境であればあるほど、個人に対する信頼は要らなくなる。

逆に、治安が悪くて不安定な環境では、特定の人と信頼関係を作らなければやっていけない。

環境の安定度と、人の信頼が相反する関係にある、という視点が大変興味深かったです。

自分の周辺の人間関係も、客観的に振り返ってみようと思います。

みなさんの周りはいかがでしょうか。



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