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マンガ「月曜日のたわわ」新聞広告の炎上を調査したら、1万リツイートされてしまった人が考えたこと(前編)

※この記事は前編と後編に分かれています。
300円の有料記事として設定していますが、無料で全文を読むことが出来ます。
なお、前編に課金頂けると、今回の「月曜日のたわわ」新聞全面広告に関する調査の単純集計表(PDF)がダウンロードできるようになります。
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こんにちは、いっちゃんと申します。
皆さんは、マンガ「月曜日のたわわ」の日本経済新聞(2022年4月4日)全面広告が炎上した事件をご存知でしょうか。

この炎上についてリサーチ会社に依頼して調査を行い、Twitterで発信したところ、多くの方に拡散頂けました。(2022年4月13日時点で11000リツイート以上)

せっかく多くの方に拡散頂いたので、この調査を行ったきっかけ、私の仮説や追加調査も含めて、この記事でお知らせしたいと思います。

この記事でお伝えしたいこと

  • この調査を行った理由 … ある女子高生が叩かれていたのを見て

  • 調査前に行った考察と費用 … ワンコインから出来ることを知った

  • 頂いた意見や分析 … 意見は肯定派・否定派だけじゃない

  • 新聞広告としての妥当性(後編) … 追加調査で妥当性を探ってみる

  • 表現規制に対抗するために(後編) … 子どもや若者が自由な表現ができる社会にしていこう

この調査を行った理由

元々私は、表現規制反対派のチラシ配りボランティアや少額の寄付などを行ったことのある程度には、コンテンツやエンターテイメント表現の自由に興味がありました。
また、マイクロインフルエンサーのすももさんが、いくつかのジェンダークレーマーによる炎上について、予算をかけて調査を行っていることも知っていました。
ただ、私は大学すら出ておらず、統計調査に関する知識も乏しいため、自分も別件でやってみようという気はまったくありませんでした。

月曜日のたわわの新聞広告が炎上したことを知った時も、すぐ調査をしようと思ったわけではなく、「またジェンダークレーマーが騒いでいるのか…」と残念に思った程度でした。

そんな中、とある女子高生のツイートが目に入りました。
その女子高生は広告に肯定的なツイートをしていたのですが、それを女性や男性フェミニストと思われる方を含む、複数のアカウントから追及を受けていたのです。
既にYouTubeやまとめサイト等にも紹介されていますので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、誹謗中傷するような書き込みも数多くありました。

ソーシャルゲームやVTuberの認知が広がり、子どもたちが読む絵本の絵柄も昔から大きく変わっている昨今、女性がいわゆる「萌え絵」を好むことは、日本国内では一般的です。また、そういったイラストをメインに活動するクリエイターの多くは女性です。
そういった中で、クリエイターやそういったコンテンツを好む女性が、ネット上で攻撃され、傷つけられるケースが多発しています。

特に、今回は今年の3月まで中学生だったと思われる女子高生が攻撃されていたことに、正直ショックを受けました。
今までも中高生と思われるアカウントがジェンダークレーマーから攻撃されているのを見たことはありましたが、今回は特に激しく、特定されるのではという恐怖で母親と一緒に寝たというツイートも見られました。

私自身、それこそ生活保護や児童相談所などが関わる活動をしていることもあり、少なくとも一般的な成人男性よりは10代・20代と関わることが多いと感じているのですが、好きなものを大人から強く否定されたり、それこそ炎上させられることは、一般的な中高生にとって大きな精神的負担となります。

どうしたらよいだろう、なにか出来ることはないか。

そんな時に頭に浮かんだのがインターネット調査でした。
なお、調査結果は上記の女子高生のアカウントに既に送付済みです。

調査前に行った考察と費用

調査を行う前に、この広告の何が問題になっているのかを改めて考えました。ハフィントンポストによる記事や、ツイッター上の否定側の意見を踏まえると、共通するのは「未成年を性的対象として見てはいけない」という点ですが、その他の主な理由は大まかに以下の3点と思われます。

  • 広告自体が性的であり、見たくない表現(広告自体が悪い説)

  • 月曜日のたわわを掲載しているヤングマガジン(講談社)が出した「元気になってもらうため」というコメントや、そもそもマンガの内容が問題(講談社が悪い説)

  • 日本経済新聞が掲げてきた「有害なステレオタイプを撤廃」する理念と反する(日経新聞が悪い説)

このうち、「講談社が悪い説」ですが、わざわざ広告を出したことに関するコメントを、月曜日のたわわをまったく知らない未成年が見に行くケースがどの程度あるのか、私には正直疑問です。知らないコンテンツの広告リリース記事を能動的に見に行く人は、かなり少数とみてよいと思います。
マンガの内容が悪いと主張する方もいましたが、サービス内容の賛否が分かれる新聞広告(新興宗教、反ワクチン、極右・極左雑誌など)は多数ありますので、この広告で特筆すべき点は特にないと考えます。

「日経新聞が悪い説」については、上記以上に疑問を感じます。購読している新聞がどのような理念や編集方針を持っているのか正確に把握している人は、学者や記者など一部に限られるのではないでしょうか。

その中で、「広告自体が悪い説」については、日経新聞を購読している家庭に住んでいたり、意識の高い学生も一定数いると仮定した場合、もし広告が未成年を傷つけるようなものであれば、表現の自由に関する問題は別として、広告として問題があると言えるかもしれません。

元々の調査のきっかけもふまえ「性的対象としてはいけないと指摘された世代、及びそれに近い世代の女性が、新聞広告から受ける印象」という点に絞って調査を行うことにしました。

ネット調査を行うに当たり、先人の方々が使われていたツールや、それに近いツールを調べ、Z世代の3万人を対象とした調査で使われており、大学や有名企業でも使われていることを踏まえ、Freeasyというツールを採用することにしました。

なお、このツールは500円から調査依頼が可能で、個人でも登録が可能なものです。
ちなみに、今回の調査(全国の10代・20代の女性100名)でかかった費用は1,100円(後述の調査を含めても2,200円)ほどです。予想以上に安価でした。しかも、わずか1日で調査が完了。本当に驚きました。

正直、こういった調査は初めてだったこともあり、どの程度の予算をかけるべきか悩んだのですが、少なくとも傾向はわかるだろうという認識でした。
なお、調査公開後に統計に詳しいと思われる複数の方から、「傾向の把握というレベルではこのデータで問題ない」という指摘がありました。

頂いた意見や分析

公開後、すぐにネット論客の青識亜論さんに紹介頂けたこともあり、あっという間に拡散され、弱小アカウントの私にとって最も拡散されたツイートとなりました。
正直、攻撃的なツイートばかり届くだろうと思っていたのですが、勉強になるものを含む、様々なご意見を頂いたので、簡単にまとめた上で、コメント付でご紹介させて頂きます。

・草www ざまぁwww くそBB○の反対派は○ね
そういう煽りではなにも解決しないと思っているので、その煽り力をなにか別のところに使って下さい。

・サンプル数も設問も少なすぎるので、この結果は誤り
誤差有りを前提に行いました。また、いくつかのアカウントから、この調査方法だと10%ほど標本誤差がある可能性があるというご指摘があり、それを踏まえても傾向としては誤りではないと思っています。また、χ二乗検定を行っても有意な差は見られないのでは、1000~2000サンプル程度あればより正確になるのではという意見もありました。
いずれにせよ例数が少なく、本結果を持って確実な結果とは言えないので、今後さらなる調査が待たれます。

・18%が問題有りというのは見逃せない、マイノリティとは言えない
数字だけみるとその通りだと思います。ただ、2:6:2の法則では?という意見もありましたし、多少尖った新聞広告の是非で2択にした場合、2割くらいは問題有りになるのでは?と感じたため、後述の追加調査を行いました。

・女子高生だけど、正直どうでもいい
正しい。多分、これが多数派だと思ってます。

・中高生には判断できない、理解もできない
これが若者支援に関わる私としては一番もやっとした意見でした。子どもの権利条約(12条)では、子どもを保護の対象としてだけではなく、一人の人間として認め、自己決定を含めた権利の主体としています。この広告をどう思うか?程度の10代・20代の意見表明すら尊重できない上の世代が、子どもを適切に保護できるのか疑問です。


ここまでの内容

  • この調査を行った理由 … ある女子高生が叩かれていたのを見て

  • 調査前に行った考察と費用 … ワンコインから出来ることを知った

  • 頂いた意見や分析 … 意見は肯定派・否定派だけじゃない

続きは後編へ

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