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マンガ「月曜日のたわわ」新聞広告の炎上を調査したら、1万リツイートされてしまった人が考えたこと(後編)

※この記事は前編と後編に分かれています。先に前編をお読み下さい。
300円の有料記事として設定していますが、無料で全文を読むことが出来ます。
なお、後編に課金頂けると、後述する朝日新聞の新聞全面広告に関する調査の単純集計表(PDF)がダウンロードできるようになります。
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新聞広告としての妥当性

ここまでこの調査について語ってきましたが、「18%が新聞広告に問題有りとした」ことの評価が難しいと感じました。
ただ私の予算的にスクリーニングを行ったり、世代やサンプル数を増やした大規模調査を行うのは難しいため、近い部分が多いが、異なる部分もある内容の新聞広告でも同様の調査を行い、数値を比較すればよいのでは?と素人考えで思いつきました。
検討の結果、国内最大手のVTuber事務所「ホロライブ」が2022年3月1日(火)に行った新聞全面広告(朝日新聞)のうち、兎田ぺこらさんの広告でも今回と同様の調査を行うことにしました。

以下が、検討時に行った項目と内容になります。

  • 広告の行われた時期 … どちらも2022年春の新聞全面広告で、調査対象のずれは少ないと思われます。

  • 炎上の有無 … ホロライブの新聞全面広告を問題視する投稿は、Twitterや各種Webメディアでほぼ見つからず、炎上していません。

  • 胸の見え方 … どちらかというと兎田ぺこらさんの方が小さいが、より強調はされているように思えます。

  • 足の見え方 … どちらも丈は短く、足については兎田ぺこらさんの方が若干強調されているように思えます。

  • 年齢 … アイちゃんは高校生、兎田ぺこらさんは111歳のため単純に比較はできませんが、人間として見るとどちらも少女と言えます。

  • 海外からの評価 … アメリカの調査会社が行っている世界女性ストリーマーランキングで、兎田ぺこらさんは2年連続で世界トップ5入りしています。加えて、非公式ですが、33.7%が海外のファンという調査もあります。

  • 女性人気 … 具体的な数値は不明ですが、兎田ぺこらさんの出演したライブ(3期生ライブ)で女性ファンが多かったという現地レポートが複数あり、コスプレイヤーも検索で多くヒットします。

  • 掲載新聞 … 日経新聞とは異なりますが、朝日新聞もジェンダー平等宣言を行っており、世間的にもリベラル寄りと評価されています。

  • 結論 … 同じ二次元コンテンツ、かつジェンダークレーマーがよく指摘する点が近い新聞広告です。また、炎上していない、海外でも評価され、女性ファンも多いという点は「月曜日のたわわ」とは異なり、「問題のない広告は批判されない・海外では違う・多くの女性の意見は違う」といったよくある批判は当たりづらいため、この広告を選びました。

調査の結果、兎田ぺこらさんの全面広告については、82%が特に問題はない18%が問題があると回答し、誤差をふまえない場合「月曜日のたわわ」新聞広告の調査とほぼ同様の結果が出ました。
詳しくは、下記の記事をご確認下さい。

炎上の有無に関わらず、ほぼ同様の結果が出たことをどう考えるかは皆様にお任せ致します。

ただ、あくまで私の想像でしかありませんが、もはやこれは「オタク向けっぽいイラストを使っていれば、若い女性の1~3割は新聞広告としてなんとなく微妙だと感じるが、問題ないor興味ないが多数派」というレベル感の話ではないでしょうか。

ここまでの調査や頂いた意見を踏まえても、「月曜日のたわわ」新聞広告に対し、とりわけ大きな問題を私は見つけることはできませんでした。

日経新聞や朝日新聞に限らず、アニメやマンガ、ゲーム、VTuberなどの新聞全面広告が珍しくない昨今、「月曜日のたわわ」新聞全面広告が不適切であるとは言えない、ましてや当事者世代の多くが危険を感じたり、性的被害を誘発させるようなものではないと私は感じます。

表現規制に対抗するために

今回のようなジェンダークレーマーによる炎上は、断続的に続いています。
「日本版キャンセルカルチャー」が巻き起こす結果は、「表現がキャンセルされる」という表面的なものだけではありません。
救われた、助かった、生きやすくなったという声よりも、苦しめられ、謝罪させられ、炎上に怯えなければいけなくなった人々の声が多く聞こえてきませんか?

全国フェミニスト議員連盟によって警察とのタイアップ動画を削除させられたVTuber戸定梨香さんと、所属事務所「VASE」代表の板倉節子さんのこのツイートは、今見ても辛くなります。

そして、奇しくも「月曜日のたわわ」全面広告と同じ4月4日に発売されたヤングマガジンの月曜日のたわわコラボグラビアに登場した、グラビアアイドルの伊織いおさんは、身長やカップ数が、今回の広告に登場したアイちゃんとほぼ同じです。
「宇崎ちゃん」論争の時にも身体的特徴を差別するジェンダークレーマーがいましたが、今回のアイちゃんも、もちろん伊織いおさんも一切侮辱される所以はありません。

また、伊織いおさんは過去のインタビューで「女として見られたくないっていうのもあり、男子の制服を着ていた」「進学したのは女性が少ない建築系の専門学校」と答えています。
そういった経験を経た上で、自らの意思で、今回の月曜日のたわわコラボグラビアを含め、様々なメディアで活躍するグラビアアイドルになりました。

ジェンダー平等や子どもの権利を叫ぶ大人にとって大切なのは、問題とはいえない作品や巨乳の女性を叩くことではなく、アイちゃんや伊織さんのような若者の意思を尊重し、安心して生きていけるよう行動していくことではないでしょうか。

現在、神崎ゆきさんを始めとした女性マイクロインフルエンサーが、ジェンダークレーマーを始めとした日本版キャンセルカルチャーに対抗するために声を上げています。

私からも、そういったキャンセルカルチャーに対抗するために、2点提案させて頂きます。

1点目は、2022年7月に行われる参議院議員選挙での投票です。
実は、この選挙が終わると、衆議院が解散しない限り当分の間国政選挙がありません。
そのため、選挙のない間にジェンダークレーマーによる意見が国会に浸透すると、その流れを止めるのは非常に難しくなります。
18歳が成人となったタイミングということもあり、既に規制派の団体が与党に接近しています。昨今は規制派は野党・リベラル系議員が多いので勘違いしがちですが、「表現規制反対で有名な山田太郎参議院議員がいるから、与党自民党は大丈夫」という状況にはありません。

2022年4月14日現在、私が把握している限り、エンターテイメント表現の自由に前向きなのは、下記の候補です。なお、全国比例の候補には、日本全国どこからでも投票できます。

個人的には石井苗子さんが推しですが、その他の政策を含め、皆さんに判断頂けたらと思っています。
なにより、「表現規制反対を掲げる候補に投票すること」が大切です。

但し、例えば「保守系の候補で、表現規制反対を掲げてはいるが、別の場所では表現の不自由展の開催に反対している」といった言行不一致な候補には注意が必要です。

また、少しハードルは高いですが、選挙ボランティアに参加してみてもよいかもしれません。
私は昔、カラス(選挙カーで候補の名前や政策を連呼するウグイス嬢の男性版)や、駅頭でのチラシ配りなどに参加したことがありますが、意外と面白いですよ。

2点目は、主にジェンダークレーマーが主張している「性的搾取されている」とされる子どもや若者たちへの支援です。
私は若者の居場所作りや貧困等の支援活動をしており、今まで家庭内の暴力や貧困に苦しむ若者に対する相談業務や住まいの確保、児童相談所や福祉事務所、警察(支援措置他)などへの同行経験があり、その中には女子高生を始めとした10代女性もいました。

既に「月曜日のたわわ」新聞広告肯定派の方々から、上記のように「#迷惑な抗議活動より被害者支援を」というハッシュタグで、支援団体への寄付の呼びかけが行われています。
私も、このハッシュタグに賛同しています。

もちろん寄付をするだけでも大きな力なのですが、もし可能なら実際に身体を動かした支援をして頂きたいと思っています。
なぜなら、現場を少しでも見ている人と、机上で語っている人では、解像度が大きく変わってくるからです。
様々なボランティアの募集は、お住まいの地域のNPOセンター社会福祉協議会にいけば情報はたくさんありますし、検索すれば下記のような募集はたくさん見つかります。

もし、「子どもや若者と話すのは、ちょっとハードル高い」という方は、フードバンクでのボランティアがおすすめです。
フードバンクとは、賞味期限が近かったり、工場で規格外となってしまった品などを引き取り、福祉施設等へ無料で提供する団体です。
こういった団体で、商品の箱詰作業をしながら、他の支援者と話すだけでも、支援の現状が見えてきます。

DVや性的被害から貧困になってしまったり、逆に貧困がきっかけで性的被害にあう子どもや若者もいます。
そういったことを少しでも肌で感じる経験をするだけで、雑にジェンダークレームを行う人々と比べものにならないほど子どもや若者たちの力になることができ、それが説得力を持ってキャンセルカルチャーへの対抗になるのではと私は考えます。

記事の最後に

前後編にわたる長文を読んでいただき、ありがとうございます。
気づいたらめちゃくちゃ長くなっていることに、自分も驚いています。
たまたま時間がとれるタイミングだったことや、複数の方にご協力頂けたこともあり、ツイートした直後に公開が出来ました。
ご協力頂いた皆様、そしてこの記事を読んで頂けた皆様に感謝申し上げます。

今後、noteを更新していくかどうかは未定ですが、ツイッターでは今後もなんとなく発信していく予定ですので、よろしくお願いします。https://twitter.com/1chan_nobit


ここまでの内容

  • 新聞広告としての妥当性 … 追加調査で妥当性を探ってみる

  • 表現規制に対抗するために … 子どもや若者が自由な表現ができる社会にしていこう

前編はこちら

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