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10. 手紙

近づくかけあし
ふいに叩かれた肩
 
萌黄色の封筒を
だまっておしつけて
そのまま
かけていってしまう
 
ちいさな袋の中いっぱいに
はじける笑顔
感じたよろこび

なんでも言いあえてるはずの二人ですら
ふだん言えなかったらしい思いのたけと
感謝でつづられた特別なぬくもりは
 
僕の内側から
 
守るもののなにもない
無防備なこころを
あますとこなく刻み
切りつけ傷つけ

 ‥そんなふうに
思ってくれて
いた
 
僕は。
僕は‥
 
むしろ
のぞんだ

何か大きな手のようなもので この体
ちからの限りに 握りつぶしてほしいと
 
どうして
ありのままの君を
うけとめられなかったんだろう
ゆるせなかったんだろう
その先を
あせってしまったんだろう
自分も
愛されたくなったんだろう
我慢
できなくなったんだろう
 

だれのためでもない
僕のためだけに
ひとり
あふれるものをとじこめて
ハートのシール
 
忘却には
程遠い
たったの二日ほど前まで
たしかにあった
めまいおぼえるほどの
甘さ詰まった
 
たからもの


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