久引 つぐしろ

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あしたもし、生きていたらこまるから。

あしたが見えないときもそうでないときも 生きていることについては、 『あしたもし、生きていたら‥』 そう考えて生きていけばいいような気がしてきた あしたもし死んだら それはもうそこまでだからそれでいいし あしたもし生きていたら 今日の積み重ねは 『雨垂れ石を穿つ』『蟻の一穴』 必ずいつかどこかで あしたに生きてくる 今より進んだその先に届く だからもしあした生きていたと考えて 今日をしっかり生きて 大きなことから小さなことまで 積み重ねておかないと もし あしたもし死

    • はじめましてのごあいさつ。

      はじめまして。 ‥19記事も黙々とアップをしておいて「はじめまして」もないのですが、 偶然ご覧になっていただいたみなさま、およびこれから出会うみなさま、 はじめまして。 以前書いていたものを見返しているとふつふつと改訂意欲が沸いてここ最近ずっと改訂作業をしていたのですが、最近 note も流行ってからずいぶんたったなぁ、と、使い勝手がシンプルだということで、サイトをいじるのが苦手なのもありじゃあこちらにおじゃまさせていただこうか、と思い立ちまして開いたときに創作大賞の募集

      • +α(余白)※余白です。

        余談欄です。開いてしまった方、何も書いてなくてすみません。

        • 19. キイル

          満ちた感情もやがては干上がり そして つぎはもう少しきれいなもので 入れかわり満たされて それをくりかえして そのたびごと 記憶の純度 あげて それをくりかえしていく のだから 街に 顔に、手に 紫が降る 色味がかった透明なカーテンが 雨上がりの街にゆらめく 棚引く雲 流れがはやい 逃げきりを決め込んだ太陽が 駆け足で遠のいていく 僕はなすすべもなく立ちつくす そして翌日 目をさました昼下がり 昨日のあの太陽は 何食わぬ顔で悠然と今日を照らしている ド

        あしたもし、生きていたらこまるから。

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        • 十九のおもいー初恋
          20本

        記事

          18. ハイライト

          講義中の廊下 足音消して 息を殺して っていうの そんなの気にしないとばかりに ずんずん歩く君を 小声で呼びとめようとした とき しょうがないなあって顔して つかつかひきかえし なにもいわずあやすように 顔よせ つながり 一秒もなく そのままドアをあけ 行ってしまう君 目 見ひらいて たちつくしたまま とりのこされる僕

          17. さよならと言えるとき

          そう本気でおもえるまでに どれだけの日をすごしただろう 若気のいたりで入れたと後悔している タトゥーのような 消すことはできないし ひとに見せることもできない ほこることもできない そんな一生背負う傷だと おもってた でも それも ただ だんまりきめこんでいた 『時間』 が それにほころびをつくり、くすませ、あせさせ その残渣が 幸か不幸か 偶然か必然か 胸の穴を不細工ながらに ふさいだ もう何も感じないし すきま風が不景気な口笛を鳴らすこともない ふりだしに戻っ

          17. さよならと言えるとき

          16. 割れても末に、なんてね‥

          懐かしい声の主 何を話しているの? よく聴こえない いや、聴きたくない だけど、にげたくない 期待するものはない もとめるものもない 心は動かなかった 不思議な感覚だった 怖かったわけじゃない やせ我慢でもない じっとこらえていただけ そう思いたかった けれど 不思議な感覚 ずっともとめていた『君』なのに それほどにも どれほどにも なんにも感じないんだ ただそこにいる、それだけ くらいにしか思えなかった つきあげる感情も衝動も にじりでる切なさも懐かしさ

          16. 割れても末に、なんてね‥

          15. たまねぎ

          何か ことば 聞くたび 傷つけられていった近い過去 一人だけの時間がふえた今 勘違い してたと思う だけど それは 僕の望んだ未練 なんかじゃなくって じたばた してるあいだにゆっくり 収束へ向け 気持ち 整理してたんだ そうやって 一枚、もう一枚、 『二人』と名のついた 時間、思い、記憶を 剥がしていってたんだ って 体をなくす さいごのひとひら 眉をハの字にして指のばし すがすがしくそよぐ笑みに ようやく 気づいた それでも ぬるま湯につかったまま さめて

          14. さいかつ

          ただ待った 経過を こごえる水の中 さしのべられる小さな白さを 誰の目にも つくことなく じっと 河底にうずくまっている 名もなき石のように こんなにも透き通っているのに 水の厚みが視界を濁らせる 白か黒 それしかない場所から ゆらゆらさだまらない水の動きを見上げていた。 よりかかった時間を 戻すことも進めることも できはしないまま 『一日あわざれば三秋のごとし』 中国の人が言ったんだっけ そのことばに 響きに 共感と実感が擦り合わさって 音が立ち自身を ねじ切り

          13. とじていくひかり

          『なにを思ってるかなんて知らない』 そんな らしくない挑発的な言葉 で 素直、抵抗しなかったんだから って きっとおなじこと、思ってたんだ って そう信じた 身を乗り出す もう一度 もういちど 木々が 雲が 月あかりを遮っていて 君を あのときとはちがう気持ちで、力で いつもの黒髪 ほのかな香り 夜空にはじける 「離したくない」 気持ちが ことばが この夜も気持ちも時間も すべての憂いを飛び越えること 願って その願いを力任せに叶えるため 君のいたみなんて考えも

          13. とじていくひかり

          12. 落日

          真実をきくのはこわい それが真実と知るのがこわいから 真実と知りながら真実をきくのはつらい それでも選ばないといけないときがあって 目の前の真っ暗闇には開けるべきドアだけ そこからひろがるあかるく自由な空間に 解き放たれたくはないのに それでも 手をかけないと いけない‥んだよね わかるよ きっとだれにでもね

          11. 初恋は

          賑わい 人影を あの沖より もっと先へ 十二月の波がさらった海 厚手のコート 冷たい空気 袖膨らませ はためく 一面の 青を横切る白線 幾重も忍び寄る 地の鳴る音と 波が打ち寄せ つま先ぬらし 泡と砕ける 砂浜に踏み入れたばかりの 二人 潮の変わり目 ひとときの凪ぎ 手を焼く太陽 音のない突堤 貝殻を集めて 見せあって 言葉にならなくて 細かな砂 跳ねる 舞い上がる ほのかな春のかぜ はしゃいだ数だけ 足跡真新しく 返す波にきえても 性懲りもなく 何度だって 絶

          10. 手紙

          近づくかけあし ふいに叩かれた肩 萌黄色の封筒を だまっておしつけて そのまま かけていってしまう ちいさな袋の中いっぱいに はじける笑顔 感じたよろこび なんでも言いあえてるはずの二人ですら ふだん言えなかったらしい思いのたけと 感謝でつづられた特別なぬくもりは 僕の内側から 守るもののなにもない 無防備なこころを あますとこなく刻み 切りつけ傷つけ ‥そんなふうに 思ってくれて いた 僕は。 僕は‥ むしろ のぞんだ 何か大きな手のようなも

          9. Noviembre amargo

          そう、それは 灯台の眩しさを直視できないでいる僕と 灯台から暗い海を眺めている君と そんな違い その意味がそのときは わからなかった わかっていれば ひとりで星をながめることなんてなかったのにね 橙の流星がひとつ せわしなく右から左をつっきった 寝転んだ草のうえ 生まれて初めてみるそれは 溶岩みたい、なまなましくって なんだかイメージとちがった もっときれいなものと思っていた 今日という時間を思い返していた 僕の非日常 君の日常 交わるひとつの暗い

          8. 小旅行

          行き先 乗り換え 時刻表 ぬかりないね 手をつなぐ あたたかい すこしあせばむ 秋の陽気 車窓の向こうへ踏みこめば どこまでもつづく ゆるくくねる一本道 額に汗かく 石畳の登り坂 おっかなびっくり 木々生い茂る 下り坂 いつもとはちがって 今は景色も見える 僕らを飾るフレーム 真新しい秋に ひとつずつ色をのせて 完成させていく 空の白さ 足元のイチョウの葉 刈り取りのあと萌える草 赤に向かって染め上げられていく山 うっそうとしたスギ、ヒノキ それでも

          7. いつかなくす恋、灯るあかり

          待ち合わせた地下街のはじっこ まだあどけなさをその瞳に残し タクシーが列なす目抜き通り 散り散りまばら 人の波 改札のあかりにつつまれるまで、それまでに つないだ手を自然にきれいに離せるよう 一分、二分、それ以上 立ち止まるのが常 で。 今日はもっと長くいられる日 つないでなくても二つだけの呼吸 青い矢印が北東をしめす いつもの二人を横目に駆け出す 帰りを急ぐ人の数だけ 君の輪郭がひとつ、またひとつはっきりしてくる。 並木、長い橋、黒い川、立体交差、高速のインタ-

          7. いつかなくす恋、灯るあかり