【小説】ロックバンドが止まらない(10)
前回:【小説】ロックバンドが止まらない(9)
プレイヤーから聴こえてきたのは、ギターの音色だった。コードを弾いていて、シンプルながら曲として成立している。まっすぐな思いを、奇をてらわずにぶつけているような曲と演奏だ。
でも、それが何なのかは神原には分からない。与木は黙ってプレイヤーを見つめている。説明がないと誰の曲なのか、そもそも誰が演奏しているのかさえ神原には判然としない。
与木はこの曲を聴かせてどうしたいのだろう。そのことばかりが気になって、神原は流れる曲に完