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アイディアの出し方

 音楽が好きな方、特にクラシックを好む方で、なんかしらクリエイティビティに関わってる方におすすめしたい。何を、といって、マーラーの交響曲である。

 先日、ひさびさにマーラー全集(指揮はテンシュテット)を聴き直し始めたところ、三番を流してぼうとしているときにそれは起きた。イマジネーションの奔流、洪水である。

 これがなんなのかと詳しく考えるに、三番(でなくてもいいんだろうが)をソファで聴いてて瞑想状態に入っちゃったんだと思われる。彩られた豊かな楽想、心地よいオーケストレーション、ああ、マーラーこんなによかったっけ、ってくらいのうっとりを以てぼうとしていた。これがよかった。このとき俺は四分の一くらい寝てるんである。そのあたり脳が休んでいるところなんであって、ならば夢を見る神経回路なんかもちょっと動いてはいなかったか。

 夢にはいろいろなイメージが湧き出てくる。昼の残滓のみならず、かつて経験した様々なことが無意識から這いずり出てくる。それも形を変えて出てくるので、必ずしも記憶、経験したとおりのものが現れるわけではない。そしてそこがいい。

 なんか変なものを見た、といって目覚めるときがあるが、あれは脳が起きたてなのでけっこう忘れる。しかし四分の一の睡眠状態ではちょっと違う。意識あるまま夢のような変なものが湧き出てきて、それを覚えているんである。それをアイディアと呼ばぬならもったいない話だ。

 実際、noteにでも書こうか程度のネタはばんばん出てきてたんで、前述のマーラーの三番、終わるか終わらないかくらいのときに雑記ノートにわーっと書きつけたものだ。おもしろいアイディアかどうかはわからない。ただ、書いたときは興奮していた。ひらめきに興奮しないクリエイターなどいない。いたらそんなやつ、矛盾した存在である。

 以前も書いた話で、デフォルト・モード・ネットワークってもう有名になったね、ってことなんですけど、これが要するにぼうっとしていると脳みそが勝手に動き出しますよ的な機能だ。俺がマーラーで体験したアイディア爆発もそれに近いところにあった、ないしそのものであっただろう。

 おすすめはしたものの、これは必ずしもマーラーでなくてもいい。というよりクラシックでなくてもいい。ブルースでもジャズでもロックでもポップスでも、ぼうっとできてしまえればクリエイターの勝ちだ。インスピレーションシステムとしての音楽、という手段をひとつ書きつけておいて筆を置く。


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