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小売業の店舗はコミュニティの場です

「売ることを仕事にしている」から苦戦する

小売業は消費者に一番近い存在です。その小売業の店舗販売が苦戦しています。苦戦の要因として、諸物価の値上がり、人材不足、ネットとの競争などを挙げる人が少なくありません。確かにそれらも要因だと思います。

しかし、一番の苦戦要因は「売ることを仕事にしている」からです。「売ることのどこが悪いのか」と集中砲火を浴びそうですが、それは結果であって、本来は「お客さまに喜んでいただく」ことが仕事です。

小売業の方と、こういう話をすると、ちょっと困った表情で別の話題に持っていこうとする経営者がいます。おそらく、ご自分でも苦戦の要因がそのあたりにあるのをうっすらとわかっているのだと思います。

店舗の価値は「コミュニティとしての機能」にある

小売業の仕事は今も昔も「お客さまにどう満足していただくか」です。ただし、その満足の方向が変わってきているのだと思います。品物を手に入れるだけならばネットは便利です。僕も書籍やワインなどでよく利用します。

小売業の店舗の価値はどこにあるのでしょうか?それは「コミュニティとしての機能」にあります。「集まる、出会う、会話する、学ぶ、情報交換する、触れ合う」、そんな機能を持っているのが小売業の店舗です。

別ないい方をすれば、小売業の店舗は社会のインフラです。地元のハブのような存在であり、黙っていても情報が集まります。なじみになれば、困ったときには教えてくれたり、世話を焼いたりしてくれます。

少しくらい高くても、その店で購入したくなる

中央区築地から文京区千駄木に仕事の場を移して2年が経ちます。いわゆる「谷根千(谷中・根津・千駄木)」とい呼ばれるこのエリアには、コミュニティとしての商店街や小売店舗がいまでも数多く存在します。

店頭はもちろんのこと、道ですれ違っても気持ちのいい挨拶を交わしてくれる店主や店員がいます。商売のためよりも、人としての当たり前の行為です。だから、少しくらい高くてもその店で購入しようという気になります。

谷根千エリアには新たに店を構える若い人たちも増えています。おもしろいことに、コミュニティとしてのDNAは、その人たちにも引き継がれているように思います。地域としての場の力がそうさせるのかも知れませんね。

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