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小さな店の繁盛のシナリオは「地域コミュニティ」のハブになること

失われつつある地域コミュニティの担い手

コミュニティの本来の意味は「共同体」であり、地域コミュニティは「住民相互の交流が行われる地域社会の場」のことを指します。今回は「小さな店が地域コミュニティのハブ(拠点)になる」ことの意味を考えてみました。

これまでの地域コミュニティの担い手は、自治会、町内会、婦人会、青年会、子供会などの地縁団体、防犯組織、消防団、子育て支援グループ、お祭り実行委員会などの特定目的の団体でした。地域ごとの違いはあるけどね。

しかし、この担い手の存在が失われつつあります。要因はさまざまですが、人口の減少、経済の縮小、産業構造の変化、商店街の衰退、住民の高齢化、一人暮らしの増加、暮らしの価値観の変化等が挙げられます。

住民同士を支え合う地域のコミュニティの再生

いまでは人と人とのつながりのほとんどが、家庭や学校や会社という閉じたコミュニティ内で完結しています。よその子供の過ちを叱ったり、他人への善意の踏み込みは、とんでもないトラブルになることが少なくないのです。

かたや、SNSを通じたコミュニティでは膨大なつながりが生まれています。人が本来持っている「ふれあいたい」「つながりたい」「交流したい」という欲求が、ネット上のコミュニティをにぎやかにしているのだと思います。

しかし、ネット上だけでは心の通った本当のつながりは生まれません。いま必要とされているのは、現実の社会におけるコミュニティです。とくに人と人が顔を見合わせ、お互いを支え合う「地域のコミュニティの再生」です。

店と地域はコインの裏表のような関係です

これまで地域コミュニティのハブの役割を担ってきたのは、地元の商店でした。商売を通じてたくさんの情報が集積したからです。地元を熟知する店主は、地域の課題を仲間とともに知恵を集め、一つひとつ解決してきました。

店と地域はコインの裏表のような関係です。店の繁盛が地域の活性化につながることを多くの店主は経験的に知っています。しかし、チェーン店や大型商業施設の出店、Eコマースの台頭等で消費のスタイルは変化しました。

同時に、買い手と売り手の関係も変わりました。いつでも便利に買い物ができることはウェルカムですが、顔と顔を合わせての会話は少なくなり、リアルな情報の交流も薄くなり、熱を持った支援や見守りは生まれてきません。

商店が地域コミュニティのハブになることの意味

反面、少なくなったとはいえ、「あの店があるから地元が好き」「店に行くことで気持ちが晴れる」・・・血縁、学縁、社縁とは異なる、地域コミュニティのハブの役割を持つ店が、確実な支持を得ていることもまた事実です。

小さな店は、価格の安さ、品揃えの多さ、新商品の投入度、知名度の高さ等では、資本力に勝る大手やEコマースにはかないません。同じ土俵で戦うとすると同質化競争に陥り、業績に一喜一憂する日々を送ることになります。

しかし、地域コミュニティのハブになっている店の多くは、同質化競争を回避できています。人のつながりを大事し、地域の情報を交流させ、何かあれば支援することで「地域になくてはならない存在」になっているからです。

情報交流のたまり場や出会いのきっかけづくり

地域コミュニティのハブとなり、同じ思いの人たちを巻き込むことで、地域にお金が落ち、地域内を循環し、地域は活性化します。地域が話題になれば地域外のお金も入ってきます。結果的には商売の土俵が潤ってきます。

ハブに求められるのは、情報が交流する「たまり場」や人と人が出会う「きっかけ」づくりです。単独では難しくても、近隣店やNPO、あるいは熱意ある個人と連携することで、地域コミュニティは再生していくと思うのです。

何よりも人と人とつながることで、自分が住む地域への愛着が深まっていきます。まずは、小さな店自身が地域コミュニティのハブになることを決意し、たまり場や出会いの場としての一歩を踏み出してみることです。


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