見出し画像

結果を出すリーダーはみな非常である

なぜ若いうちからリーダシップが必要なのか課長クラスこそが変革の担い手である。
社長のつもりで、何事も決断・実行する。
現場のリーダーシップと真のリーダーシップは、似て非なるものである。
課長はペーペーの部下より逃げ場が多い。自らに負荷をかけて訓練せよ。
中間管理職としての優等生と、真のリーダーシップを担うミドルリーダーは、まったく異なる。

現実を直視する
企業にも人と同じように、寿命と年齢相応の役割がある。
格差はグローバル化による産業構造の変化から起こる必然であり、企業経営も課長世代も、そこから自由にはなれない。
日本は、経済全体は資本主義、カイシャ内は社会主義という二重構造で高度経済成長を乗り切った。だが、今後は新たな「国のかたち」「会社のかたち」を再構築する必要がある。
幸せは多様化している。国家経営も、企業経営も、その多様性を受容し、活力としていかなければ未来はない。
「おカネは大事」である。課長クラスのミドルリーダーも、人間とカネの問題、すなわち仕事と報酬の関係性、さらには、そこに介在する価値観の多様性を直視し、経営することから逃げてはならない。

論理的な思考力、合理的な判断力が不可欠である
情報に流されれば、人の死を招くほどの惨事につながる。
リアリズム(冷徹な事実や、人間性の現実を理解すること)と合理性を、とことんまで突き詰めて考えよ。
”サンクタイム”(時間の埋没費用)に目を奪われるな。
常に合理的思考をするには、ひとりでも食っていけるという心の余裕を持つ。
ミドル世代にとって、今が自己革新の最後のチャンス。

●コミュニケーションは情に訴え根負けを誘う
リーダーのコミュニケーションには、組織の空気を少しずつ変えていく、根気強さが必要だ。
日々、論争の訓練をして、脳の基礎体力(判断能力)を上げよう。
組織と人間の行動を現実に変革できるような、戦略的コミュニケーション能力を身につけよう。
世界言語としての英語は絶対に必要不可欠である。今や世界言語たる英語は、かなり緩く簡単な言語なので、臆せず挑戦せよ。

●実戦で役立つ戦略・組織論を押さえる
そのビジネスが何で儲けているかという「経済構造」を知る。
経済構造、市場環境、競争ポジションの理解という3つを踏まえ、整合解としての戦略を考える。
捨てることは成長すること。捨て続けることができる企業のみが、成長を持続できる。
戦略は組織に従ってしまう。トップリーダーとミドルリーダーが共闘して「カイシャのかたち」を改革せよ。
日本のガバナンスに必要なのは、ブレーキ機能ではなく、アクセル機能である。

●評価し、評価されることの本質を知る
部下評価で「成果」と「能力」を混同しない。
「失敗」(=成果が出ていない)と「能力」の相関は、コミットしたか?、負けっぷりがよかったか?が見極めポイントである。
評価、処遇、配慮を巡るドロドロ、ぐちゃぐちゃは、ミドルリーダーの学びの宝庫。人間を、組織を、自分自身を知るチャンスを逃すな。
上司や先輩に、そういう縛らしいロールモデルはいない。
ヒューリスティックな判断が、他人やカイシャ全体を不幸に陥れる。
相性で目を曇らせない。相性の底流にある性格、価値観を洞察せよ。

大友的編集後記
研修の課題図書として、読み始めたのがきっかけ。
自分がトップのつもりで考え行動するリーダーシップの鍛え方という命題だが、頭の中のミドルリーダーの役割半分、それ以上の像が半分といった所感。結局、視座を上げて思考をしないと、社長になった時に困るよという点が強調されているように感じる。実際に、社外取締役の内容や、与党・野党など派閥感がある会社像での対回り方と、評価やコミュニケーションという現場の内容との高低差が高く、のめり込みづらい内容と感じた。

しかし、論理的思考や戦略、視座を上げること自体はリーダー(目指す人も)必要なエッセンスなので、背伸びして届きそうな部分を参考に行動することから始める方が本書の効果が得られると思われる。

文庫なので、冨山さんの口ぶりや考え方が、辛辣な口ぶりで記載があるのと、国会答弁や大手会社の下降劇など関りがない人からするとフィクション感・他人感が強くどうしても残る。今の組織での立ち回りというより、自分が昇進した先を考えなさいという意味合いの方が強く感じるので、グリーン組織、ティール組織型の流れやビジョンなど触れられていないので、組織論をという方は物足りないかも。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?