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掌編小説

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2021年8月の記事一覧

大義の聖剣

大義の聖剣

 地上では戦乱が激化の一途を辿っていた!

 その戦禍は歯止めに至る兆しも無く、東西南北の国々は今日も猛々しく意気を吠える!
 神に授けられし〈聖剣〉を掲げて……。

「〈正義〉は我々にあり! この〈聖剣〉こそが証だ! 刃向かう者には容赦するな!」

「大義名分たる〈正義〉は我が方にある! 反抗意思を示す者在らば〈悪〉と裁け!」

「敵国の泣き所は押さえてある! 遠慮は要らん! 〈正義〉の名の下に

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卵

 とある高名な老錬金術師が三人の弟子を呼び寄せた。

 弟子とはいえ、まだまだ一人立ちに値しない若輩者達ばかりではある。
 そんな頼りない弟子達を厳格な視線で見渡すと、錬金術師はこう言った。
「さて、ワシもそろそろ高齢じゃ。口惜しいかな、寄る年波には勝てぬ──歳月を費やした研究が実っていれば別だったがのう。そこで、隠遁でもしようかと考えておる。ついては、この中から後継者を決めようと思ってな……」

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