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Kobayashi mu
2021年12月18日 21:37
子どもの頃から老け顔である。 小学6年のとき、生まれて初めていった美容室で大学生と間違えられた。必死に小学生だと訴えながら泣きそうだった。迎えに来た母のおかげでなんとか信じてもらえたけれど。 結婚したあと夫を誰かに紹介するとたいてい、「若いだんなさまだねー!」 といわれた。実際はわたしより2歳年上の夫。訂正するのもめんどうで、てきとうにうなづいておく。 娘が生まれてつきあう友人も
2021年12月19日 13:05
毎朝、車のハンドルをにぎって誓う。 今日もこころして、運転します! 20歳の誕生日をむかえるころ。 自動車運転免許をとるため、教習所に通い始めた。 教習所の車を初めて運転したのは、とっぷりと日は暮れ、小雨まで降っている夜だった。 教官とふたり、車に乗り込む。 沈黙が重い。 まず、ワイパーの動かし方がわからない。わたしは焦って頭が混乱してきた。なぜだか、幼いころに乗ったゴーカ
2021年12月20日 18:25
2年間程、海水魚のハオコゼを飼っていたことがある。市の「海の教室」という講座で、息子がもらってきたのだった。 ハオコゼの大きさは10センチほど、茶色ベースに白の斑点、腹はオレンジという綺麗ないでだちである。背びれに毒を持つために、危険で海水浴や釣りでは嫌われる魚らしい。 海水魚を初めて飼育するわたし達、最初は何を食べるのかすらわからず、水替もおっかなびっくりだった。本で調べたり、インター
2021年12月21日 15:04
新聞で吃音(きつおん※)に関する記事をみつけた。 幼子の吃音を地域で連携して診断し、治りょうにつなげようという臨床ガイドラインが、日本国内で初めてつくられたというもの。 わたしも吃音持ちの1人。幼いころ、言葉がつっかえてすんなり出てこないときがあった。 けれど、それを指摘されたり、なおされたり、という記憶はない。周りの大人が、ゆったりと笑顔で話を聞いてくれたから、わたしはおしゃべりが
2021年12月23日 09:07
ある春のこと。 うちの畑でいちごがなった。1才半の息子の手を引き、いちごを紹介する。息子は目をまんまるにしていう。「あーん。パクって。(たべていい?)」「いいよ。いちごをとって洗ってこようね。」 赤いいちごを3つぶほどとって、近くの洗い場で洗う。ふと、息子を見るといちごの前で座り込み、なにやらしている様子。 慌てて戻ると、息子はせっせと手を動かしていちごをつみ、つんだそばから
2021年12月24日 10:08
本に挟んである、フェルトでできている黒ねこのしおり。オレンジの糸で目、口、ひげが刺しゅうされていて、頭に赤いリボンを乗せている。 ふれるともふりとやわらかく、見ているだけで癒しとなるわたしのお気に入りだ。 娘が10才のとき、本を読むのが好きなわたしのために作ってくれた。それからは、本の世界へ旅するわたしの相棒。 娘が9歳になるころまで、わたしは娘を叱ってばかりいた。ちっともわたしのい
2021年12月25日 09:25
子どものころ、クリスマスが好きではなかった。 わたしはサンタさんにプレゼントをもらったことがない。クリスマスプレゼントを親からもらったこともない。 絵本やテレビでは、「子どもはプレゼントをもらえる」ようなのに。よい子じゃないから、もらえないのかな? 母にきいたら、「うちには煙突がないから、サンタさん入れないものねぇ。」 それならばと物心ついたころ、サンタさんにきてもらえるよう
2021年12月27日 12:11
雪がどっさり降ったのある日。 うかれて外に飛び出すわたし、娘、息子。 雪は30センチ以上積もっている。こんなことは珍しい。それに日曜日。天気もよくて雪遊び日和。 三人三様で雪とたわむれる。わたしが歩くたび、長靴がキュッとキュッと音を立てる。振り返り、自分の足跡をみると、くっきり靴裏の跡が。ハンコみたいだ。 子どもらは、ふかふかな雪に仰向けで寝そべっている。ふたりの人型が完成。