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私立中学ではなく、あえて公立中学を選択する5つのメリット

ここでは「あえて」公立中学を選ぶメリットをご紹介します。


お金がかからない

私立中学の学費は、東京都182校の初年度納付金の平均が989,125円。
他に、寄付金や定期代などもかかります。

たいていは中高一貫校なので通うのは6年間。
支払う額はざっと600万円近くになります。
600万円もの買い物をするとなると、それはそれは時間をかけてじっくり吟味するに違いありません。
「なんとなく」ではないはずです。

また学費以外に、塾代もかかってきます。
早い人では小学校前から塾に通い始め「遅くとも小学4年生から」と聞いたそのままを真に受けて慌てて塾に通い始めます。
お月謝が1万円…ほどから始めますが、小学6年生ともなると加熱する受験ビジネスに巻き込まれ、年間100万円かかることもザラです。
トータルで200万~300万円の出費を「こどものためには仕方ないね」と支払います。

一方、公立中学では義務教育なので授業料がかかりません。

なお、多額の塾代と中高の授業料を支払った挙げ句、金銭面で大学に進学させることができないという話もよく聞きます。奨学金に頼るしかない状況です。優秀で返却の必要がないものならともかく、利子がかかる場合もあります。大学の授業料は国立大学であろうと出費が必要になってきます。
もし、大学に通わせる費用が調達できないのなら、そのことだけで、私立中学に行かないことを検討してみることが必要です。
高校時代に「就きたい職業」をみつけて、そのために専門学校に行きたいと言うかもしれません。進路はその子本人が決めます。
できたら、その、高校卒業後の学費を支払ってあげたいものです。


公立高校に進学できる

各都道府県にはそれぞれ特色のある公立高校が多数あります。いわゆる「偏差値の高い」大学に進学実績の高い高校もあります。
昨今、進学率の上昇とともに、公立高校志願者が増える傾向にあります。魅力的で人気の高校がいくつもあります。

制服や校則がない高校もあります。自由な校風で人気の学校もあります。

公立高校に行きたいのなら、公立中学に進むことが手っ取り早いのです。

受験には中学の成績、内申点が必要となってきます。
私立中学からその系列高校に進むことをやめる決心をして、しかも受験して入った同じレベル生徒たちの中で内申点を取ることも必要なので、かなりハードルが高いことだと言えます。自動的に進学できる高校があるということは、学校が「高校受験」に関してのノウハウを持ち合わせていないということです。
一方、公立中学は全員に高校受験をさせますので、「高校受験ノウハウ」を蓄積しているのです。

トップ高校とは言え、公立高校では、「中学で習う範囲」からの出題となります。たまにある私立の「奇をてらった」出題、「特徴のある」出題、「中学で習った範囲外」での出題などはほぼありません。中学生活で真面目に日々の授業に取り組んでいけば、その中からの入試となるのです。


いろいろな友達ができる

私立中学に進みたい「なんとなく」の理由に「公立中学には不良がいる」というのがあります。
果たして「不良」とは?

先生に対する態度が悪い…悪態をつく、無視する
規律に違反する…遅刻する、髪を染めている、制服の乱れ

「不良」に目をつけられると困る
「不良」と仲間になって我が子も影響を受けたら困る
敵対されても仲間になられても困る「不良」という存在。

漫画やテレビドラマに出てくるような「不良」が実際の生活に存在するかどうか、想像を張り巡らせ、悪く考えていても仕方ありません。

確かに、毎日遅刻ばかり、先生にはたてつき、挙げ句公園でタバコを吸っているという生徒がいました。
けれども、そんな子も、道端で会うと「あ、○○のかあさん!こんにちは」と言ってくれるのです。素行不良ですが、それで全てが否定されるわけではありません。
中学を出て高校にも行くことなく、車が好きだからと自動車整備士になりました。同級生の誰よりも早く結婚してこどもも生まれ、立派な父親になっています。

公立中学は、たいてい学区域が決まっています。近所の人も含め、その土地その土地で「こどもを育てる」体制ができています。住む人たちから見守られているのです。タバコもみつかり先生から厳重注意されました。その時は歯向かいましたが、今ではバカだったなと笑います。
今では町内会で若手青年として、自分の育った町を見守っています。

親の職業も収入も、考え方もバラバラです。いろいろな親がいるのでいろいろな子がいます。百者百様です。いろいろな友達ができます。
自分に足りない箇所は友達が補ってくれます。

「不良」と友達になるのもまたおもしろいことなのです。
「遅刻はしてはいけない」「タバコは吸わない」は別に教えておけばいいだけのことです。

「私立」「公立」の区別は大学までで、社会に出たら「公立」の状況です。社会人になってからの方が人生長く続きます。「自分とタイプが違う」人物に出会うことが多々あります。それを表面的な見た目で苦手と思ってしまうか、人物の中身まで見抜けるか。
うまく「つきあわない」という手段もあります。

いろいろな人に出会ってきた耐性があるので、社会の中で人間関係をうまくやっていけるノウハウを身につけています。


余裕のできたお金を有意義に使う

私立中に進んだ場合の、塾代3年間分と中高の授業料とで500万~800万円となります。
もちろん親が借金してまで支払う必要がないことは確か。

さて、支払いが余裕だという場合でも。
そのまとまったお金を何に使うのか、考えるといろいろな可能性が広がります。

例えば、です。
「塾に行かせるお金があったら海外旅行でもさせたらいいよ」とは日本語学者の田中章夫先生の口ぐせでした。「世界観変わるよ」と。

全く違う景色。違う言葉。見るもの聞くもの、何もかもが刺激的な新しい体験です。

ある国の高級ホテルで食事をしました。どれもこれも豪華で、おいしくておなかいっぱいになりました。それがひとり1000円くらいのことでした。「安い」と感じていました。その後、街の普通の定食は80円だと知ります。

物乞いするこどもに出会いました。かたや海外旅行だ!とウキウキ出かけている小学生です。行った先で、自分より小さなこどもが、ボロボロの薄汚い服を着て、知らない言葉を話しながら身振り手振りで、おなかがすいているのでお金を恵んでくれないかというようなことを訴えてきました。そのショックはいかばかりだったのか、心底打ちひしがれて、涙を流しました。

4日間だけの出来事でしたが、机上で勉強することのできない、心の奥の奥、魂をぎゅっと鷲掴みされたような体験になりました。


こども時間を奪われない

受験間近の小学6年生。夏休みは休みなく朝から晩まで夏季講習に通います。持参するお弁当は昼食分。夕食のお弁当が届く頃には日も暮れそうです。自習室も利用して、帰宅は暗い時刻。入浴して宿題をしてようやく就寝。明朝もまた早起きしなければ。

一方、受験のない小学6年生。夏休みは朝寝坊して学校のプールに行き、学童保育でわいわい過ごし、あるいは家でまったりと過ごし、お盆には地方の祖父母の家に行って、まるごとのスイカにかぶりつき、セミの声に誘われ太陽の照りつけるなか、虫捕りに出かけます。木漏れ日の眩しさにせっかくみつけたセミを見逃しおしっこかけられ逃げられます。
夜は家族で食卓を囲み、夕飯。温かなお味噌汁もいただけます。今日はこんなことしたあんなことしたとおしゃべりしながら食後にはとっておきのアイスが出てきて。

遊んでばかりで受験生のしている勉強はしなくていいのか?…気になるところですね。

受験生が学校の勉強以外で受験のために勉強したこと。これは、今後、中学高校と進む中で、必要なことを学ぶ機会が出てきます。そのときどきで勉強していきます。

例えば、読書する、美術館・博物館に行く、音楽を聴く、泳げるようになる、太陽の下で汗をかく、海に行く、山に行く、自然に囲まれる、夕焼けをキレイだと感じる…など、「遊んでいて」と片づけられがちな多くの体験が、その子に蓄積され、豊かな知識を感情を身につけていくことになるのです。

こどもを豊かに育むこと。それは遠回りなようで「学び」に大変役立つことなのです。

夏休み、こどもたちにとびきりの体験を


こども時代にしかできないことが
いっぱいあるのだから。






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