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パワードスーツの動力源を敵に奪われる→旧型の動力源で戦うことになるが、エネルギー不足ゆえ全力を出せない

トニー「上昇しろ!」
J.A.R.V.I.S.(アーマーに搭載された人工知能)「しかしパワー残量が15%では、高度に限界が……」
トニー「いいからやれ!」

映画「アイアンマン」


◆概要

ヒーローものでは、【戦いを前にヒーローにハンデが課される】という展開を見かけることがある。

【パワードスーツの動力源を敵に奪われる→旧型の動力源で戦うことになるが、エネルギー不足ゆえ全力を出せない】はその一例。


◆事例研究

◇事例:映画「アイアンマン」

▶1

本作の主人公は、トニー(男性、40歳頃)。

スーパーヒーロー「アイアンマン」の中の人である。


さて、まずはアイアンマンの強さについてざっくり整理してみよう。

・Point1:トニーは生身の人間である。スーパーヒーローの中には魔法使いや異世界人、人体実験によって超人的なパワーを手に入れた者もいるが、しかし彼はその類ではない。アイアンマンの怪力や防御力、飛行能力などはすべて「アーマー(=パワードスーツ)」に依存しているのだ。なお、トニーは天才発明家であり、自らアーマーを開発、繰り返しアップグレードしていく。

・Point2:アーマーの動力源は「アーク・リアクター」。これまたトニー自身が開発したものであり、作中でアップグレードが施される。

・Point3:アーマーは相当にハイテクである。AI(人工知能)も搭載されている。しかし最後には、中の人の経験や知恵がものを言うようだ。


つまり、アイアンマンの強さは「アーマーの性能 × リアクターの性能 × 中の人の経験や知恵」と整理できるわけだ。アーマーがどれほど優れていても、リアクターのパワー残量が0になれば動けなくなるわけだし、一方でアーマーやリアクターが多少旧式だったとしても中の人が優秀ならば大丈夫。弱点を補って勝利することが可能だ。

これは要するに自動車のようなものであり、自動車の走行が「車本体の性能 × 動力源の性能(エンジン、ガソリン、電気など) × 運転者の経験や知恵」に依存していることを想起いただければ理解しやすいと思う。


▶2

物語中盤、

・アーマー:2度改良を施され、「マーク3」になる

・リアクター:1度改良を施され、「新型」になる

・トニーの経験や知恵:繰り返しアーマーを使用することで、だいぶ知見が溜まってきた

……という状態になる。

つまり、相当に強くなっているのだ。たった1人で数十人のテロリストをぶちのめし、戦車やミサイルを悠々破壊するほどである。


▶3

ところが、

・Step1:本作のラスボスは、オビー(男性、60歳頃)。彼はトニーのアーマーをパクり、自らのアーマー「アイアンモンガー」を開発した。

・Step2:さらにオビーはトニーの新型リアクターを盗み出し、アイアンモンガーの動力源とした。かくしてラストバトル、トニーは旧型のリアクターで戦いに臨まねばならなくなったのだった。


旧型リアクターは、高性能なアーマー「マーク3」を動かすには圧倒的にパワーが不足している。戦い始めてすぐにパワー残量が50%を下回り、その後もビームをたった一発放っただけで19%まで低下してしまう。まともに空を飛ぶことすらできない。

かくしてラストバトルは……

・1「パワー不足を経験と知恵で補いながら戦う」という手に汗握る展開になる。「力 v.s 力」「アーマーやリアクターの性能が優れている方が勝つ」といった大味の戦いと比べて、これは大層面白い。

・2:また、トニーの頭のよさや発想の柔軟さが引き立ち、じつに格好いい。例えば「トニーは、アイアンモンガーが氷結対策を施されていないと見抜いた→そこでパワーをぎりぎりまで使って空高く上昇→アイアンモンガーが追いかけてくる→成層圏付近に至り、アイアンモンガーは氷結してしまう」という戦法を採る。嗚呼、このバトルセンス!最高だ。

・3:さらに、「パワー残量が0になるまでにアイアンモンガーを倒せるだろうか」というハラハラドキドキ感もある。


もしもトニーが新型リアクターを奪われていなかったら、本作のラストバトルはここまで盛り上がらなかっただろう。ヒーローにハンデが課されたことで、最高のバトルになったわけだ。

 

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