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「キャラAが『人知れぬ努力』を認めてもらう→しばらく後、今度はAが別のキャラの『人知れぬ努力』に気づき、認めてあげる」という展開によって、Aの成長を暗示する ~アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の場合

第1話のぼっち「現実世界の人たちは誰も私なんか興味ないと思ってた……」「けど、こんな優しい人がずっと見ていてくれて、私なんかに声をかけてくれた」

第3話のぼっち「きっ、喜多さんの左手……ゆっ、指の先の皮が硬くて、そっ、それは……!」

アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」(第1、3話)




◆概要

【「キャラAが『人知れぬ努力』を認めてもらう→しばらく後、今度はAが別のキャラの『人知れぬ努力』に気づき、認めてあげる」という展開によって、Aの成長を暗示する】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」(第1-3話)

▶1

本作の主人公は、後藤ひとり。

ニックネームは「ぼっち」である。


ぼっちは、

・Step1幼い頃から対人コミュニケーションが苦手だった。ゆえに彼女はいつも1人ぼっちだった。

・Step2:中学入学後、ひょんなことからぼっちは「ギターをマスターしてバンドを組めば、皆からちやほやされるぞ!」と考えるに至る。かくして猛練習を重ね、めきめきと腕を上げていった。

・Step3:それから3年後、高校生になったぼっち。彼女はYouTube上では匿名のギタリストとしてちょっとした有名人になっていた。だが、嗚呼コミュニケーションは相変わらず苦手!いまだバンドは組めず!というか、友達の1人もおらず!もちろん、ちやほやなんて夢のまた夢だ。


ところがある日。

・Step4:ぼっちは、ひょんなことから初対面の虹夏(ドラム担当)、リョウ(ベース担当)とバンドを組むことになった

・Step5:とはいえ、自信がない!人前で演奏なんてできない!私には無理!ぼっちはいまにも逃げ出しそうだ。

・Step6:と、その時だった。虹夏が微笑んだ。彼女は、YouTube上でのぼっちの活動を知っていた。そして長年努力してきたのだろう、すごいと褒めてくれた

・Step7:ぼっちはハッとする「現実世界の人たちは誰も私なんか興味ないと思ってた……」「けど、こんな優しい人がずっと見ていてくれて、私なんかに声をかけてくれた」「こんな奇跡、たぶん一生起こらない!絶対無駄にしちゃ駄目だ!」。かくしてぼっちは勇気を振り絞り、バンドの3人目のメンバーになったのだった。

・Step8:そしてこの後、ぼっちは虹夏やリョウのおかげで人間的に成長していく


しばらく経って、

・Step9:バンドのボーカリスト兼ギタリスト候補として喜多(ぼっちと同学年の少女)がやってきた。ぼっちたちは喜多を歓迎する。

・Step10:ところが喜多は固辞。本当は加入したいが、私はギターが下手だから加入できないというのだ。

・Step11:と、その時だった。ぼっちがずいっと前に出た。相変わらずコミュニケーション下手の彼女は口ごもりながらも、しかしはっきりと言った「きっ、喜多さんの左手……ゆっ、指の先の皮が硬くて、そっ、それは……!」。それは繰り返し繰り返しギターを練習した証。確かに喜多の腕前はまだまだだが、しかし彼女は密かに猛練習を重ねている。ぼっちだけがそれを見逃さなかった。

・Step12:ぼっちのこの言葉をきっかけに、喜多が4人目のメンバーになる。


▶2

ご注目いただきたいのは、Step6-7と11-12である。

・Step6-7では:ぼっちは「人知れぬ努力」を虹夏に認めてもらう → これをきっかけとしてぼっちがバンドに加入する

・Step11-12では:ぼっちは喜多の「人知れぬ努力」に気づき、認めてあげる → これをきっかけとして喜多がバンドに加入する


ぼっちが「認めてもらう側」から「気づき、認めてあげる側」に変化している……!

これが重要だ。

虹夏やリョウと出会って以降、ぼっちが人間的に成長し、「してもらう」だけではなく自分からも「してあげる」ことができるようになったことが伝わってくる


つまり、「ぼっちが『人知れぬ努力』を認めてもらう→いろいろあった後、今度はぼっちが別のキャラの『人知れぬ努力』に気づき、認めてあげる」という展開によって、ぼっちの成長が暗示されているわけだ。


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