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「オレンジ色のバラ=花言葉は絆」を登場させることで、これが絆をテーマにした物語だと暗示する ~アニメ「お兄ちゃんはおしまい!」の場合

みはり「昔は優しかったお兄ちゃん。それがいつからかだんだん遊んでくれなくなって……。お兄ちゃんに褒められたくて勉強もスポーツも頑張ったんだけどな……」

みはり「最近はだんだん会話も増えて、なんだかちょっと昔に戻ったみたい。兄妹の立場は逆だけど、できるならもうしばらくこのまま……」

アニメ「お兄ちゃんはおしまい!」(第3話)


◆概要

【「オレンジ色のバラ=花言葉は絆」を登場させることで、これが絆をテーマにした物語だと暗示する】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:アニメ「お兄ちゃんはおしまい!」(第3話)

▶1

本作の主人公は、まひろ(20歳頃の男性)。

彼は引きこもりのニートであり、自堕落な生活を送っていた。


ところが第1話冒頭、

・Step1:彼は一夜にして、中学生頃の女の子の体になってしまった(!)

・Step2:原因は、妹のみはり(17歳)だ。彼女が、自ら開発した性転換薬をこっそり盛ったのだ。

・Step3:まひろは仰天する。だが、如何ともしがたい。かくして「女の子としての暮らし ≒ みはりの妹としての生活」が始まったのだった。


で、第3話。

・Step4:物語の合間合間にオレンジ色のバラが映り込む


▶2

オレンジ色のバラが、第3話にたびたび登場するのはなぜだろうか?

ポイントは花言葉だ。オレンジ色のバラには複数の花言葉があるのだが、その内の1つが「絆、人間関係」


これを念頭に第3話の出来事を振り返ると……

・第3話前半の出来事(1):かえでという新キャラが登場する。彼女はみはりの中学時代の友人だ。みはりは頭脳明晰ゆえ大学に飛び級、一方のかえでは高校に進学してからすっかりギャルと化した。つまり、いまや立場も見た目も大きく異なるみはりとかえで。しかし、2人の友情は変わらない。 →時が経ち姿が変わっても、変わらぬ絆の物語

・第3話前半の出来事(2):まひろとかえでが初めて顔を合わせ、すぐに意気投合。友情が芽生える。 →新たに生まれた絆の物語

・第3話後半の出来事:みはりが風邪を引いたのをきっかけに、まひろが奮起する。甘えてばかりではダメだ、たまには兄らしく頑張ろうということで、看病や家事に精を出す。みはりは感激する。そして風邪が治った後、彼女はまひろのためにクッキーを焼いた。みはりは思う「昔は仲良し兄妹だったけれど、次第に疎遠になってしまった。しかしまひろが女の子になってから再び会話が増えてきて嬉しい」と。 →時が経ち、姿が変わったことで復活した絆の物語


そう、第3話は絆の物語なのだ。

絆という花言葉を持つオレンジ色のバラがたびたび登場するのは、「これは絆の物語ですよ」と私たち鑑賞者に示唆するためだろう。


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