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「キャラAが思い出話をする→翌日も、無意識の内に同じ話をしてしまう」という展開によって、Aにとってそれがいかに特別な思い出か暗示する ~アニメ「僕の心のヤバイやつ」の場合

姉「京ちゃん。その話昨日聞いたよ」
京太郎「(激しく動揺して)えっ!?」

アニメ「僕の心のヤバイやつ」(第6話)




◆概要

【「キャラAが思い出話をする→翌日も、無意識の内に同じ話をしてしまう」という展開によって、Aにとってそれがいかに特別な思い出か暗示する】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:アニメ「僕の心のヤバイやつ」(第6話)

▶1

本作の主人公は、京太郎。

中学2年生の少年である。


ある朝のことだ。

・Step1:京太郎は姉とともに朝食を食べていた。キッチンには母もいる。

・Step2:やがて京太郎が口を開いた。彼は誰に言うでもなく「いやぁ~、昨日の職業見学は本当に厄介だった」。――昨日、学校の授業の一環で職業見学があったのだ。京太郎は同級生数人と出版社を訪問した。

・Step3:京太郎はパンをかじりながらクラスメイトを批判した「失礼な質問はするわ、皆勝手に行動してはぐれるわ……ボーっと生きてる奴ばかりだ!」。


とその時だった。

・Step4:姉が言った「京ちゃん。その話昨日聞いたよ」

・Step5:姉の言葉に、京太郎は激しく動揺する「えっ!?」

・Step6:彼は顔を真っ赤にして言い訳した「きっ、昨日は母さんに話してたんだよ!」。そして急に食事を中断すると慌てて立ち上がった「もう行かなきゃ!」。

・Step7:そんな京太郎を見て、姉はニヤニヤ笑った「最近、学校楽しそうだねぇ❤」。


▶2

どうやら京太郎は、無自覚の内に同じ思い出話を繰り返していたらしい。

なぜ繰り返してしまったのか?


じつは彼は、クラスメイトの山田に恋をしていた。そして昨日の職業体験では、幸運にも山田と同じ班だった。しかも途中で他の班員とはぐれてしまい、帰り道は山田と2人きりだった。いろいろ話して、距離が縮まったように感じる。

京太郎にとっては人生最良の1日と言っても過言ではないだろう。

死ぬほどドキドキしたに違いない。

嬉しくて仕方がなかったに違いない。

家に帰ってからは、山田との思い出を何度も何度も脳内でリピート再生したことだろう。そしてそれにとどまらず――そう、気がつくと思い出話を繰り返してしまっていたというわけだ。


つまり、【「キャラAが思い出話をする→翌日も、無意識の内に同じ話をしてしまう」という展開によって、Aにとってそれがいかに特別な思い出か暗示する】というテクニックである。


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