愛でよ、このアホの子を！！｜【第2話：天使と悪魔と委員長（1）】「ガヴリールドロップアウト」を三幕構成で分析する

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2021年2月22日 18:49

▶ 「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ👽 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ！！

分析対象

三幕構成

ポイント①

本話のストーリーをざっくり整理すると……

・第1幕：昼休み。ガヴリールとヴィーネは、サターニャが人気のない廊下の隅で「ひとり飯」しているのを目撃する

・第2幕前半：ヴィーネは、サターニャに同情。また、ガヴリールは「一緒に食べよう」と誘ってやる → しかしサターニャは強がる「私は1人で食べたかっただけで……」「私は大悪魔！皆で食事だなんて笑止千万よ！」 → ガヴリールとヴィーネは肩をすくめる「面倒くさい奴だなぁ」

・第2幕後半（1）：3人が学食にやってくる → 初めての学食に戸惑うガヴリールとヴィーネ。一方サターニャは自信満々に券売機を操作する → だが、操作している内によくわからなくなり、「まとめ買い：3人」ボタンを押してしまう → サターニャはまたもや強がる「あんたたちの分まで頼んであげたのよ！」 → その後も、サターニャのポンコツっぷりが描かれる

・第2幕後半（2）：ガヴリールが、サターニャにウソをつく「七味唐辛子は7回かけると旨いんだぞ」

・第3幕：サターニャはガヴリールの言葉を真に受ける。うどんが真っ赤になる。だがサターニャは味オンチだったようで、「おいしい！」と感激 → サターニャが、ガヴリールのうどんに大量の七味唐辛子をかけてやる → ガヴリールが悲鳴をあげる

ポイント②

＜1＞

本話の見どころは……言うまでもないでしょう。

これは、【サターニャの「ポンコツっぷり」「アホの子っぷり」を愛でる物語】です！

＜2＞

まずは、「第2幕前半」のサターニャの言動を振り返ってみましょう。

・Step 1：1人寂しく食事をしている（友だちがいないらしい）

・Step 2：ヴィーネに同情されると、「わっ、私は1人で食べたかっただけであって……」と強がる

・Step 3：ガヴリールから「一緒に食べよう」と誘われると、歓喜の表情を浮かべる

・Step 4：しかしすぐに「ふん！私は大魔王よ！」と強がる

・Step 5：ガヴリールとヴィーネは「面倒くさい奴だなぁ」と肩をすくめる

嗚呼、このポンコツっぷり！ダメっぷり！

じつに愛おしい！

＜3＞

続いて、「第2幕後半」のサターニャの言動を整理します。

・Step 1：学食に到着。初めての学食に戸惑うガヴリールとヴィーネ。対するサターニャは「私に任せなさい！」と自信満々

・Step 2：だが券売機の使い方がよくわからず、失敗

・Step 3：動揺しつつも、「あんたたちの分まで頼んであげたわよ！」と強がる

・Step 4：その後も、割り箸を横に割ってしまうなどミス連発

・Step 5：ガヴリールとヴィーネは呆れ果てる

嗚呼、このアホの子っぷり！間抜けっぷり！

じつに愛おしい！！

ポイント③

＜1＞

さて、ご覧の通りアホで間抜けなサターニャですが……ご注目いただきたいのは「エンディング」です。

本話は、ガヴリールがひどい目に遭うところで幕を閉じます。

そう、ひどい目に遭うのはサターニャではない！ガヴリールです！

＜2＞

この「サターニャではない。ガヴリールである」というのが重要だと思うんですよね。

例えばですよ、もしも最後の最後まで「サターニャのアホっぷり」ばかりが描かれていたら、どう思います？【七味唐辛子が大量に入ったうどんを食べて、サターニャが悶絶 → ガヴリールが爆笑 → おしまい】なんて展開だったらどうでしょう？

少なからぬ鑑賞者が不快感を覚えたと思うんですよね。

・感想1：サターニャがかわいそう！何も悪いことをしていないのに、なぜ彼女だけがひどい目に遭うんだ！？

・感想2：ガヴリールは、いくら何でもやりすぎ！

・感想3：これ、「いじり」というよりも最早「いじめ」では！？

……という具合です。

＜3＞

しかし本話は、「それまでサターニャをいじってきたガヴリールがひどい目に遭う」というオチを用意した。

これにより「いじめ感」が薄れ、ガヴリールへのヘイトも消えた。そして鑑賞者は心から笑えるようになったのです。

すなわち……【いじるキャラ】と【いじられるキャラ】を固定してはならぬ。時には【いじるキャラ】がいじられる側に回り、ひどい目に遭う必要がある。このバランスをミスると不快な物語になってしまう、というわけですね。

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