彼を「ドM」にしたのは、皆の善意！！｜【第八話（2） 非難訓練のご指導の方、お願いしたいのですが】「さよなら絶望先生」を三幕構成で分析する
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分析対象
三幕構成
ポイント①
＜1＞
本話は、「存在感と毛髪が薄い少年 = 臼井影郎」を中心に据えたエピソードです。
＜2＞
「絶望先生」シリーズでは、望が「絶望した！○○に絶望した！」と嘆くのがお約束になっています。
本話では、望は「非難社会（= 何かと非難されることの多い世の中）」に絶望しています。
ポイント②
本話のストーリーをざっくりまとめると……
・第1幕：望が「非難社会」を嘆き、「非難訓練」の必要性を説く → 指導係（と名乗る怪しい男）が登場
・第2幕前半：「非難訓練」開始 → 指導係のせいで教室が阿鼻叫喚と化す
・第2幕後半：臼井影郎が嘆く「相変わらず誰にも気づいてもらえない！」 → 臼井影郎の存在感が人並みになる → 臼井影郎が怯える「禿頭を非難されるに違いない！」
・第3幕：可符香が、臼井影郎を救うべく智恵先生を連れてくる → 智恵先生に非難（というか罵倒）された臼井影郎は、被虐的な快感に目覚める
ご覧の通り、臼井影郎にスポットライトが当たるのは「ミッドポイント」以降。
「第1幕」「第2幕前半」では、望と指導係が物語の進行役になっています。
ポイント③
ごく大雑把に言えば……前話（第八話の1）に引き続き、本話もまた「臼井影郎の『特徴』をめぐる物語」です。
▶ 前話で取り上げられた「特徴」
・1：異常なほど存在感が希薄
▶ 本話で取り上げられた「特徴」
・2：頭皮が露わになると、なぜか存在感が人並みになる
・3：ドM気質
ポイント④
私が好きなのは、
・1：可符香が、臼井影郎を救うべく智恵先生を連れてくる
・2：智恵先生が、臼井影郎を非難（というか罵倒）する
・3：臼井影郎が、被虐的な快感に目覚める
……という「第3幕」の流れです。
可符香の行動は善意に基づくものです。智恵先生だって、事情はよくわからぬものの生徒のために行動した。
ところその結果、臼井影郎はマゾヒスティックな嗜癖に目覚めてしまう……！
「善意が二転三転して、思わぬ結果（= 少なくともハッピーエンドとは言えぬ結果）を招く」というストーリー展開って、ワクワクしますよね！
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