「天井から吊るされたシャンデリア」と「閉鎖されたエスカレーター」によって、「『私も皆のようにキラキラ輝きたい』と願いつつも自信がない、挑戦するのが怖い」というキャラの感情を暗示する　～アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」の場合

千枝「皆が千枝のこと頼りにしてくれた時、嬉しかったんです」
↓
千枝「でも皆の大切なステージなのに、もし失敗しちゃったらどうしようって……怖くて……そればっかり考えちゃうんです……」

アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」（第8話）

◆概要

【「天井から吊るされたシャンデリア」と「閉鎖されたエスカレーター」によって、「『私も皆のようにキラキラ輝きたい』と願いつつも自信がない、挑戦するのが怖い」というキャラの感情を暗示する】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。

◆事例研究

◇事例：アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」（第8話）

▶1

本作の主要キャラの1人・佐々木千枝（小5の少女）。

彼女はアイドルである。某芸能プロダクションの「第3芸能課」に所属している。とはいえ、まだまだ目立った活動実績はない。同じ課に所属する同年代のアイドルたちと共にトレーニングに励んだり、下積み仕事に精を出したりしている。

ある日、

・Step1：桐生つかさ（先輩アイドルにして、アパレル企業の社長で自ブランドを持っている）のファッションショーを手伝うことになった千枝。同僚アイドルの小春とみりあも一緒だ。

・Step2：ところが準備中、つかさのミスでトラブル発生。衣装が汚れてしまった！これは困ったことになったぞ！

と、その時だった。

・Step3：小春が閃いた「あっ、千枝ちゃん！お直しできませんか～？」。みりあも笑顔になって「千枝ちゃん、お裁縫すごく上手なんだよ～！」。そう、千枝は裁縫が得意なのだ。彼女なら汚れてしまった衣装を何とかできるだろう。つかさたちの視線が千枝に集まる。

・Step4：ところが千枝は激しく動揺「そっ、そんな！」。俯いてしまった。

その後、落ち込む千枝。

・Step5：担当プロデューサーが千枝に声をかけた。

・Step6：しばらくして、千枝が本音を吐露した「皆が千枝のこと頼りにしてくれた時、嬉しかったんです」「でも皆の大切なステージなのに、もし失敗しちゃったらどうしようって……怖くて……そればっかり考えちゃうんです……」。彼女は肩を震わせた。

・Step7：そう、千枝は自分に自信がなくて、しかも失敗を過度に恐れるタイプ。「キラキラ輝く皆と比べて私なんててんでダメ……」と、普段から一歩引いているところがある。この時も、皆の役に立ちたいと思いつつも、「もしも私が失敗したら皆に迷惑をかけてしまう……」と怯え、私が衣装を直しますと言えなかったのだ。

▶2

ご注目いただきたいのは、Step6である。

このシーンでは、千枝とプロデューサーは椅子に腰かけている。ファッションショーが開催されるショッピングセンターの廊下に置かれた椅子に座っているのだ。

そして千枝が本心を吐露する中、「ショッピングセンターの天井から吊るされたシャンデリア」と、「停止中のエスカレーター+傍に『今日は屋上駐車場を閉鎖しております』という貼り紙」が画面に映る。

はて、これは何を意味しているのだろうか？

まず、ショッピングセンターの天井から吊るされたシャンデリアは、キラキラ輝く世界（アイドルという仕事、ファッションショー、つかさや同僚アイドルたち）の象徴だろう。

ところが、エスカレーターは停まっている。上には昇れない。シャンデリアの高さにはたどり着けない。……そう、これは「私はキラキラ輝く世界には行けない」という千枝の自信のなさ、そしてチャレンジを怖がっていることの象徴だ。

つまり、【「天井から吊るされたシャンデリア」と「閉鎖されたエスカレーター」によって、「『私も皆のようにキラキラ輝きたい』と願いつつも自信がない、挑戦するのが怖い」というキャラの感情を暗示する】というテクニックである。

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