「キャラAが水槽越しに映る=まるでAが頭まで水に浸かっているかのように見える」という映像によって、「Aは平気な顔をしているが、じつはいま息苦しくてたまらない」と暗示する ~アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」の場合
◆概要
【「キャラAが水槽越しに映る=まるでAが頭まで水に浸かっているかのように見える」という映像によって、「Aは平気な顔をしているが、じつはいま息苦しくてたまらない」と暗示する】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」(第1話)
▶1
本作の主人公は、橘ありす(小6女子)。
彼女はとある芸能事務所に所属している。アイドル志望だ。しかし、まだデビューすらしておらず、「早くアイドルらしい活動をしたい!」とやきもきしながらトレーニングに励んでいる。
ありすは、両親と3人家族である。
・Step1:母は弁護士だ。バリバリ働いている。じつにカッコいい。ありすはそんな母のことが大好きで、尊敬し、憧れている。
・Step2:が、あまりにも多忙ゆえ母はいつも帰りが遅い。共にすごせる時間はごくわずか。ありすは内心寂しく思っていた。
そんなある日の朝、
・Step3:母が言った「今日もしかしたら早く帰ってこれるかも!」。思わず笑みがこぼれるありす。じつに嬉しそうだ。
・Step4:その後、ありすは学校へ。そして放課後はアイドルのレッスンに励んだ。
夜、
・Step5:ありすは帰路を急ぐ。小走りになる。きっともうお母さんは帰ってきているはず!口元が緩む。
・Step6:自宅に到着。ドアを開ける「ただいまー!」。
・Step7:ところが家の中は真っ暗だった。照明が点いていない。また、玄関には靴がない。物音も聞こえない。ポコポコポコ、玄関に置かれた水槽のエアポンプの音だけが響く。直後、ありすの顔から笑みが消えた。真顔になる。彼女は玄関に立ちつくす。そっか……お母さん、まだ帰ってきていないんだ……仕事が忙しいんだろうな……。
▶2
ご注目いただきたいのは、Step7である。
ありすの顔から笑みが消え、彼女が真顔になったところで、「画面手前に水槽が映り、その水槽越しにありすが映る」という映像が登場する。つまり、「まるでありすが頭まで水に浸かっているかのような映像」である。
水の中のありす……息ができずに苦しそうだ。
はて、この映像は何を意味しているのだろうか。
▶3
上述の通り、ありすは母のことが大好きだ。
本当はもっと一緒にいたい。いろいろ話したい。甘えたい。
だが彼女は、そんなことは言わない。言えない。じっと我慢する。
なぜ我慢するのか。
ありすは大人になろうとしているのだ。彼女は「お母さんのようなカッコいい大人になりたい」と願っている。また、「いつまでも子供ではお母さんに嫌われてしまうかもしれない。早く一人前にならなければ」という気持ちもある。
ゆえに、ありすは本音を隠す。甘えたり、弱音を吐いたりするなんてもっての外だ。じっと堪える。平気な顔で我慢する。でもやっぱり……辛い。本心を隠すのは息苦しい。
その息苦しさが「水槽越しのありす」という映像によって表現されているわけだ。
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