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おかしな「励まし・激励・なぐさめ」 ~アニメ「不徳のギルド」の場合 #2

トキシッコ「(瀕死のキクルに向かって)目を覚まして!死んじゃうなんて嫌だぞ!ダンナ……いつもみたくさ、私に鋭くツッコんでよ。ほら、せーの……『なんでやねん』」
瀕死のキクル「(心の中で)言ったことねーよ!」

トキシッコ「(引き続きキクルに向かって)死んだりしたら許さないからな!もし死んだら、『ダンナに乱暴された』って吹聴してやる!『無理矢理お酒を飲まされて押し倒された』って。どうだ!死んでも死にきれないだろ!」
瀕死のキクル「(カッと目を見開くと、血を吐きながら)なんでやねん!」「死にかけの人間に鞭打つとか……鬼か貴様!俺の晩節を汚すんじゃねーよ!」

アニメ「不徳のギルド」(第7話)




◆概要

【おかしな「励まし・激励・なぐさめ」】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。


◆事例研究

◇事例:アニメ「不徳のギルド」(第7話)

▶1

本作の主人公はキクル(20歳の男性)。

彼は若いながらも、優秀な「ガード=魔物を狩る人」である。


ある日のことだ。

・Step1:キクルは、トキシッコ(新人ガード、18歳女性)とともに森の中に入っていった。

・Step2:目指すは、「ヨケグモ」なる魔物の討伐である。


ところが、

・Step3:ヨケグモは予想以上に強かった!

・Step4:キクルは、トキシッコをかばってヨケグモの攻撃をもろに食らってしまった


キクルが地面に倒れる。

・Step5:トキシッコは慌てて駆け寄ると、涙を流して叫んだ「ダンナ、ダンナ!」(彼女はキクルを「ダンナ」と呼ぶ)。続けて曰く「目を覚まして!死んじゃうなんて嫌だぞ!ダンナ……いつもみたくさ、私に鋭くツッコんでよ。ほら、せーの……『なんでやねん』」。

・Step6:トキシッコの言葉を受け、キクルは心の中で叫んだ「言ったことねーよ!」


さらに、

・Step7:トキシッコはボロボロと涙を流しながら「死んだりしたら許さないからな!もし死んだら、『ダンナに乱暴された』って吹聴してやる!『無理矢理お酒を飲まされて押し倒された』って。どうだ!死んでも死にきれないだろ!」。

・Step8:こっ、この野郎……!もう黙ってはいられぬ。キクルはカッと目を見開くと、血を吐きながら叫んだ「なんでやねん!」「死にかけの人間に鞭打つとか……鬼か貴様!俺の晩節を汚すんじゃねーよ!」。


▶2

自分をかばってくれたキクルを励まそうと、トキシッコは叫んだ。

曰く「目を覚まして!死んじゃうなんて嫌だぞ!ダンナ……いつもみたくさ、私に鋭くツッコんでよ。ほら、せーの……『なんでやねん』」。――が、キクルは「なんでやねん」なんて言ったことはない。

続けて曰く、「死んだりしたら許さないからな!もし死んだら、『ダンナに乱暴された』って吹聴してやる!『無理矢理お酒を飲まされて押し倒された』って。どうだ!死んでも死にきれないだろ!」。――無論キクルはそんなことはしていない。完全に冤罪である。


「それがいまにも死にそうな人間にかける言葉かよ(笑)」「ひどすぎる(笑)」「確かに死んでも死に切れないな(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。


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