「少年マンガっぽい」とは何か？｜「うらら迷路帖」に学ぶテクニック

100%ツールズ｜創作の技術

2021年2月19日 20:11

【問】「うらら迷路帖」のどこが少年マンガっぽいのか？

私、アニメ「うらら迷路帖」を初めて見た時に感じたことが2つありまして、すなわちそれは……

・感想1：キャラがメチャクチャかわいい！すげー！！

・感想2：おー！一見すると萌えアニメだけど、これ、少年マンガ風の熱い物語じゃん！！

似たような感想をお持ちになった方は少なくないと思います。

ということで本記事のテーマは、【「うらら迷路帖」のどのあたりが少年マンガっぽいのか？私たち鑑賞者は、どこから「少年マンガっぽい」と感じているのか？】。

「うらら迷路帖」のストーリーを振り返ろう

まずは、「うらら迷路帖」全話（第1～12話）のストーリーをざっくり振り返っておきましょう。

＜Part.1＞

＜Part.2＞

＜Part.3＞

＜Part.4＞

＜Part.5＞

＜Part.6＞

＜Part.7＞

＜Part.8＞

＜Part.9＞

【答】あれもこれも少年マンガっぽい！

さて、ストーリー全体をご覧いただきましたが……全体的に、メッチャ少年マンガっぽいですよね！

以下、特に「少年マンガっぽいなぁ」と感じた部分を列記してみます。

▶ 千矢らは、「母を探す／一番占になる」という明確な目標を持っている（Part.1、2）

「主人公らが明確な目標を持っている。そしてそれに向けて努力する」……これ、まさに少年マンガですよね。

ゆるふわな「萌えアニメ」（その多くは空気系・日常系と呼ばれる作品）とは一線を画しています。

▶ 「十番占」「一番占」というように、占い師の実力が可視化・序列化されている（Part.2）

「力を可視化・序列化することで『いかに敵が強いか』『主人公がどれだけ成長したか』などを明示する」というのは、多くの少年マンガで採用されてきた王道的なテクニックです。

例えば……

・「聖闘士星矢」：青銅聖闘士・白銀聖闘士・黄金聖闘士

・「ドラゴンボール」：戦闘力

・「ONE PIECE」：懸賞金

・「NARUTO」：下忍・中忍・上忍

▶ 千矢が皆の前で無邪気に宣言「私、一番占になる！」 → 一同呆れる（Part.3）

「主人公が壮大な目標を掲げる。周囲の人びとは呆れたり失笑したりする。しかし主人公は本気。果敢に挑戦する」……これ、ズバリ少年マンガですよね。

例えば、「ONE PIECE」のルフィがこのタイプの主人公です。

▶ 「神様の声を聞く」「神様と遭遇する」など、千矢が特異な素質を持っているらしいと示唆する描写が繰り返し登場する（Part.4、5、8、9）

「主人公はどうやら特別な力を持っているようだ。いまはまだ開花していないが、おそるべき素質の持ち主に見える」というのは、多くの少年マンガに登場する演出です。

例えば……

・「ドラゴンボール」：幼い悟空が見よう見まねでかめはめ波を放ち、亀仙人を仰天させる

・「HUNTER×HUNTER」：ゼパイルがゴンについて、「こいつは善悪に頓着がない／あるのはただ1つ／単純な好奇心／その結果すごいと思ったものには善悪の区別なく称賛し心を開く／つまりこいつは……危ういんだ」と感じる

▶ 紺が「千矢は特異な素質を持っているらしい」と気づき、複雑な感情を抱く（Part.4、5）

「圧倒的な力を持つ天才キャラに対して、秀才キャラが複雑な感情（絶望、嫉妬 etc.）を抱く」というのもまた、少年マンガ的な展開です。

「北斗の拳」のユダや、「バクマン。」の中井巧朗はダークサイドに堕ちてしまった哀れなるキャラと言えるでしょう。

▶ 千矢や紺が、先輩から激励を受ける（Part.5、8）

「主人公らが、同じ道を行く先輩や師匠から激励を受ける」というのも、少年マンガでよく見る展開です。

私が好きなのは、「テニスの王子様」及び「新テニスの王子様」の大和祐大と手塚国光の関係。

手塚は大和からの助言をきっかけに、覚醒（天衣無縫の極み！）するに至ります。

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