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平成にいたサムライたち

【平成の大横綱】貴乃花の『我が相撲道』を読みました。

僕は【小さな大横綱】千代の富士を手に汗を握って応援してきた、相撲ファンでした。

晩ごはん時は、千代の富士の一番が終わらないとごはんどころではなかったほど。

それほど夢中だった相撲ですが、貴乃花が横綱になって初めての場所を最後に、ほとんど観なくなりました。

つまらないのではありません。

貴乃花の相撲のあまりの完璧さに心底圧倒され、もう相撲を観る必要を感じなくなったのでしょう。

ハラハラとは程遠い相撲内容で、僕が思う横綱相撲を具現化したような取り口でした。

だから、僕は今でも貴乃花こそ、史上最高の横綱だと思っています。

貴乃花は、いろんな意味で大相撲のど真ん中を歩くことを宿命づけられたような力士だったと思います。

父、母、兄、叔父、恩師、先達、元婚約者、妻、息子、一門、部屋、弟子、そして角界と、あの若さで悉く近い存在との別れを経ています。

ガチンコで、横綱を極めていく過程や精神は、周りにこれほどの犠牲を強いるのかと思わされます。

たぶん、あまりに鋭利に向けられた己への厳しさは、誰とも分かちあったり、理解されたりしなかったのでしょう。

僕にとって、貴乃花に並ぶ、もうひとりの同世代のヒーローはイチロー選手です。

貴乃花は、イチロー選手をリスペクトし、興味を抱いているようです。

相撲道と野球道を孤高に、求道的に極めていかんとする姿は重なるものがあるように思います。

二人は平成に現れた『サムライ』なのでしょう。

僕は本物のお侍さんを見たことがありませんが、きっと貴乃花やイチローのような佇まいをしていたのではないか思っています。

最後にひとつ、貴乃花の言葉を紹介しておきます

運動ってね、〝運命を動かす”って書くんですよ

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