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“らしく”生きるために

「介護の真の正義って?」「特別養護老人ホームの”特別って何”?」
「支えるべき『暮らし』のあり方って?」

今年最後のカイゴの業界研究セミナーvol.3に学生コメンテーターとして参加することになった、FACE to FUKUSHIインターン生のフクちゃんとシーちゃん。
そこで登壇される社会福祉法人愛川舜寿会 馬場拓也さんについて調べ、
感じたことや考えたことを2人で話しました。

<馬場拓也さんプロフィール>

馬場写真

馬場拓也さん
神奈川県 愛川町生まれ
大学卒業後イタリアのファッションブランド「ジョルジオ アルマーニ」にて
トップセールスとして活躍した後、2010年34歳の時に2代目経営者として
愛川舜寿会に参画。
現在は、介護施設を囲む壁を壊すなど、
地域と介護施設との繋がりを深めることに注力している。

それでは、話し合いスタート!!🌷🌻

シーちゃん🌷:
キャリタス福祉の記事でおっしゃっていた馬場さんの言葉で
「何が介護の『正義』であるか」
っていう言葉が印象深いんだよね。
例えば、「朝ご飯を食べたくない」とおっしゃる利用者さんに対して
栄養管理や健康管理の面から無理にでも食べさせるのが介護なのでは?
って多くの人は思うだろうし、以前の私もそう思ってた。
でもよく考えてみたら、私にも朝ごはん食べたくない時なんてよくあることだし、
それを無理やり「食べろ!」って言われたら逆にストレスたまるなーって。

だから馬場さんは利用者さんの気持ちを尊重して、
その方の1番の幸せって何なのか
を考えてらっしゃるんだなって思った。

フクちゃん🌻:
たしかに、その人の意思ってめっちゃ大事だと思う。
私も昔からアトピー体質で、砂糖とか小麦粉あまり取りすぎたらだめって母に言われてきたんだけど、やっぱりパンとかケーキとかって食べたら幸せなるから食べたいもん。笑
不健康になるまで食べるのはさすがに良くないけど、我慢してストレス抱えるより心が幸せになるならその方がその人のためにはいいのかも。


シーちゃん🌷:
幸せじゃないままずっと生きるのは嫌だし、幸せを感じながら死にたいよね。

フクちゃん🌻:
すごい分かる。
それって私たちだけじゃなくて、
介護施設の利用者さんも同じ思いなんじゃないかな。
馬場さんが運営するミノワホームは特別養護老人ホームみたいなんだけど、
シーちゃん、そもそも特別養護老人ホームってなんだろ??

シーちゃん🌷:
「特別養護老人ホーム」の定義としては
「基本的に要介護3から5のいずれかの要介護認定を受けている人が
対象の老人ホーム」
だよね。
記事でもおっしゃっていたけど
そもそも馬場さんは”特別”っていう言葉に疑問を持ってるそうだよ。
別に”特別”なことなんてしていないのに、
”特別”って付けられているのはなんでなんだろうって。
極端に言えば、
人間誰しも転ぶことはあるのに、
それを転ばないようにしてる。
それは確かに”特別”だよねって。

フクちゃん🌻:
私たちが施設訪問に行った時も、
「利用者さんの生活の中に介護職員が入らせてもらっている」
そんな姿勢で接しているっておっしゃってたのが、すごく印象に残ったな。
今までは、「全てをやってあげる」のが介護だと思ってたから。

シーちゃん🌷:
そうそう。介護って、生活の中で難しいこと、できないことを支えるだけであって
利用者さんの生活を1から作るわけじゃないんだよね。

フクちゃん🌻:
でも、利用者さんのご家族は、少なくとも「健康で長生きしてほしい」という
気持ちがあって施設に入所を決められてると思う。
だからこそ、1日2食も欠食してて、それを許してる施設側に
疑問を抱くこともあるのかなって思うな。

シーちゃん🌷:
ご家族の意思と、利用者さんご本人の意思との兼ね合いって難しいよね。

フクちゃん🌻:
うん、でも介護をする上で何を大事にするべきかって、やっぱり
「その人がその人らしく生きられること」
じゃないかな。
介護をする上で「要介護」って指標が使われるけど、
あれ、あんまり好きじゃないな(笑)
その言葉ひとつで、人間らしさを失ってしまっている気がするんだよね。

シーちゃん🌷:
「要介護」ってレッテルを貼られると、
”仕分けされているモノ”
みたいな感じ何するよね。

フクちゃん🌻:
そうなんだよ。
ずっと気になっていたんだけど、
施設に入っていると、常に誰かと一緒に暮らしているってことだよね。
でも施設に入っている人はそれぞれの暮らし方があるわけで、
例えば静かにしていたいとか、たくさんお喋りしたいとか。
他人の目線とかって気になったりしないのかな。

シーちゃん🌷:
私も、1日誰とも会いたくない日はあるし、
いくら親しい友達とはいえ全く気を使わないのは無理だな。

フクちゃん🌻:
やっぱり生活する上で自分だけの時間って必要だよね。
人には見られたくないこともたくさんあるし。

シーちゃん🌷:
記事で馬場さんがおっしゃっていたのは
利用者さんがお着替えをされていて、肌着の状態で
ふっと目があってしまった時に
気まずそうなお顔をされて
「プライバシーの強化をしないと・・・」
と感じたとおっしゃってたもんね。

フクちゃん🌻:
その話、私もすごく気づかされた。
介護をする際に何が必要かを考えたときに、
「生活の介助」とか、「利用者さんに対して優しくすること」
とかは思いついたけど、
利用者さんのプライバシーのことまでは考えが至らなかったもん。

シーちゃん🌷:
私も以前までは、
介護される人はモノのように扱われているっていうイメージがあったけど
実際に訪問した施設や、ミノワホームでは
利用者さんの生活への価値観や、気持ちを尊重していて、
「利用者さんの生活の中に介護職が入っていく感覚」なんだなって。
人と人が助け合う場。
なんか、孫とおじいちゃん、おばあちゃんみたいな関係なんだろうなって思った。


フクちゃん🌻:
介護をする上でそんな関係がとても理想だなって思う。
血のつながらない家族だからこそ気遣える部分もあるだろうし。
そういう、適度な距離感のいい関係を築けるといいけど、
実際は介護職員による暴行事件とかも耳にするよね。

シーちゃん🌷:
そうだよね。
そういう事件が起きる施設では
介護職側が
「(介護を)やってあげている」
っていう感覚なんだろうな。
介護職が立場が上で、利用者さんが下みたいな。
上下関係があるからこそこういう事件が起こるんだよね。

でも馬場さんの施設では、介護職と利用者さんの関係が対等で
利用者さんの気持ちを尊重しつつ、
介護職側の意見も聞いてもらう。
そんな関係ができていて、
“人” 対 “人”
っていう対等性を大切にされているだなって強く感じたな。


〜対談を終えたふたりからのメッセージ〜

今回、馬場さんのことについて調べてみて、

「地域との信頼関係というセキュリティ強化」

という言葉がとても印象的でした。

ミノワホーム には施設と地域との間に壁が以前まであって、
馬場さんはそれを取り壊したそうです。
でも世間では、対談で触れたような事件が発生して以来、
壁を作ることの必要性を唱える人が多かった。
そんな中で馬場さんが「壁を壊す」という選択をしたのは、

利用者さんと地域の方々との接点を作り、
あえて施設の営みを地域の方に「見える化」することで
地域全体で風通しの良い関係性を構築するためなんだと思います。

風通しの良い会社ならぬ、風通しの良い地域。

それが真のセキュリティ強化に繋がってくるんだ、
という新しい発見をすることができました。(シーちゃん🌷)

介護について、私たちには知らないことがまだまだたくさんあります。
ごはんやお風呂、トイレのお手伝いをしたり、レクリエーションを行ったり、
そういう、具体的な“お手伝い”は思いつくかもしれない。

だけど、本当の意味での介護は、それだけではありません。
利用者さんのプライバシーを守ること、地域との交流を生み出すこと、
それらもまた介護をする上でとても大切なことです。

何よりも、利用者さんが幸せに、自分“らしく”生きること。

それが、介護の本当のゴールかもしれない。
馬場さんの記事を読んで、そのように感じました。

だけど、正解はありません。
だからこそ、介護って面白いんです。(フクちゃん🌻)
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<参考文献>
・キャリタス福祉 『「特別」ではない本当の介護』
https://sgpj.career-tasu.jp/contents/detail/id=128 
・東京藝術大学大学 履修証明プログラム「福祉の解放とコミュニティの関連」
https://sgpj.career-tasu.jp/contents/detail/id=128    
・朝日新聞デジタル 福祉・介護マスターを追え!KAI-Go 
「地域と福祉施設の壁を壊す」
https://www.asahi.com/ads/kaigo/contents/article_01/

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