見出し画像

【週末投稿】つれづれ有用植物#101(ヤマノイモ科ヤマノイモ属:自然薯)

擦った自然薯(ジネンジョ)とだし汁を合わせたものを、麦ごはんの上に乗せたり、そばに乗せて「トロロ」として食べる文化が日本にあります。
ジネンジョのトロロは長芋と比べて粘りが強いといわれています。
晩秋はジネンジョ収穫のシーズンですから、季節が来るのがたのしみです。

古来より滋養強壮食として珍重され、山菜の王者と呼ばれています。
皮をむいて天日乾燥した芋は「山薬」と呼ばれて、生薬として様々な効能が謳われています。自然薯の正式な名称は「ヤマノイモ」です。

画像1


八百屋さんで「ヤマノイモ」を売っている所は少ないですが、ナガイモは良く見かけるのではないでしょうか?
ジネンジョは長芋の野生種ではないか? と思われる方もいらっしゃるかもしれませんので、初めに名称と種について整理しておきましょう。

■「ヤマノイモ」と「ナガイモ」は種が違います。
同じヤマノイモ属の植物ですが、分類上違います。
ヤマノイモは日本原産の雌雄異株の多年生つる植物で、北海道南西部から本州・四国・九州・沖縄に分布しており、台湾および、朝鮮半島、中国に分布しているそうです。
ナガイモは中世以降に中国大陸から持ち込まれたとの説もあるが、現在流通している種が中国で確認できない為、日本原産の可能性もあるそうです。
ナガイモはその形状から、「ナガイモ(細長)」、「イチョウイモ(扇形)」、「ツクネイモ(塊形)」などに分類されて呼ばれています。さらにツクネイモは「丹波いも」「大和いも」「伊勢いも」と言われる伝統野菜として古くから栽培されているそうです。

画像2

【ナガイモ】

画像3

【ツクネイモ】

自然薯(ナガノイモ)の植物的な特徴はナガイモとほぼ同じで、茎は淡緑色で他物に絡みつき、地上部は1年で枯れて翌年の春にまた地上に芽を出して伸び始めます。
花期は夏で、葉腋から3 - 5本の細長い穂状の花序を出して、白い花を付けます。雄花の花序は直立し、雌花の花序は垂れ下がります。

画像4

その後、雌株には羽根状の殻に包まれた種を着け、風で飛ばされるほかに、葉腋に発生する球状の芽である零余子(ムカゴ、珠芽)をつけて栄養繁殖します。

画像5

【ムカゴは自然に落ちて地面で根を伸ばします】

画像6

晩秋になると地上部は枯れますが、地下にある芋(正式には担根体という組織で芋ではない)は次第に大きく地下へ伸びて行き1mを越える長さになる場合もあります。芋を収穫するには、枯れ残った蔓を目当てにして根本周辺から深い穴を掘る必要がありますので、なるべく斜面の所を探すと良いそうです。真っすぐ伸びた芋や、写真の様ないびつな形のものなどもあります。

画像7

野山に行くと、自然薯と思われるツルを見かけます。ただしヤマノイモと外観がよく似ており、芋が苦くて食べられない「オニドコロ」があります。
一番わかりやすい違いは、オニドコロは葉が互生する事と、秋にムカゴができません。自宅で栽培する場合は、ムカゴから育てると確実ですね。

■自然薯の効能や利用方法
たんぱく質・ビタミン・ミネラル等栄養価が高いそうで、消化酵素アミラーゼを高率に含んでいます。アミラーゼは一緒に食べた食品の消化を促すことで栄養効果を高めることができます。

・ムカゴ
種芋にしたり、生食や、塩で炒ったり、ご飯と炊き込んでムカゴ飯にして利用されます。

・芋(担根体)
皮をむかずに生食するのが、風味を生かすコツの様です。
ヒゲ根はあぶり焼きをし、20分~30分水にひたし、タワシで洗い、布巾で水気を切ってから調理します。すりほろした時にアクがでることがありますが、空気に触れ酸化して褐変するためで、味や品質に変わりはありません。

トロロを出汁で伸ばさずに海苔に包んで揚げた、磯辺揚げも絶品です。

九州地方特産の棒羊羹の形をした和菓子「カルカン」は、自然薯が主原料で、砂糖・卵・カルカン粉(又は上新粉)・水・酢で作ります。たっぷりと自然薯を使うことで、「もっちりふっくら」とした生地の食感とその白さが特徴です。かるかん粉、上新粉はどちらもうるち米からできる粉の一種ですが、その違いは粒子の細かさや製法の違いにあります。

■自宅で栽培!
ムカゴが入手できたら、ロングポットに蒔いてみましょう。
家の場合は、秋にできたムカゴが自然に地面に落ちて、春に芽が出たのをスコップで採って、ロングポットに移植して育てています。


画像8

この様にすると、数年後にポットを外すと長いもが簡単に収穫できますよ。
毎年、晩秋になったらツルが枯れているので、ポットの中の内検をします。
真っすぐに伸びて欲しいですが、PinguPapa の所は枝分かれが多い様です。

画像9

画像10

画像11

大きいものだけ収穫して、小さいのはまたポットに植え直して来年の育成に備えます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?