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【週末投稿】つれづれ有用植物#170(トチュウ科トチュウ属:トチュウ)

一時期「杜仲茶」として有名になった植物です。
その名の通り、「トチュウ」と呼ばれる中国原産の落葉高木です。20年程度で高さが20mにも達するそうです。

トチュウの化石がが中央ヨーロッパや北米で見つかっているので、およそ6千万年前(恐竜時代末期)は多くの地域で繁殖していたと考えられてました。しかしその後の氷河期を乗り切り、現在ではトチュウ目トチュウ科を構成する唯一の種となり、現在は中国原産の1種類しか存在していないそうです。そのため「生きた化石」とも呼ばれています。

花期は4月で雌雄異株です。若枝の苞の脇に多数小さな花が付きます。葉は楕円形で5~15㎝で短い柄があり互生しています。樹皮は暗褐色で、縦に不規則に裂ける割れ目があります。

樹皮は「杜仲」と呼ばれる生薬の原料として使われます。
強壮,鎮痛,強精,降圧作用があり,腰痛,頭痛,肩こり,足腰の弱り,精力減退,高血圧などに用いるそうです。15年以上の樹皮を5~6月に採取し、乾燥させます。

【樹皮から採取した 杜仲】


若葉はお茶として利用されています。カフェインは入っていないので、妊婦や子供にも問題ない飲み物となります。葉には普段食生活では摂ることのできないゲニポシド酸やアスペルロシドなどの健康成分を豊富に含んでいるそうです。樹皮は薬用酒(医薬品)としても利用されています。

【杜仲茶】

トチュウには、樹皮をはいだり、葉や枝を折ると、白銀色の糸を引く特徴があります。この成分はグッタペルカというゴム質で、固まると樹脂状になります。杜仲は寒冷地でも育つ天然ゴムの産出木として認知されています。

【糸を引く特徴があります】

しかし含有量が少ないために工業利用はされていませんでしたが、最近は日本の企業が、天然ゴムの主成分であるシス型ポリイソプレンの立体異性体を効率よく抽出できる技術開発がされており、軟質素材として利用やほかのバイオ系樹脂との混練による新素材の開発が進んでいる様です。


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