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【週末投稿】つれづれ有用植物#48(ツゲ科ツゲ属:ツゲ)

過去の人たちの「植物との付き合い」を見ると、頭が下がる思いになる。生きる・生活に活用するという意識の強さから、様々な植物を試して有用な植物を利用してきました。

ツゲという植物のその1つで、今回ご紹介したいと思うのです。
皆さんは、「ツゲ」の木というと何を想像されるであろうか。
私も含めてツゲで作った「櫛(クシ)」を想像されたのではないでしょうか。

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ツゲの材木は、木目が細かく緻密で、加工後の狂いが生じにくいのが特徴で、乾燥後は硬く、黄色みを帯びて美しいとされます。
こうした特徴により、古来より、細工物の材料として親しまれ、印鑑、将棋の駒、版木、そろばんの珠、三味線のバチ、彫刻、ブローチなどの装身具、家具指物などに用いられてきました。

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利用価値が高い理由は、成長が遅くゆっくりと植物の組織を作る事から、材木は時間が経過しても狂いが生じにくいという為です。そのため量産には時間が掛かる為に高価な材質となっています。

さて「モチノキ科」で容姿が似ている「イヌスゲ」というものがあります。土壌を選ばず刈込みも容易であることから、植込みなどに多用され、ツゲよりも広く出回っていまs。ツゲと比べて成長が早いので、公園や道路の生垣当に利用されています。一般にそれらも「ツゲ」と呼ぶ事が多いため、本来のスゲを「ホンスゲ」という呼び名で取り扱われている事が多いようです。はっきりとした違いは、ツゲは葉を対生するが、イヌツゲは互生という特徴があります。

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刈り込みに強く生垣などに利用されます。 またイカカゴ漁においては、カゴにイヌツゲの枝葉を結びつけて海に入れることで、イカ(コウイカ)が枝葉に卵を産みつけにやってきます。そのため、福岡県新宮町相島などでのコウイカ漁においてよく「イヌスゲ」が利用され、通称「イカシバ」と呼んでいるそうです。

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【イヌスゲ】

ツゲは日本固有種ですが、西洋にあるものは「セイヨウツゲ(ボックスウッド)」と呼ばれます。古来より葬礼と関わりがあり、墓地にツゲの木を植える習慣があり、時々日本でも見かける事ができます。刈込に耐える事ができるので、生垣などに利用されます。容易に移植で出来、材は緻密で堅く、印材、櫛などに利用されます。

ツゲと人々との関わりについて、今回はご紹介しました。
今まで気にしなかった植物を知った後に界隈を歩くと、意外にそれらの植物たちと出逢える事が多くなります。
ツゲ、イヌツゲはあちこちに生えている植物ですから、あなたも出会い多き人となり、心豊かになれると PinguBanana は信じています。


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