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【週末投稿】つれづれ有用植物#119(トクサ科トクサ属:トクサ)

私が小学生の頃、トクサで「鉛筆の先を削ったものよ」とか聞いたことがあります。トクサは、昔から涼し気な色合いを楽しむために観賞用に坪庭に植えたり、生け花の客材などに用いられてきました。

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手で茎を触ってみますと、たしかに「ゴワゴワ」していて研磨に使えそうです。実際は、茎を煮て乾燥したものを研磨の用途に用いています。

現在では「紙ヤスリ」等が一般的になってますので、トクサでものを磨くという事は少なくなりましたが、高級つげぐしの歯や漆器の木地加工、木製品の仕上げ工程などに使用されたり、クラリネットやサキソフォンなどの葦製リードを磨いて調整する為にトクサが用いられる事があります。

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実はこの「ゴワゴワ」して手触りは、同じトクサ属の「ツクシ」で有名な「スギナ」という植物も同じように、表皮細胞の細胞壁にプラントオパールと呼ばれるケイ酸が蓄積して硬化しています。

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【同じトクサ属のスギナ】

トクサ科の植物は古生代の石炭紀から存在すると言われています。
この頃は、巨大なトクサ類(レピドデンドロン、カラミテス)などの化石が発見されています。石炭紀の大気は助燃性を持つ酸素の濃度が高かったため、稲妻などにより引き起こされる野火のリスクが現在よりもはるかに高かったと言われています。トクサ(木賊)は野火から生き延びるように、耐火性のあるケイ酸を蓄積する進化をしたと考えられています。

トクサはシダ植物の仲間で、日本では北海道から本州中部にかけての山間の湿地に自生しており、土壌を選ばず地下茎を伸ばして広範囲に繁殖を広げる性質があるので、庭植えには予想もつかない所から茎が伸びてくる事がありますので注意が必要です。

茎を乾燥したものは木賊(もくぞく)と呼ばれる生薬になります。
その煎液を飲用すると目の充血や涙目に効果がある言われています。

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