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【週末投稿】四季がある日本のバナナ #18(実だけでない、バナナ利用法)

日本でバナナを栽培すると言うと、「温室でなきゃだめでしょ」と思われる。しかし日本は北海道から沖縄まで、気候が違うので、沖縄、伊豆諸島では昔から普通にバナナやパパイヤが自生しているのである。

このような状況があるのだから、文化として日本人とバナナのかかわりが起こるのは至極自然である。松尾芭蕉がバショウを俳句で謳ったレベルではないのである。

バナナは繊維を取ったり、近縁種(エンセテ属)ではでんぷんを採るものもあり、世界的にみると実を食べる意外にもバナナは利用されているのである。

繊維に関して世界的には「マニラ麻」が繊維を取るバナナとしては有名だ。バナナは麻とは全く違った植物であるが「繊維」としてのイメージから麻という名称が付いた様だ。マニラ麻は水に浮き、太陽光や風雨などに対しても高い耐久性を示す為、船舶係留用などのロープを始め、高級な紙(紙幣や封筒)、織物などに用いられている。日本銀行券の紙幣も利用されているとの事だ。

日本の場合は、「糸バショウ、琉球糸バショウ」が繊維を取るバナナとして昔から利用されてきた。繊維を紡いで出来る芭蕉布(ばしょうふ)や服が沖縄県および奄美群島で特産品として今でも見る事ができる。おおよそ500年の歴史があるとされ、琉球王国では王宮が管理する大規模な芭蕉園で芭蕉が生産されてたそうだ。

またこの繊維を利用して、紙づくりも10年以上前から始まっている。
実を収穫した後のバナナ株は再度開花する事がないため、仮茎は伐採するのだが、この茎を利用して繊維を取りだして紙へと生まれ変わらせるのだ。

日本の取り組みは、NPOや一部の企業が提携して行っている。しかしコストの問題があり、需要はあるが広がっていないのが現状だ。樹木を伐採せずに非常に成長の早いバナナを使ったペーパーは有望視されているのだが残念だ。

興味があり育ててみたい方は、時々ネットオークションで苗が出回る事がある様だ。現地の方より株を分けてもらうのも良いだろう。

バナナ全般を日本では「芭蕉」という言葉でひとくくりにしてしまう。動画の様に「実芭蕉、花芭蕉、糸芭蕉」などと括ってしまう事もある。また「バナナの木」という表現もあるが、バナナは木ではなく草である。
バナナはいろんな意味で誤解を生みやすい植物だ。

糸バショウは実際にどの品種分類に当たるのかは、遺伝子解析してみないと分からない。私の検索不足なのか分類記事は見当たらない。分類学上の Musa bajoo の亜種なのか、Musa balbisiana の亜種なのか実はさっぱりわからないのが悩ましい。

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