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【週末投稿】つれづれ有用植物#155(マタタビ科マタタビ属:サルナシ)

秋は野山に自生している果物が美味しい季節でもある。
ヤマブドウもわくわくするが、私が子供の頃は木に登って枝に巻き付くコクワの実をよく食べたものだ。同じマタタビ属の「キウイ」に香りや食味・味が似ているが実自体はかなり小さい。
誰にも生えている場所を知らせず、季節になったら食べに行く。そう言えば、山菜採りも自分が開拓した場所は知らせないのに似ているなぁ。

「コクワ」は「サルナシ」という植物の別名で、最近では「キウイベリー」とか「デザートキウイ」などオシャレな呼び方もされる香り良い実です。
生食や砂糖漬け、リカーに漬けてお酒を楽しむなどに利用されています。

サルナシは日本列島、朝鮮半島、中国大陸などに分布し、本州中部以南の温暖地では、概ね標高600m以上の山岳地帯に自生する雄雌異株のツル性植物です。寒冷な地域では標高100mに満たない里山にも自生しています。

【サルナシの雄花】
【サルナシの雌花】

最近では野生のサルナシを選抜したり近縁種との交配により新品種が作出され、通販やホームセンターで見かける様になりました。

ツルは直径約5cm、長さは50mにも伸びることがあります。
非常に丈夫で腐りにくいことから「祖谷のかずら橋」(吊橋)の材料にも使用されています。かつては河川で流送されてきた木材を回収する場所(網場)の網の親綱にも利用されていたそうです。

さらにツルは水を吸い上げる能力が高く、蔓の中にも大量の樹液を含み、樹勢の強い時期に太い蔓を切ると大量の樹液が出ます。山中で飲用水が不足した場合に用いられた事もあったそうです。

ちなみに植物の名前の前後にこの「カズラ」という言葉が付く植物は、つる性であることが多いです。

【サルナシの丈夫なツル】
【四国徳島の かずら橋】

サルナシの実は野生動物の食料として重要で、ニホンザルやツキノワグマ、ヒグマなどが好んで大量に摂食して種子散布に貢献しています。
一説によると実は、人間を含む哺乳類の味覚の嗜好に適する点、鳥類による種子散布に頼る植物の果実の多くが赤色か黒色でありコクワの実の色が違う事、哺乳類の嗅覚を刺激する芳香を持つ点から、主として哺乳類の果実摂食による種子散布に頼る進化を遂げた植物であると考えられるそうです。

■2020/09/23】 サルも大好き!幻の果物サルナシ 収穫最盛期(45秒)
TUFchannel 様

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