見出し画像

【ガザ地区②】

皆様こんにちは。
今回は前回に続いてガザ地区についてもう少々掘り下げます。前回の投稿の続きになりますので、もしよければ先にこちらをご覧ください。

ガザは長年の占領に加えて、14年にわたる封鎖によって人・物の出入り制限や度重なる軍事侵攻で産業基盤が破壊され、住民約190万人のうち少なくとも130万人、すなわち人口の70%が国際的な人道支援を受けています。
ガザが抱える問題には封鎖に起因するものが多く、イスラエルの封鎖政策は国際法で禁じられている「集団懲罰」であると国連や人権団体などから強い批判を受けているにも関わらず、国際社会はこの状態に対して措置をとることができていません。

インフラ面への影響

【電気】封鎖によってインフラ面にも大きな影響を及ぼしています。通電の量と時間はイスラエルの都合で管理され、一日10時間以上の停電が10年近く続いています。中東地域の冬は寒さが厳しく、気温は一桁台、場所によっては氷点下まで冷え込み更に雪も降ります。電気の通らない一般家庭では極寒の冬を過ごさなければなりません。

【水】人口の急増に伴って、ガザでは2020年には水がなくなると予測されています。地下水は過剰な汲み上げによって水量が少なくなっており、海水が地下水脈に侵入し塩分濃度が高いことから水道水を飲むことはできません。また、下水処理のインフラが整わないために生活排水が海に垂れ流され、海の汚染で漁獲量も減っています。

【その他】鉄材や木材などの建設資材や一部の医療器具・薬品などは軍事利用を懸念され、特に厳しい制限を受けています。また、家屋の再建にはイスラエルの許可が必要とされており、無許可で建てたりすれば直ちに破壊されてしまいます。

ガザに住む若者達

経済が停滞したガザでは2016年の時点で、若者の失業率は60%という水準で、これは世界でも最悪レベルといわれています。
また、そういった要因から将来の希望を描けず、生命を賭してガザからの脱出を試みる若者、地中海を渡ろうとする若者が増えています。しかし、ガザ全体は軍に包囲され、海岸沿いも海軍が厳しく管理しているために実質的に脱出は不可能です。
また、以前は宗教上の理由もあってほとんど見られなかった自殺も近年は増加しています。


2005年まではガザ内にイスラエル人の居住区(入植地)が存在していたことから、そこに石を投げ込む子どもや自爆攻撃を行う者もいました。しかし同年にイスラエル人、軍がガザから撤退して以降は日常的に目にする標的が消え、物理的にも精神的にも以前に増して外界から隔離された状態が続きました。封鎖が行われている間に大きなものだけで3度にわたるイスラエルの軍事侵攻を受け、その度に何百人、何千人という単位で人が殺されています。2014年の空爆では2000人以上の死者と1万人以上の負傷者、約2万戸の家屋の破壊をもたらし、実に4人に1人が住む家を失いました。

歴史を振り返ると、ユダヤ人は長らく差別や迫害を受けてきました。この先二度とそういった扱いを受けないためには是が非でも死守しなければならない、というのが彼らの意志であると思います。
だからといって空爆によって何人もの命を奪い、パレスチナ人の権利・主張を踏みにじるような非人道的な行動をしてもいいという理由にはなりません。
様々な文献に目を通し、難民キャンプで実際にパレスチナ難民のお話を聞くなかで、イスラエルの非道には信じがたいものがありました。
この事実を世界は知っているのか。それとも知っていて傍観しているのか。

次回以降は【パレスチナ問題の歴史的背景】について綴っていきます。

よろしければサポートお願い致します。今後記事を書くにあたっての活動費(書籍)とさせていただきます。