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第26回「大分トリニータvsサガン鳥栖<マッチレビュー>~バトル・オブ・九州~J1第34節」

こんちゃ!どうも、いったーです。
今回は「大分トリニータvsサガン鳥栖<マッチレビュー>」を書いていきたいと思います。
 J1最終節「バトル・オブ・九州」、ということで、会場になった駅前不動産スタジアムは、水色と蒼色で埋め尽くされました。僕も、今東京にいなかったら、行きたかったゲームです。

 J1最終節は「FC東京vsヴィッセル神戸」の試合を見に行きました。もちろん、お目当ては元アーセナルキャプテン、トーマス・ヴェルマーレンです。しかしACL影響で祈りも届かず、イニエスタ、ヴェルマーレン、ドウグラス、サンペール、ダンクレーがメンバー外。古橋、元大分の藤本憲明はベンチスタートとなりました。神戸はブロックの外で横パスを繋ぐだけ、FC東京はセットプレーか、ロングボールのワンチャンに頼る、激渋試合でした。

ということで、バトル・オブ・九州のレビュー行ってみましょう。

チーム紹介

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ホームチーム:サガン鳥栖
監督:キム・ミョンヒ
フォーメーション:4-4-2

アウェイチーム:大分トリニータ
監督:片野坂知宏
フォーメーション:3-4-2-1

互いにボールを握ってパスを繋ぎたい

 大分は後ろからのビルドアップに自信があるので、自由にさせないという点で鳥栖は前から強度の高いプレスをして、嵌められるかどうか。逆に剥がされるとチャンスを作れなくなる大分は短いパスだけではなく、長いボールも効果的に使いながら前進していくと考えられます。
 一方、鳥栖は4バックの2CBと2CMFが中心となり、ボールを進めます。縦パスを合図に前線の複数選手が同時に動き出す攻撃に注目です。最終的にクロスから上背があるCFレンゾ・ロペスへのクロスも武器の1つです。

8人を入れ替えた大分ビルドアップ方法

 前節vs湘南から8人の選手を変えた大分トリニータ。3バックの右RCBで大分の攻撃において幅と深さを取っていた#29智輝くんが、怪我による離脱で#49CB羽田健人が起用されました。

 羽田はvs札幌の時にはCB鈴木義宜の代役として3バックのセンターを務めましたが、クレバーで縦パスのチャレンジもしながら、本来のCBとしての守備力も見せて、見事なプレーでした。RCBとしては幅と深さを取るよりも堅実に持ち場を守るようなイメージで11分にはST渡へスペースに走らせるボール等狙いどころは素晴らしかったです。逆サイドのLCB三竿は、いつもよりもアグレッシブな姿勢で、前進していました。

 vs鳥栖のビルドアップは、CB鈴木とCMF小林がセットでRCBとLCBが外に開く、4枚で前進を図りました。基本的にLCBの三竿は角度をつけるパスや、SBとCBのエアポケットに届けるパスが得意であるため、左サイドがビルドアップの出口のように感じました。

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SBを高い位置まで押し上げて攻撃したい鳥栖

 鳥栖のストロングポイントはサイド攻撃です。スタートの立ち位置では4-4-2のフラットな紹介でしたが、4-2-2-2のように、SMF小屋松、樋口がインサイドに立ち、OMFような振る舞いを見せました。空いた大外のレーンは、SBの押し上げのためのスペースとして、空けているシーンが多くみられました。

 両サイドはアカデミー出身SB中野伸弥(17歳)大卒ルーキーSB森下龍矢(明治大学)という2人で大変馬力のある選手です。

 第31節横浜FC vs鳥栖を現地観戦に行きましたが、両者共に、出場していました。LSB中野は鋭いアーリークロスや深い位置からのクロス、角度を変える縦パス等、今季デビューしたとは思えないほどのプレーの選択肢をもっており、実行に移している点でいい意味で驚かされました。RSB森下はサイドに張ってオーバーラップするだけではなく、インナーラップとしてインサイドでもボールに絡むことができ、クレバーな印象を持ちました。

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※リリースされた通り、LSB中野はU19代表合宿、RSB森下は追加招集でU23オリンピック世代の合宿に招集されました。

大分:セットプレーからの貴重な先制点

 スローインから先制点が大分に入りました。RWB田中からCF知念にスローが入り、キープしたところのこぼれ球に、走り込んだのはST渡でした。スローが入った瞬間にフリーランを開始しており、誰よりも最初に走り出したが故のフリーでした。シュートコースもきっちり空いた逆のサイドネットに蹴り込みました。動き出しが速かったため、誰も反応が出来ずに一瞬の出来事でした。

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 久しぶりの先発起用でゴールということで、大変嬉しい状況で飛び出したゴールセレブレーションが今季で契約満了のST三平和司が良く披露するガッツポーズでした。ST三平がチームからも、大分からも愛されていることが象徴されるシーンでした。前節のvs湘南でもCF伊佐がゴールを決めた際も、同様のセレブレーションが披露されたように、ライバルを超えた関係なんだということが伝わってきて、心が温かくなりました。

鳥栖の特殊なビルドアップ

〇2CBが両サイドに開いて、2CMFと台形を形成

 後半に入ってもシステム上のギャップを逆手に取り、優勢に試合を進めたのは鳥栖でした。
 鳥栖は前半から一貫して、SMFの2枚をインサイドに配置し、4-2-2-2のシステムを用いながら、CMF松岡、原川がタイミングよく、顔を出しながら中→外、外→中とテンポよく押し上げたSBを使いました。

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 その点、興味深かったのが、ビルドアップの陣形(上図)でした。SBを押し上げた際には2CBも同様に外に広がります。2CMFと共に、台形を形成しました。また、CMF原川がボール出しの役割を担い、もう一方のCMF松岡は衛星のようにCMF原川の周囲をサポートしていました。ほぼ押し込んでハーフコートゲームの際には、特にRCBだった原輝騎はSBの外をオーバーラップして、選肢を増やすプレーがありました。

サイド攻撃が結実し、同点

〇RSB森下&CB原のサイド
〇LSB中野の好判断
〇OMF小屋松のオシャレなワンタッチ

 鳥栖のサイド攻撃が実ったのは後半早い時間帯でした。49分。RSB森下が幅を取ってアーリークロスを準備しました。注目したいのが、SMFのはずの小屋松、樋口のポジショニングです。共にインサイドに絞っているため、大分は3バック+LWBの4枚でPA内を守りました。そして、RSB森下のサポートとして大外のレーンをオーバーラップしたのはCB原でした。人数をかなりかけた鳥栖の攻撃で、このプレーで仕留めるぞという気持ちが伝わります。大分はPA内にいる4枚をケアするために、RWB小出も中に絞らざるを得ませんでした。アーリークロスは中央を通過し、ブロックの外にこぼれたのですが、攻撃意識の高いSB中野がいち早く反応していました。LSB中野はニアにグラウンダーに高速クロスを送り、SMF小屋松の技ありのアウトサイドに当て、コースを変えるシュートでゴールゲットしました。

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77分大分勝ち越しゴール

〇サイドで数的優位の創出
〇敢えて飛び込まずステップを踏んだOMF町田

 GKムンのキックが起点になりました。LWB松本vs RSB森下で競り勝ったために、相手RSBとRCBのエアポケットにスペースが生まれました。そのスペースに大分はCF伊佐とOMF野村を送り込むことで数的優位を創り出しました。

 鳥栖RSB森下はこれまで高パフォ―マンスを見せていたものの、ボールの落下地点を読み間違える致命的なミスをしてしまいました。ボールへのアタックの姿勢は素晴らしかったですが、付近にCF伊佐、OMF野村がポジションをとっており、数的不利に陥る可能性があることを認知し、LWB松本には競らずに、ディレイの判断でもよかったのかもしれません。

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 そして、OMF町田はPA内でニアに走り込むのではなく、敢えてステップを踏み、相手CBから離れた判断素晴らしかったです。CBエドゥアルドも見失い、寄せが遅れたため、シュートを打つ時間を創り出しました。合わせやすいクロスだったのもありますが、トラップからのシュートまでが非常にスムーズで、ワンテンポでシュートを打てたことがGK朴が反応できませんでした。もちろん、シュートコースも完璧で自らの31歳の誕生日にバースデーゴールという形で花を添えました。

再び同点の鳥栖。

 またもLSB中野からのチャンスでした。左利きで左で持ったために、インサイドのST林にはパスコースがないように思えました。そのため、大分もサイドをケアするポジションを取りましたが、LSB中野は左足のアウトサイドで、うまく角度をつけて縦パスをST林に届けました。ST林はCB鈴木と1on1の状況でボールを引き出し、ラグビーのハンドオフのような動きで、相手CB鈴木の動きを制限し、自らスペースに持ち込んでゴールを決めました。

 大分はオフサイドを主張しましたが、ギリギリの抜け出しで目視では判断できないように思えました。また、ST林、CB鈴木双方が、相手を抑止するような腕の使いかたをしていたために主審がファールの判断をするのは難しかったように思えます。ST林は、敢えてPA内でダイブしPK奪取ということもできたでしょうが、堪えてシュートまで持ち込んだプレーには好感が持てました。(どこかPLの赤いチームの選手はこのプレーを見てほしいです。)

<結果>サガン鳥栖vs大分トリニータ(バトル・オブ・九州)

スコア:2-2
得点者:‘32分渡 大生(大分)、’49分小屋松 知哉(鳥栖)、‘78町田 也真人(大分)、’82林 大地(鳥栖)

終わりに…

 最終節で「バトル・オブ・九州」ということで大変盛り上がったゲームとなりました。両サポーターとも声援は送れないにせよ、太鼓の音や手拍子で選手をサポートしました。このような状況下でもJリーグを見ることが出来ることはあたりまえではなく、幸せなことであると、改めて感じました。PLも同様です。
 
 最後の1ヶ月で様々なチームの試合を5試合現地観戦しましたが、やはりスタジアムで見る試合は画面越しとは違う、素晴らしいエンターテインメントだと感じました。毎年、クライマックスの時期にやっと現地観戦になるので、来季からは開幕からスタジアムで観戦したいと思います。

 最後に、大分のキーマンでもあり、大分出身RCB岩田 智輝くんが横浜Fマリノスへの移籍が濃厚ということでメディアから発表がありました。公式発表はまだなので残留を信じながらも、生活圏から行きやすい横浜Fマリノスということで、来季は大分&横浜Fマリノス推しになるかもしれません…同じ少年団出身で大先輩のSB松原健くんもいますしね。

それではこのへんで、、、

ばいころまる~

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