第32回「アーセナルvs WBA(マッチレビュー)PL第17節」
こんちゃ!どうも、いったーです。
今回は、「アーセナルvs WBA<マッチレビュー>PL第17節」について書いていきたいと思います。
今節は雪の中での試合ということで、途中からボールすら目視するのが大変でした。LSBティアニーはしっかりと半袖半パンと服装ミスってる感しかありませんでしたが、いつも通りというかいつも以上に大活躍でした。グラスゴー生まれで都会のロンドンに馴染めず、練習後は、すぐ帰宅してPS4をするのが好きというくらい子どもらしい素朴な一面もあります。なので雪の中でも半袖半パンってことは「子どもは風の子」ってことで、雪ブーストでもかかったんですかね…
ってことで、今季初の3連勝を飾ったゲームを振り返るとしましょう。
チーム紹介
ホームチーム:ウェストブロミッジアルビオン(以下WBA、バギーズ)
監督:サム・アラダイス
フォーメーション:4-5-1(4-4-1-1)
アウェイチーム:アーセナル
監督:ミケル・アルテタ
フォーメーション:4-2-3-1
プロローグ
前節、PL開始以降初めてブライトンで勝利を飾り、PL開幕以来の2連勝となったアーセナル。OMFスミス=ロウとRSHサカの躍動とCFラカゼットの絶好調ぶりが窺えました。また、守備陣の柱であったCBガブリエル・マガリャンイスを欠いても、崩壊することなく無失点に抑えました。強いチームに安定した守備は不可欠ということでこのゲームでも無失点が求められます。
一方、WBAは前節昇格組同士の対戦となったvsリーズでは0-5でいいとこなしの5失点でした。先月就任したビッグサムことアラダイス監督は堅守をベースとして、粘り強いチームを作っていきたいはずです。格上アーセナルをホームで迎えるにあたって0-0を長時間継続することが最大のミッションになりそうです。
前半<アーセナル>
〇アルテタ監督が目指すサイド攻撃の一端
〇取り戻したアーセナルらしさ。
〇アルテタ監督が目指すサイド攻撃の一端
11月からの絶不調だったアーセナルの中で唯一の光と言ってもよかったのが、LSBティアニーとLWBサカ(現在RSH)でした。特に彼らが結成する左サイドでのコンビネーションは大きな武器となっていました。
年末年始では、システム変更があり、オーバメヤンとLSBティアニーが左サイドでペアを組みました。昨季終盤にかけて3-4-3のシステムを使用していた際にも左サイドのLCBティアニー、LWBサカ、LWGオーバメヤンと最高のトライアングルを結成していたために、コンビネーションに不安はありませんでした。
今節vs WBAでは、バギーズの前線からのプレスが弱く、ビルドアップに関しては自由に組み立てることが出来たように思えました。そのため、両SBがかなり高い位置をとって、相手のWGを押し込み、サイドを制圧しました。
<前半19分>
試合を通じてWBAの前線CFカラム・ロビンソン、OMFマテアス・ペレイラはファーストDFとして機能していたとは言い難く、このシーンでも簡単にCMFジャカのドライブ(=局面を進めるスペースへのドリブル)を許してしまいました。前方にスペースがある状況でのCMFジャカにとってパスを使って局面を動かすことは簡単であり、相手SBをピン留めしていたLWGオーバメヤンの足元にパスを付けました。CMFジャカがドライブをしているタイミングでLSBティアニーは次のプレーを予測して、フリーランを開始していました。
LSBティアニーの予測通り、LWGオーバメヤンにパスが入り、その時点でサイドで2on1の状況を創出しました。その後はタイミングを計りながらLSBティアニーにパスを出し、そしてライナー性の速いクロスを入れる局面まで進めることが出来ました。そして、この縦への突破が、数分後の先制点の伏線になります。
<先制点 前半22分>
結果から言うと、LSBティアニーの最高のソロゴールでした。幾度となく、縦への突破からクロスを見せていたLSBティアニー。しかも、LSBティアニーは左利きで精度の高く、豊富な球種でクロスを上げることが出来るために、相手SBは右足のサイドはある程度はカットインを許しても止める、またはカバーが来る想定だったでしょう。LSBティアニーは予想以上の深い切り返しで、カットイン、そして躊躇なく右足でファーサイドにゴールを決めました。アンビリバボーな一瞬でした。
このゴールはLSBティアニーにスポットライトが当たるのは当然ですが、その前のプレー、CBホールディングのサイドチェンジから始まりました。このシーン5-3-2の前線2枚の守備が緩かったおかげで、CBが自由にボールを動かすことが出来る時間が生まれました。加えて、5-3-2のシステムの構造上、守備で肝になる横へのスライドが十分ではなく、LSBティアニーにドリブル開始までにプレーのイメージを考えるだけの時間を与えてしまいました。
◎取り戻したアーセナルらしさ
「アーセナルらしさ」を取り戻しました。これまで約2ヶ月ゴールが入ってもPKを含めたセットプレーからで、どこかもどかしさを感じていました。我々が求める「アーセナルらしさ」とは、、、
「アタッキングサード複数の選手がワンタッチ、ツータッチでパスを繋ぎ、同時に複数の選手がフリーランをしながらプレーに絡み、PA内でも確実なら横パスをも厭わないゴールにパスするまで崩すこと」
だと思っています。
<前半28分 Goal of the season候補>
言わずもがな。アーセナルサポーター全員が待ち望んだ最高のゴールです。
☆ESRの縦パスを出したその足がパス&ムーブの1歩目
☆縦パスを受けたサカも、パス&ムーブ
☆CFラカゼットは半身で広い視野を保つ
このゴールのきっかけとなる縦パスを通したのはESRでした。縦パスを出したその足で、パス&ムーブの1歩目となっていたことから、周囲の選手も「攻撃のスイッチが入った」と共通認識をし、呼応するように連動しました。縦パスを受けたRSHサカも2タッチでCFラカゼットに預けて、ゴール前にフリーランを行いました。
CFラカゼットも直接RSHサカにパスするのではなく、奥の3人目の動き出しをしていたESRにパスを届けることが出来たのもさすがです。ESRもPA内でパスを受けた際、1トラップを入れてドリブルで内側に侵入した時点で勝負ありでした。阿吽の呼吸のRSHサカも適切なスペースに飛び込めたのでドフリーで、あとはゴールにパスをするだけでした。アカデミー時代のパス&ムーブの教育が表現されました。
前半<WBA>
〇変則的な4バック
〇異色の存在OMFマテアス・ペレイラの閃き
〇変則的な4バック
WBAのスタートは4バックから入りました。下馬評通り、WBAは自陣で過ごすことが多く、守備的なシステムを採用せざるを得ませんでした。経験豊富で元チェルシーの老兵SB/CBイバノビッチとCB/SBオシェイがスタメン起用されたために、3バック(5バック)と4バックの可変が交代なしで可能になりました。
4バック時はLCBイバノビッチが入るため、サイドのケアの際のスピードに問題があり、加えて守備が専門ではないアタッカーLWB/LSHディアンガナを起用したため、アーセナルは右サイド(WBA左サイド)から攻撃し、逆サイドのLSBティアニーをフリーにさせるやり方をビルドアップで採用しました。
アーセナルのビルドアップに対応し、守備時には2CMFに2トップを監視させることが出来る以下の5-3-2に可変させました。5-3-2のシステムでは肝になるのが、ミドルサード、ファイナルサードにかけての「3」の横へのスライドです。横幅を3人でケア(+3CBの誰かが前方のスペースをケアするべき)するのは至難の業です。また、DFラインが低すぎるが故にボールにアタックできず、2トップとDFラインが間延びしてしまう形で、うまくプレスもハマらず、後手後手の対応になってしまいました。
〇異色の存在OMFマテアス・ペレイラの閃き
<前半20分>
OMFマテアス・ペレイラの素晴らしさが存分に発揮されました。カウンターのチャンスでも焦らず、敢えて減速することで運動量に定評のある中盤の選手らが飛びだしてくるのを待っていました。同時にCFカラム・ロビンソンもサイドに流れて、中央が渋滞しないようなポジションを取りました。
案の定、CMFギャラガー、フィリップスが飛び出してきて、アーセナルも帰陣の時間があったため、パスコースを切りましたが、OMFマテアス・ペレイラにはパスコースが見えていました。そうです、ループで浮き球を使い、空間を利用したのです。また飛び込んだCMFフィリップスが利き足の右足でシュートを打ち易い位置にボールを届けたために、ダイレクトでボレーシュートを打てました。しかし守護神GKレノがストップし事なきを得ました。
後半<アーセナル>
〇ゆりかごから墓場までCFラカゼット
〇あとは彼のゴール待ちLWGオーバメヤン
〇ゆりかごから墓場までCFラカゼット
前々節のvsチェルシーでもCFをラカゼットが務め、前節vsブライトンでは後半から途中出場から約1分で決勝点を決めるほど調子がいいCFラカゼット。彼の役割、ゴールを決めることはもちろんですが、深い位置まで降りてきて楔のパスを受けることです。相手DFを背負いながらのプレーも苦にしないため、易々とターンして前を向いたり、ワンタッチでパスを散らしたり、ビルドアップにおいてチームに多くの選択肢を与えます。
<64分 4点目>
このシーンではカウンター開始時に、RSBナイルズが前を向いたタイミングでCFラカゼットが中盤に降りてきて、相手CBイバノビッチを引き連れて来ました。そのスペースにはOMFスミス=ロウが飛び込み、CFラカゼットがターンしつつサイドに展開したタイミングで一斉に、全員のベクトルが前を向きました。
LWGオーバメヤンがドリブルをしながらLSBティアニーのオーバーラップのタイミングを図り、正直にパスを出しました。同時並行で縦パスを自陣で受けたCFラカゼットは猛ダッシュで相手PAに向かいます。嗅覚に優れた彼は、両CBとDMFソウヤーの間に上手く入り込み、LSBティアニーの速いクロスに点で合わせ、ゴールゲット。CFラカゼットに始まり、CFラカゼットで締める理想的なサイド攻撃でした。
〇あとは彼のゴール待ちLWGオーバメヤン
ここ数試合の中でも1番と言っていい程、LWGオーバメヤンが孤立せずにボールに絡む頻度が高かったです。本当にあとはゴールを決めるだけです。ゴールが決まらない時間が長ければ長い程、自信を失いますし、特にオーバメヤンは、気分と調子が比例するので早くゴールが欲しいです。
また、調子が悪いと表情に出る癖は、キャプテンとしてチームを引っ張る立場であるために少しその部分では改善すべきところでしょう。
<74分の攻撃>
素晴らしいタイミングで相手の中間ポジション(RSH,RSB,CMF)に潜り込みました。ドリブルの際足元にボールが入ってしまい、シュートに持ち込めませんでしたが、絶好調時ならシュートレンジの左45°のゾーンだったので、絶好調時の感覚を取り戻すためにもシュートを打ってほしかったです。
<80分カウンター>
カウンターの大チャンスが巡ってきます。またしても左45°のゾーンでカットインで右足でコントロールシュートですが、敢えて、スピードを活かした縦に勝負しました。相手CBバートリー(アーセナルアカデミー出身)も馬鹿ではないため、逆足の左足ならばと、最低限のコースを塞ぎ、ブロックする対応をしました。最低限コースを塞いだため、今回のようにブロック出来なくともGKジョンストンのテリトリーでシュートストップとなりました。
後半<WBA>
〇雪を味方にしたバギーズ
〇#7C・ロビンソンの存在感
〇雪を味方にしたバギーズ
前半終了間際から雪が強くなり、視聴者からするとボールの判別が付きにくい状態でした。後方からパスを繋ぎたいアーセナルにとっては不利な状況、ロングボールを多用するWBAにとっては、有利な状況でした。
そこで後半開始いきなり、かつてQPRで得点を量産したアーセナルキラーCFオースティンを投入しました。強靭なフィジカルを持ち合わせるため、前半のカラム・ロビンソンよりはターゲットとしては適任でした。雪も強まったこともあり、前半よりも躊躇なくロングボールを前線に蹴り込むスタイルになりました。
〇C・ロビンソンの存在感
前半も不向きなCFでも十分に役割を全うしたカラム・ロビンソンは後半からLWG/LSHに入りました。デュエルでも13回中8回勝利し、ボールリカバリー数も9回と起点になり続けました。
サイドであれば、背中はタッチラインのみで、中央に位置する時の半分の視野(=180°)をケアすればよいので、果敢に仕掛ける回数が増えていきました。5回中2回の成功となりましたが、77分の抜き切る前にクロスを上げるプレーはPA内の枚数も揃っていたため、脅威を感じました。(以下、図)
アーセナルはLWG/LSHカラム・ロビンソンと対峙するRSBベジェリンが前半でイエローカードを貰っていたことと、対人守備には難があるために、後半早々に対人守備に優れたRSBナイルズ(=AMN)を投入してケアしました。ドリブル成功回数も伸びなかったのもRSBナイルズがいてからこそでした。
結果<アーセナルvs WBA>4-0
得点者:‘23ティアニー(ARS), ’28サカ(ARS), ‘60, ‘64ラカゼット(ARS)
ハイライト動画
エピローグ
今季最多の4発をぶちこみ快勝のアーセナル。全てがオープンプレーからの得点ということで気持ちよく新年最初のゲームをものにしました。特に2点目のCFラカゼット、RSHサカ、OMFスミス=ロウの3人が連続してフリーランを繰り返し、少ないタッチでボールを動かし、決めたゴールは今季最高のゴールでした。この後はPLは約10日空き、得意のFA杯です。ここでWGペペやLWGオーバメヤンらがしっかりと復調しアピールをして欲しいです。
バギーズはまたも、いいとこなしで4失点の大敗となりました。途中から雪が強くなり、天候とピッチコンディションも味方になりましたが、守備陣の雑なプレーやプレスが弱い前線等課題は山積みです。1月の補強でアラダイス監督好みの選手を獲得したいところですが、資金面で不安があり、前途多難の新年のスタートとなるでしょう。残留請負人の名を持つビッグサムことアラダイス監督の神通力に期待して奇跡の残留を願うしかありません。
PL再開まで時間があり、「アーセナル20-21選手名鑑~MF編②~」からの続編や旅行記も復活させるつもりです。僕自身もPLの年末年始の過密日程のつらさを身をもって感じているところです。
それではこのへんで、、、
ばいころまる~
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?