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7月18日 『書を捨てよ、ついでに服も捨てよ。』

 この1週間、月曜日から金曜日まで黙々と労働をこなして、出来るだけ出費を抑えようと自炊に励み、さらに読書週間と称してこの1週間で本を2冊も読み終えた私に、まるで祖父母に駆け寄る初孫のように微笑ましい表情を見せながら、土曜日はやってきた。梅雨は明けたのか、それとも中休みなのか、そんなこと知らないけれど、皿も洗ったし洗濯物も干した。いい天気だ。今日くらいは書を捨てよ、町へ出よう。

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 馴染みのタイ料理店へと赴いた。馴染みと言ったが、来店は本日で2度目だ。これから足繁く通って馴染みの店にするつもりだから許してくれ。前回の来店は1ヶ月以上前のことなのに、ショートカットで気さくな店主の女性が私のことを覚えていてくれたことが嬉しかった。遠方から単身この地に乗り込んできた私にとって、自分の存在を認識してくれている人がいることは実に頼もしいし安心するのだ。
 前回は解禁されていなかった、グリーンカレーを注文。ほどよい辛味と夏野菜の新鮮さが絶妙。食べ始めて数分で、頭皮が全力で汗を噴き出しているのを感じた。フェイスタオルを持ってきておいて正解だった。扇風機の追い風を受け、少しぬるめの水を何度も流し込みながら、しかし味わいながら。店内に大音量で流れるアジア音楽が、食器と食器のぶつかり合う音をかき消す。店内は私と店主以外誰もいない。

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 ちょうどカレーが運ばれてくるまでの時間に、店内の本棚から手に取った本。どこかの知らないファッションデザイナーが書いた本らしい。「本当にオシャレな人は、持っている服の数が少ない」のようなことを書いていた気がする。要するに、自分が本当に好きで、本当にいいと思う服だけ着ろ、みたいや内容だった。その本の中に”ミニマリスト”というワードが出てこなかったことから、ミニマリストという文化が流行る前に出版された著作であったのだろうか。

 そのあとカレーが運ばれてきたわけだが、セットで付いてくるサラダに小エビが入っていた。実を言うと私はエビが食べられないのだが(理由は割愛)、そういえば前回もこのサラダのエビを残し、(セットにしなかったらよかった...)と後悔したものだ。

 目先の釣り針ばかりに目が行って、前回の失敗を忘れ同じ轍を踏んでしまうというのは、私の人生でもう何回経験したか。リスクマネジメントが全くできていない。ふと、ラックにかけられた今年未だ着ていないシャツを見て、少し悲しくなった。

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